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警察官は,被疑者甲及び乙について,Aをナイフで脅迫し現金を奪った旨の強盗の被疑事実により逮捕状の発付を得た。
1 警察官は,甲を逮捕するためその自宅に赴いたが,甲は不在であり,同居している甲の妻から,問もなく甲は帰宅すると聞いた。そこで,警察官は,妻に逮捕状を示した上,甲宅内を捜索し,甲の居室でナイフを発見し,差し押さえた。この捜索差押えは適法か。
2 警察官は,乙の勤務先において逮捕状を示して乙を逮捕し,その場で,乙が使用していた机の引き出し内部を捜索したところ,覚せい剤が入った小袋を発見した。警察官はこれを押収することができるか。
1 本件捜索差押の適法性の有無を検討する際に、逮捕時の無令状捜索差押に係る時間的限界をいかに解 釈するかを考える必要性がある。
もっとも根拠条文は憲法35条及び刑事訴訟法第220条第1項2号を適用することに争いはない。
法原理的なとらえかたの違いから範囲を逮捕時における被疑者の証拠隠滅を防ぐための例外的措置とし て認める緊急処分説と合理的捜査の観点から認める相当説に分かれる。
前者は、被疑者の基本的人権・プライバシー権に比重がおかれ、後者は証拠物の確保・真実発見に比 重がおかれ、両者の均衡をどこに置くかというのが根本問題といえる。
緊急処分説の立場から鑑みた場合、本件捜索差押は、逮捕時に限り、被逮捕者の周囲に限定してのみ
許すべきであるから違法であると考えられる。
なぜなら、形式的にも文理解釈上憲法35条が原則であることは明白であるし、刑事訴訟法第220 条第1項2号に「逮捕の現場で」と明記されている以上刑事訴訟法第219条における「捜索すべき場 所」と同一視して考えることは法構造上矛盾する。
また実質的にも身柄の確保と物の証拠保全では、正当性は前者により慎重になるべきであり同質の性 格のものではない。よって、逮捕付随の範囲外の捜査とみなされ、令状主義に服する必要があると考え られるからである。
しかし、本件を違法とするには疑問が残る。
相当説にたって考えた場合、形式的には憲法35条には文理解釈上「憲法33条を除いては」と明記 されており、憲法35条に一元的原則を求めることは法構造上不都合でむしろ刑事訴訟法第220条を 立法上補完するいわば二元構造主義をとっており、法政策にゆだねる構造は明らかである。又判例にお いても、令状主義における「逮捕すべき場所」と無令状による「逮捕すべき場所」は同一であるという
見解をとっており、場所的範囲つまり時間的範囲も捜査機関にゆだねられているとみなされる。
実質的にも逮捕の正当性を確保することによりプライバシー権の確保が当然に図られているとみるべ きである。また捜査の迅速性・効率性の観点からも捜査経済上不合理である。
よって、刑事訴訟法第220条第1項第2号により
逮捕実施時に合理的に証拠物を確保する必要性
憲法31条の法定手続きの保障は刑事訴訟法にも当然に適用されること
から、逮捕現場を捜索すべき場所とした場合に想定される範囲内で当該被疑事実に関連する証拠を
差し押えることができる。
ただ、判例解釈上は、いわば救済判例的ではあるが時間的に相互に接着していて結局逮捕が完遂する に至ったならば違法のとがは受けないとしている。
この判例は捜査の合理性を加味し、かつ逮捕という強制処分が適法に行われる以上、侵害性が相対的 に弱い捜索差押えのプライバシー侵害性は低いとみるためである。
本件事例の場合、逮捕が完遂したか否かの記載はないが、現実問題として捜索差押後逮捕が完遂でき るか否かはわからない。よって、逮捕が完遂することを期待を予見して捜索差押を実施する本件行為は 違法であると考える。
その他、強盗の被疑事実を構成する上で必要なナイフの差押は適法であるといえる。
2はちょっとまって・・・。ちょっと長すぎますね・・・。
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ブログに答案を公表しているので、コメントしてしまいますが、論理展開に「ネジレ」があって冗長にすぎるだけでなく、結論を無理に導いているあたりからして、合格点には若干及ばないと思います。
失礼しました。
弁護士ブログ 彩雲 Saiun の志とともに
2008/9/7(日) 午後 8:21 [ ZEKE@SAAL ]