|
「ジャケ買い」という言葉がある。この言葉をネットで調べると「用も無いのにCD屋に入りびたり、中味をまるで考慮せずに、ジャケットの印象のみでCDを購入してしまうという病気。主に小遣いに微妙に余裕のできる10代の半ばにかかる病気で、20代になると少し収まるが、大人買いできるようになる20代後半で再び発症することが多い。根本的な治療法は無く、なるべくCDショップに近づかないという対処でやり過ごすしかない。」と書かれたblogがあった。まさにぴったりの解説だ。ただし俺はもはや10代でも20台でもない。だが未だに時折「ジャケ買い」の衝動にかられる。そこでだ。今日からしばらく、最近の「ジャケ買い」で正解だったアルバムを紹介してやろう。
今日はこれだ。「TRIPPING DAISY」というバンドのアルバム「I am an Elastic Firecracker」である。グループ名の「TRIPPING DAISY」は「軽快なひな菊」、「I am an Elastic Firecracker」は「私は、弾力性がある爆竹です」というかんじか。
このジャケットは、いったい何だろう。体中に赤いペンキのような塗料を塗りたくった初老の男。この写真の男は何物なのか。なぜこのジャケットに登場したのか。そもそもどんな意図が込められているのか。あるいは無意味なのか。CD店でこのジャケットが人目につき、手にとってレジに向かうことを期待しているのだろうか。それにはあまりにも意味がわからない。
このバンド「トリッピング・デイジー」はギタリストでボーカルのTim DeLaughterティム・デラフターと、ドラムのJeff Bouck、ギターのWes Berggrenウェス・バーグレン、ベースのMark Pirroマーク・ピローによって1990年に結成され、米テキサス州ダラスで活動した。1992年にドラムがBryan Wakelandブライアン・ウェイクランドに交替し、ファースト・アルバム「Bill」を発表した。そして1995年のセカンド・アルバムがこの「I am an Elastic Firecracker」だ。
演奏はラフで、いかにもギターバンドというものだ。ガレージ・パンク風の音作りとサイケデリックな作風がミックスしたもので、あるひとつの型にはめられたのではない、自分たちがやりたいロックを自由にやっている雰囲気がある。バンドとしてのコンディションもよく、それぞれのメンバーが自分の持ち味を生かして曲を紡いでいる。疾走感のある曲もいいが、バラード風のしっとりとした曲にむしろ味わいがある。英語版のwikipediaには「Tripping Daisy was a neo psychedelic pop rock band」という記述がある。「ネオ・サイケデリック・ポップ・ロック」とはうまく表現したものだ。
1992年にファーストアルバム「Bill」、1995年にこのセカンドアルバム「I Am an Elastic Firecracker」を発表。そして1998年に「Jesus Hits Like the Atom Bombを発表しているが、その後1999年10月27日にギタリストであるウェス・バーグレンが自宅のアパートで死んでいるのが発見された。ドラッグの過剰摂取とみられている。そのためにグループはツアーやレコーディングの計画を中止せざるを得ず、結果的に1999年12月14日に正式に解散を表明した。
ウェス・バーグレンの死後、当時のメンバーだったティム・デラフターとマーク・ピロー、ブライアン・ウェイクランドは、2000年頃からThe Polyphonic Spreeポリフォニック・スプリーというグループをやっている。このアルバムは1995年に発表された。このCDは1995年にIsland Records Inc.から発売された米盤だ。(20091119/yoc/カルト・ミュージック・コレクション)
|