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元キング・クリムゾンの公式メンバーだったドラマーのIan Wallaceが参加しているクリムゾン・ジャズ・トリオの2枚目のアルバムだ。残念ながらIan Wallaceは2007年2月22日に米カリフォルニア州ロサンゼルスで亡くなった。60歳だった。
イアン・ウォレスの正確な名前は、Ian Russell Wallaceで、1946年9月19日に英ランカシャーのBuryで生まれた。学生時代にThe Jaguarsというバンドを結成し、その後はYesの前身ともいえるThe Warriorsというバンドにジョン・アンダーソンとともに在籍したこともあったらしい。このあたり、イギリスのプログレッシブ・ロックのミュージシャンが互いに影響を与え合ったことがわかって興味深い。
さてこのCDだが、いきなり冒頭に、これもキング・クリムゾンを代表するといえる名曲「The Court of The Crimson King」が演奏される。この演奏を聴いて、ああ、このアルバムは前作のVolume Oneの単なる続編ではないのだ、と思わされた。
Volume Oneに収められた名曲の数々は、Jazzとして演奏されてはいるが、基本的に原曲のイメージを踏襲したものだった。しかしこの「The Court of The Crimson King」は違った。リズムが全然違う。早いのだ。原曲はゆったりとしたリズムで重厚感のある曲だが、ここでは軽快なJAZZになっている。全く違う解釈で、これを聴いたロバート・フリップはVolume Oneのように「Yes!」と言うかどうか興味のあるところだ。
2曲目の「Pictures of a City」はキング・クリムゾンのセカンドアルバム「In the Wake of Poseidon」からの選曲で、アルバム冒頭の天使の歌声のようなPeace – A Beginningから一転して暗黒へ突き落とされる印象深い曲だ。このJAZZバージョンでは原曲のモチーフを使い、原曲の持つ重厚なイメージを再現しようと試みている。Ian Wallaceのドラムが緊張感を高めてくれる。
5曲目のInner GardenではピアノのJody Nardoneがボーカルをとっている。Inner Gardenはいわゆる再々結成クリムゾンのアルバム「Thrak」に入っている曲だ。ボーカルの雰囲気はエイドリアン・ブリューに似ていなくもない。
忘れてはならないのは、このJAZZ TRIOにソプラノとアルトのサキソフォンでメル・コリンズが参加していることだ。メル・コリンズのサックスは9曲目の「Formentera Lady」と続く「Sailor's Tale」で聴くことができる。郷愁を感じるサックスではあるが、やや力ないところが寂しく思わせる。トリオの録音とミックスは米カリフォルニア州のWoodland HillsにあるMudZoneスタジオで行われたが、メル・コリンズのサキソフォンだけは英ロンドンのSilesia Soundスタジオで録音されたとある。
このCDは紙ジャケット仕様であり、中に表紙を加えて6ページのカラーブックレットが入っている。ステージの写真などが収められており、ピアノのJody Nardone、ベースのTim LandersなどがIan Wallaceの思い出などを綴っている。俺はこのアルバムを末永く味わい続けるだろう。
このCDは2009年にInner Knotから発売された。(20090622/yoc/カルト・ミュージック・コレクション)
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