カルト・ミュージック・コレクション

プログレ、ジャズ、現代音楽から歌謡曲まで。読め!聴け!(本家http://www.cultzone.net/)

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前回紹介したFreyaが天使の声だとすれば、このSkye Sweetnamは小悪魔だ。いかにも今どきの女の子風のジャケット写真そのままだ。このジャケットから、レコード会社によって作られたタレント歌手、といったイメージを持ったとすると、それは大きな誤算だ。
 
アルバム1曲目「Number One」の冒頭、ギターのアルペジオをバックにした巻き舌のボーカルが印象的だ。このアップテンポの曲はギターのリフも若々しくてスピード感があり、いかにもアルバムの最初を飾るにふさわしい。余計なエフェクトを極力排したボーカルの録音も、生々しく声を聴かせてくれるものになっている。
 
ミドルテンポの2曲目「Billy S.」は名曲だと言っていいだろう。覚えやすいメロディー、印象的なリフは、思わず体が揺れ、コーラスを口ずさんでしまう。この曲では、部分的にあえてLo-Fiに加工したボーカルが加えられており、まるでAMラジオから流れてくるような音になっている。これが実に効果的だ。またソロボーカルとコーラスを加える部分をうまく織り交ぜながら、効果的にメロディーを際立たせている。素晴らしいアレンジだ。
 
3曲目にはスローな曲「Tangled Up In Me」が置かれている。静かなギターのアルペジオをバックに、語りかけるようなボーカルで始まる。ドラマチックな曲だ。4曲目「I Don't Really Like You」はメタルっぽい要素を用いた曲。しかしあくまでポップに仕上げられている。5曲目「I Don't Care」は軽快なポップス。
 
6曲目はブロンディの名曲「Heart Of Glass」だ。ハート・オブ・グラスはブロンディの1978年のアルバム「恋の平行線」に収められ、シングルとして発売されてから有名になり、アメリカやイギリスなどで音楽チャートの1位になった。当時の音楽シーンは「ニュー・ウェイブ」というカテゴリが巻き起こっており、ブロンディも「ニュー・ウェイヴ」のグループとしてジャンル分けされることが多いが、実際にやっていた曲は限りなくポップである。ここでは原曲のイメージを損なうことなく、今日的なアレンジに仕上げている。ややハードなイメージだ。
 
7曲目「Sharada」も軽快で印象的な曲だ。曲の一部に4+2の6拍子が使われている。変拍子は曲のメロディーを際立たせる効果を持っている。いい使い方だ。8曲目「It Sucks」はロック的な曲。9曲目「Fallen Through」はアコースティックギターをバックに語りかけるように歌う曲。ドラマチックに展開し、重厚な曲だ。10曲目「Hypocrite」はアップテンポの軽快な曲。11曲目「Unpredicable」は音が途切れるような面白い演出が面白い。12曲目「Shot To Pieces」はパンク風。13曲目「Smoke + Mirrors」はストリングスで始まるスローなバラード。アルバムをどっしりと締めてくれる。
 
とにかく、どの曲もシングルカットにふさわしい印象的なものばかりだ。このアルバムは2004年にCapitolから発表された。このCDはEMIから発売されたEU盤だ。(20100911/yoc/カルト・ミュージック・コレクション)

Freya / Tea With The Queen

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今日からしばらく、最近こだわっているガールズ・ポップについて書く。「ガールポップ」という言葉があるが、こちらは日本の若手女性ポップス歌手・シンガーソングライターを盛り立てていこうというメディアミックスムーブメントを想起させるので、あえて「ガールズ・ポップ」という言葉を使った。とはいえ厳密にジャンル分けをしている訳ではなく、とにかく女性ミュージシャンのアルバムをこのカテゴリに収めていく。今日のアルバムはFreyaの「Tea With The Queen」だ。
 
FreyaはFreyjaとも綴り、ノルウェー神話で愛を象徴する女神のことだ。CDライナーの内本順一によると、Freyaは1978年にデンマークのチュナーという小さな町に生まれた。デンマークとノルウェーはスカゲラク海峡を挟んで海に隔てられた隣国だ。両親はともにデンマーク人で、1982年に教師である両親がボランティア団体によってタンザニアに派遣され一家転住、タンザニアのアメリカンスクールで学ぶようになる。Freyaが4歳の頃にあたる。その後一度デンマークに戻るが、1988年にはケニアに移り住むことになる。ナイロビ近くの町ティカのイギリス系寄宿学校に学び、ここで歌のレッスンを受けたという。このときFreyaは10歳ほどの頃だ。1991年にはデンマークに戻りギターを学ぶ。地元の音楽学校にも通い、9年生の中等学校に在籍中からバンド活動を始めたという。
 
Freyaの魅力は、裏声をうまく使ったハスキーな歌声にある。歌い出しにかすかに裏返る歌声。そして自分の声を効果的に表現するメロディーライン。若々しいエネルギーにあふれている。アルバムに収められた曲は14曲で、シニカルな歌詞の曲もあるが、Freyaの声質のために、どの曲もポジティブで明るいイメージに彩られている。だが歌詞は恋人との離別を歌ったシニカルなものもある。一度聴けば忘れられない印象的な曲ばかりで、語りかけるように歌う1曲目「It's Already Wednesday」、ドラマチックな「Sir Oliver」、とてもポップでFreyaの声がぴったりの3曲目「Yellow Ladybird」と軽快な曲が続く。4曲目「Mother」では母との心のつながりを歌い、5曲目「Little Miss」では少し気持ちのあわない友達のことを歌い、6曲目「No Pity From The Flowers」ではひとりの女性の成長を花の成長と重ね合わて歌うと、少し落ち着いた雰囲気の曲が続く。そして7曲目「She Was Always On Her Mind」は女性が女性に惹かれる歌。
 
8曲目「Why Girls Like Me Eat Boys Like You」ではアコースティックギターだけをアルペジオ伴奏して歌う、とても印象的な曲だ。歌詞も「女の子が男の子を食べる」といったシュールなもの。9曲目「Toungue Tied」、10曲目「Stupid Liar」は恋の曲。11曲目「The Laws Of Digging」は叙事的でドラマチックな曲。12曲目「Oranges」はあなたと私をオレンジとリンゴなどに喩えて言葉遊びをする。13曲目「Mr. Opposite」は少し深刻なイメージで、互いに心がぶつかりあう二人を歌っている。最後の14曲目は「Yellow Ladybird」のアコースティックギターバージョンだ。
 
とにかく清々しい。そしてキュートだ。飾ることなく素直に自己を表現している感じがある。余計なエフェクトを排したボーカルの録音手法もいい。天使の歌声だ。
 
このアルバムは1999年にPolyGram Denmarkから発表された。このCDはポリドール株式会社から発売された日本盤だ。(20100906/yoc/カルト・ミュージック・コレクション)

New Killer America / SKRAPE

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このアルバムも「ジャケ買い」だ。ジャケットデザインというものは、ミュージシャンが訴えたい何がしかのことを伝えるものであるはずだが、このジャケットがCD店に並んだとき、彼らは何を伝えようと思ったのだろう。もちろん客の目を惹くことだけは間違いない。それにしても痛痒いデザインだ。

SKRAPEは1990年代からアメリカで活動しているバンドで、最初は「JOJO」と名乗っていたらしい。バンド名を「SKRAPE」と変えた彼らはRCAレコードから2枚のアルバムを出すことになるが、これは2001年に発表されたファーストアルバムだ。

1曲目と2曲目あたりはボーカルの押しつぶした声が「デスメタル」風である。しかし3曲目の「Good By」では遠い距離感を感じる深く長いリバーブをかけた澄んだ声を聞かせてくれるし、4曲目の「Isolated」ではシンセサイザーの未来的な音がかぶさるなど多様な面をみせてくれる。

音の特徴はギターで形づくられている。ギターバンドである。6曲目「Sunshine」や10曲目「Broken Knees」などで聴かれるパワーコードを中心とする強力なリフ、8曲目「I Know」のメロディアスなボーカルラインなどにニルヴァーナを連想させるものがある。アルバム全体を通じて重厚なリズムと炸裂するギターが曲を埋め尽くしているが、メロディアスなボーカルも魅力である。シャウトぎみの歌い方ではあるが、メロディアスでハーモニーも重視されている。3曲目「Goodbye」、9曲目「Kill Control」、13曲目「No」あたりにボーカルが印象深い。

それほど技巧に優れている訳でもなく、リフを刻むリズム感ももたついたところもあるが、やりたい音を出しているという感じのギターは爽快だ。このアルバムは2001年に発表された。このCDは2001年に株式会社BMGファンハウスから発売された日本盤だ。(20091130/yoc/カルト・ミュージック・コレクション)

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「ジャケ買い」という言葉がある。この言葉をネットで調べると「用も無いのにCD屋に入りびたり、中味をまるで考慮せずに、ジャケットの印象のみでCDを購入してしまうという病気。主に小遣いに微妙に余裕のできる10代の半ばにかかる病気で、20代になると少し収まるが、大人買いできるようになる20代後半で再び発症することが多い。根本的な治療法は無く、なるべくCDショップに近づかないという対処でやり過ごすしかない。」と書かれたblogがあった。まさにぴったりの解説だ。ただし俺はもはや10代でも20台でもない。だが未だに時折「ジャケ買い」の衝動にかられる。そこでだ。今日からしばらく、最近の「ジャケ買い」で正解だったアルバムを紹介してやろう。

今日はこれだ。「TRIPPING DAISY」というバンドのアルバム「I am an Elastic Firecracker」である。グループ名の「TRIPPING DAISY」は「軽快なひな菊」、「I am an Elastic Firecracker」は「私は、弾力性がある爆竹です」というかんじか。

このジャケットは、いったい何だろう。体中に赤いペンキのような塗料を塗りたくった初老の男。この写真の男は何物なのか。なぜこのジャケットに登場したのか。そもそもどんな意図が込められているのか。あるいは無意味なのか。CD店でこのジャケットが人目につき、手にとってレジに向かうことを期待しているのだろうか。それにはあまりにも意味がわからない。

このバンド「トリッピング・デイジー」はギタリストでボーカルのTim DeLaughterティム・デラフターと、ドラムのJeff Bouck、ギターのWes Berggrenウェス・バーグレン、ベースのMark Pirroマーク・ピローによって1990年に結成され、米テキサス州ダラスで活動した。1992年にドラムがBryan Wakelandブライアン・ウェイクランドに交替し、ファースト・アルバム「Bill」を発表した。そして1995年のセカンド・アルバムがこの「I am an Elastic Firecracker」だ。

演奏はラフで、いかにもギターバンドというものだ。ガレージ・パンク風の音作りとサイケデリックな作風がミックスしたもので、あるひとつの型にはめられたのではない、自分たちがやりたいロックを自由にやっている雰囲気がある。バンドとしてのコンディションもよく、それぞれのメンバーが自分の持ち味を生かして曲を紡いでいる。疾走感のある曲もいいが、バラード風のしっとりとした曲にむしろ味わいがある。英語版のwikipediaには「Tripping Daisy was a neo psychedelic pop rock band」という記述がある。「ネオ・サイケデリック・ポップ・ロック」とはうまく表現したものだ。

1992年にファーストアルバム「Bill」、1995年にこのセカンドアルバム「I Am an Elastic Firecracker」を発表。そして1998年に「Jesus Hits Like the Atom Bombを発表しているが、その後1999年10月27日にギタリストであるウェス・バーグレンが自宅のアパートで死んでいるのが発見された。ドラッグの過剰摂取とみられている。そのためにグループはツアーやレコーディングの計画を中止せざるを得ず、結果的に1999年12月14日に正式に解散を表明した。

ウェス・バーグレンの死後、当時のメンバーだったティム・デラフターとマーク・ピロー、ブライアン・ウェイクランドは、2000年頃からThe Polyphonic Spreeポリフォニック・スプリーというグループをやっている。このアルバムは1995年に発表された。このCDは1995年にIsland Records Inc.から発売された米盤だ。(20091119/yoc/カルト・ミュージック・コレクション)

30 Jahre Live / GURU GURU

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GURU GURUの音楽をどのジャンルにするか迷ったが、「ロック・アンド・ブルース」に分類することにした。GURU GURUの音楽は、かつては「プログレッシブ・ロック」に分類されることもあったし、音楽のスタイルではなく「ジャーマン・ロック」と呼ばれることも多かった。しかし音楽のスタイル、そのスピリットは「ロック・アンド・ブルース」だと思う。

ドイツ語の「jahre」は英語の「year」つまりこのアルバムは、GURU GURUの30周年記念ライブという訳だ。3枚のCDで構成されており、1枚目は「Finkenbach Festival 1998」とあり、2枚目は同フェスティバルのうち「Supersession」だとある。3枚目は「Live in Frankfurt 1971」とある。3枚目はボーナスCDの扱いだ。

1枚目のCDのハイライトは、まず5曲目の「Moshi Moshi」だ。タイトルは日本語の「もしもし」で、歌詞には日本語が使われている。「Hello,hello モシモシ Hi, I like the うめぼし」「いち、さん、し I'm a guy of Germany. I saw the jungle of 京都」「なな、ろく、はち、く We enjoy 大阪区」「あなた、わたし between 心斎橋」というかんじだ。ごきげんだ。この「Moshi Moshi」はオフィシャル・アルバムのタイトル曲でもある。ぜひ聴いてみたい。

CD1の演奏は、マニ・ノイマイヤーMani Neumeier(drums,vocals,percussion)、ローランド・シェッファーRoland Schaeffer(guitar,sax,vocals and nadaswaran)、ペーター・カームシュテットPeter Kuhmstedt(bass,vocals)、ルイージ・アルケッティLuigi Archetti(guitar,vocals)である。ゲストとしてハンス・レッフェルトHans Reffert(guitar)、ウチハシ・カズヒサUchihashi Kazuhisa(guitar)、ブッツェ・フィッシャーButze Fischer(percussion)、ラゼム・レーベルRazem Rubel(vocal)の名前がある。

CD2のスーパーセッションはすごい。ギターはカンのミヒャエル・カローリ、ボーカルはダモ・鈴木がいる。他はアックス・ゲンリッヒAx Genrich(guitar)、インゴ・ビスコフIngo Bischof(keyboards)、マンジャオ・ファティMandjao Fati(bass)、サムソンSamson(percussion)、カルロスCarlos(percussion)、ギュンター・レーガーGunter Reger(sax)となっている。

CD2の冒頭は「30 Years Celebration」で、どうやらコンサートでは前曲からの続きで演奏されているような出だしの切れ方である。グルーヴ感のある演奏がいつ果てるともなく続き、最後になって絶叫とともに現れるのはダモ・鈴木であろうか。曲はフェードアウトで切られており、コンサートではまだ続いていたことがうかがえる。途中で切られたのが残念だ。

CD3の録音も貴重だ。音質は良いとはいえないが、まさに1971年の音である。「Bo Diddley」は16分40秒、「Babycakewalk」は15分38秒、「Oxymoron」は18分01秒。いずれも充分に堪能できる長い演奏だ。

このアルバムは、最初1998年に日本でリリースされたと書かれている。このCDは2006年にRivisited Recordsから発売された独盤だ。紙ジャケット仕様でCD盤はレコードのようなデザインになっている。またグルグルの歴史や30周年記念ライブの模様の解説とコンサートなどの写真を収めた16ページの簡単なブックレットがついている。(20090728/yoc/カルト・ミュージック・コレクション)

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