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文字通り、「死ぬような思いをして」川越までの小旅行を敢行してきた。
無風快晴の一日が待っているだろうと甘い想像をしていたのに、その全く逆の天気になったのは“反則”だと思った。
アパートを出た瞬間に氷のように冷たい風に吹かれたとき、「今日は失敗だったな」と溜め息をついた。
あまりにも強い北風は私を部屋に閉じ込めようとする。
何とか強い意思を発揮してペダルを踏んでいても、風圧で押し戻されそうになる。
ウッカリ気を抜いていると、前進しているつもりで後退していたりして。
腕もそうだが脚が異常に重い。
それでも私は万難を排して病院へ向かわねばならない。
中身のタップリと入った酒樽を太ももとふくらはぎにくくりつけたまま、自転車に乗ったり、街中を歩いたり、駅から駅へ移動しなければならないので、その労力たるや相当なものだ。
歩道橋のある交差点や、駅に設えられた障害者や高齢者用のエスカレーターやエレベーターが、こんなにも楽で、便利で、そして有り難い装置であるとは、健康な時分には考えたこともなかった。
やはり健常者と障害者が見る世界は違うのだなあ、と痛感した。
そして、こういう有り難い公共装置を取り付けるように、国や地方自治体、企業などに働きかけてくれた政治家や活動家に心から感謝の気持ちを奉げたい。
医師の診断の内容は暫く置いといて。
通院している病院がヨソへ移ることになった(御近所だけど)。
建物が老朽化したので建て替えることになったらしいが、本当のことや詳しい経緯は知らない。
今の病院より、ちょっぴりだけ遠くなるなあ。
地図で調べると、近くに“山田うどん”があるから、診察が終わったら軽く食べてから帰ろうか。
新しい匂いのする(多分)、新しい病気の様相、新しい身体との付き合い方、結果としての新しい人生ステージ……。
あれもこれも新しいことだらけだけど、ちっとも嬉しくない新しい芽吹きの春の日。
今は過渡期だから余計に色々なことを考えるのかも知れない。
クラゲと化した身体や物置然としたワサワサ頭が落ち着いたら、新しい人生舞台の様相が見えてくるのかも知れない。
それにしても僅か10時間の外出だのに、帰宅した今は疲労困憊である。
15歳は老けたような、生命エネルギーの衰えを感じる。
身体は確実に変化しつつある。
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