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写真は、「秋の彩り」。/(11/19)散歩途にて、コンデジ撮影。
中国軍の文民統制は機能するか… 王国化した「人民解放軍」の手綱は締められたのか
先に失脚した薄煕来中国共産党中央政治局員(右)と会話する徐才厚党軍事委副主席(いずれも当時)。汚職撲滅が文民統制につながるか=2012年3月の全国人民代表大会(AP)
アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議における日中首脳の歴史的握手は、さまざまな意味で大きな話題になった。両首脳の硬い表情に意味を見いだそうとする向きは多い。しかし、互いの国内世論を意識した演出にこだわるより、この首脳会談に至った日中合意をみると、長年、外交の世界に身を置いた私でも拍手を送りたいほど、苦し紛れではありながらも、互いのメンツを保った見事な妥協だった。
衝突回避へ協議開始
日中両国の世論は、ともに「尖閣」と「靖国」の2点について、どちらが譲歩したかに注目しているが、第三者である私から見れば、最大の成果は世界第2と第3の経済大国が感情的ないがみ合いから起こりうる破滅的戦争をかろうじて遠ざけ、軍事衝突回避措置の協議開始に合意したことである。
衝突回避への取り組みは、両国の軍関係者の間で、既に静かに進められている。ときに極端な憎悪に走る国民感情に左右されることなく、戦火を交える場合に直接の当事者となる軍関係者同士が、戦争回避の方策を冷静に探るのは心強い。
軍関係者同士の話し合いといっても、さまざまな障害が予想される。その一つに、協議相手の当事者となる人民解放軍の文民統制が、きちんと機能しているかという問題が、しばしば取り沙汰されている。
ベルギーの欧州アジア研究所のフェイジュ氏が最近の国際時事雑誌TheDiplomatで書いたように、中国軍の文民統制には疑問があり、中国の軍事台頭に頭を悩ます米国や近隣諸国も重大な関心を寄せているところである。
実際、ここ数年間の中国の海洋軍事進出が引き起こした「事件」のうち、どれが実際に中国政府の意向や戦略を反映したものだったかは疑問を抱かざるを得ない。フェイジュ氏が指摘するように、その背景には、党中央の権力争いに乗じて一大独立王国と化しつつある人民解放軍と政府、とりわけ外交部との連携の著しい欠如がある。
東シナ海といい、南シナ海といい、微妙な駆け引きが鉄則であるはずの係争海域において、突発的に起こる中国軍に端を発した事件(中国軍機による自衛隊機への接近飛行、防空識別圏の一方的設置、レーダー照射事件など)の大半はどうやら、外交音痴の軍の現場が勝手に引き起こしてから、党首脳や外交部が後追いをせざるを得ないとしか見えないケースが多かったようだ。
自己肥大化した軍
防空識別圏の設置の問題をとっても、単に「識別」するためなら設置そのものは国際法上問題なかった。にもかかわらず、国際慣習への無知からか、「圏内に無断で入ったものは攻撃する」と軍部が勝手に発表したから大騒ぎとなってしまった。
接近飛行の件も中国パイロットのいたずらというし、レーダー照射も中国軍艦艦長の勇み足だったようだ。
このような中国軍の文民統制の危険なほころびは「党の軍隊」という性質によるところが大きい。軍の対外行動に限らない。地方行政の面でも、北京の党中央や政府が発した命令指示が、汚職の蔓延(まんえん)も手伝って、地方の末端にまで行き渡らないことの弊害は、中国国内でもたびたび指摘されている。
この意味において、最近の中国共産党指導部による強力な汚職撲滅運動は、軍のトップで党中央軍事委員会副主席だった徐才厚氏(71)の失脚に見られたように、とりわけ自己肥大化した人民解放軍を再び党の手綱にしっかりと戻すという歓迎すべき効果を生んでいる。
この一つをもって、中国の台頭が引き起こす対外摩擦や近隣諸国との緊張が解決されるまではいかないと思う。ただ、近隣諸国にとっては、少なくとも交渉相手としての中国は党・政府と軍が一本にまとまっている必要がある。そうなれば、今までのような政府と軍の立場と行動がバラバラな状況より、対処しやすくなるというメリットが期待できるだろう。
◇
チェン・ヨ・ズン
元フランス外交官。日本、米国、シンガポール、中国などに駐在。2012年に定年退官。慶応大大学院修了。台湾生まれ。
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