写真は、紅葉にはまだ早い、三州足助の香嵐渓「巴川」にて。(10/9)
『吹けよ風、龍よ遊べ。』雪村の心意気。・・・
ただ、私は雪村(せっそん)は初耳で、
全くその存在を知りませんでした。
(わたしは写真を撮りたいんです。 美しい写真を!
ただそれを・・・楽しみたい。)/安斐路
ミステリー絵画シリーズ 雪村周継 「呂洞賓図」
途方もない問題作を遺した男です。突然変異のように現れた謎の絵師。
ただし、凄腕です。
ミステリー絵画第4弾は、雪村周継作『呂洞賓図』。
縦およそ1m20cm、幅60cm程の水墨画です。
背景は、暗い霧に包まれた海。海面が割れ、逆立つ波間から龍が姿を現しています。
その頭に立つ一人の男。
彼こそが「呂洞賓(りょどうひん)」と呼ばれる仙人です。
両手を広げ、胸を張り、全身に風を集めて天空を見上げています。
その眼が見つめているのは、天翔ける龍。
仙人が左手に持っている瓶からは、なにやら気体のようなものがゆらゆらと立ち上っています。 風が吹きつける中、龍と仙人が対峙しているスペクタクルな世界。
けれども、実はこの絵の中で途方も無いことが起きているというのです。
一体何が起こっているのでしょうか?
描いたのは雪舟ではなく、雪村。安土桃山時代の画僧です。
もともとは武家の出身で、
現在の茨城県常陸大宮市一帯の守護大名・佐竹一族の家に生まれました。
しかし、父が側室の子に家を継がせた為に、禅僧になり画家を目指したと伝えられています。 そんな雪村の絵は、
江戸文人画の重鎮・谷文晁、琳派の天才・尾形光琳、光琳の後継者・酒井抱一など、
美術界の玄人筋から愛されました。
墨の濃淡で深山の静寂を描いたかと思えば、表情豊かに人物を描きあげ、
まるで前衛絵画の趣を持つ作品も描いてしまう。
そんな雪村は、江戸の頃から既に伝説的な存在だったのです。
では、それ程の腕前を雪村はどこで身につけたのか?これまで、
雪村は一文字違いの雪舟の弟子であると信じられてきました。
けれども、雪舟の弟子はもとより、雪村は箱根の山より西に行った形跡はありません。
師匠もなく、京の都で学んだわけでもなく、
雪村は東国を遍歴しながら自分の世界を作り上げた極めて稀有な画家だったのです。
今日の1枚『呂洞賓図』は、福島会津の守護大名・芦名盛氏に請われ
会津に滞在していた折に生まれたといわれています。
一見すると、古代中国で庶民を助ける正義の英雄として人気のあった
仙人・呂洞賓を描いたただの水墨画のように見えますが、
実は絵の中ではすごいことが起こっているのです。
その謎を読み解く鍵は、絵に描かれた龍の数にありました。
実は、この絵の中に龍が4体描かれているのです。
空に1体、そして呂洞賓の足元に1体。
では、あとの2体はどこにいるのでしょうか…?