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北朝鮮による拉致問題の解決へ向けた動きが停滞する中、拉致被害者の地村保志さん(61歳)(小浜市)が、福井県敦賀市で開かれた早期解決を呼びかける啓発イベントで「拉致問題はだんだんと風化している」と訴え、来場者に協力を呼びかけた。 2002年に帰国した地村さんが、公の場で拉致問題について発言したのは初めてで、先行きの見えない日・朝関係を含め、現状に対する憂慮を示した。 イベントは政府が啓発用に制作した映像作品「〜メッセージ〜家族たちの思い」の初上映会で、政府の拉致問題対策本部や福井県などが8月29日、同市東洋町の市福祉総合センター「あいあいプラザ」で開き、約150人が訪れた。 拉致被害者家族連絡会の飯塚繁雄代表(78歳)が 「もう時間がない。一致団結して北朝鮮に怒りを示すことが日本政府の後押しになる」 とあいさつ。 作品では、横田めぐみさん(拉致当時13歳)の母・早紀江さんや、松本京子さん(同29歳)の兄・孟(はじめ)さんら被害者の家族4人のメッセージ朗読のほか、帰国が実現していない他の拉致被害者らに関する解説ビデオも流された。 感想を尋ねる司会者に対し、手を挙げたのが地村さんだった。 会場がざわめく中、地村さんは帰国時の支援に感謝した後、 「近年の流れを見ると、拉致の問題はだんだんと風化している」 と正面から切り出した。 帰国当時より世間の反応が薄らいでいるとし、 「今回のメッセージは、生存者が一人でも多く、一日も早く帰ってこられるかということ。みなさんの力で政府に働きかけていただき、日・朝間の第一の懸案として解決してもらえるように、ご協力をいただきたい」 と頭を下げた。 地村さんに同行した「北朝鮮に拉致された日本人を救う福井の会」(救う会福井)の森本信二会長(60歳)によると、地村さんは会場入りして飯塚代表と面会した後、自ら発言する決心を固めたという。 飯塚代表は 「本心から残る被害者の帰国を望んでくれていると思う。発言の影響力もあり、よく話してくれた」 と述べた。 上映会の終了後、地村さんは、父・保さん(89歳)、義兄の浜本雄幸さん(87歳)ら上の世代が中心だった救出活動の継続が難しくなってきており、自らの責務を感じたことを挙げた。 一方で 「被害者としては拉致問題を第一に取り上げてほしいが、世界情勢を見ると、核やミサイルの問題も無視できない」 と複雑な思いものぞかせた。 ■政府拉致問題HP http://www.rachi.go.jp/ ■警察庁HP http://www.npa.go.jp/ ■救う会全国協議会HP http://www.sukuukai.jp/ ■特定失踪者問題調査会HP http://www.chosa-kai.jp/ ■北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会HP http://hrnk.trycomp.net/ ■特定失踪者・北朝鮮人権ネットワークfacebook http://www.facebook.com/nknet2015 ◆昭和53(1978)年7月7日 アベック拉致容疑事案 被害者:地村保志さん(拉致被害時23歳) 被害者:地村富貴惠さん(旧姓:濱本)(拉致被害時23歳) 「二人でデートに行く」と言って出かけて以来、失踪。 2人は昭和54年に結婚。 平成14年10月に日本に帰国。 娘1人と息子2人は平成16年5月に帰国。 捜査当局は、拉致実行犯である北朝鮮工作員、辛光洙(シン・グァンス)について、平成18年2月に逮捕状の発付を得て国際手配するとともに、政府として北朝鮮側に身柄の引渡しを要求している。 ※「(拉致実行犯に担がれて)階段を一歩一歩下りるとき、犯人の肩がお腹にめり込んで痛かった」 (地村富貴恵さんの証言) ■福井県警HP http://www.pref.fukui.jp/kenkei/ ◆昭和53(1978)年6月頃 李恩恵(リ・ウネ)拉致容疑事案 被害者:田口八重子さん(拉致被害時22歳) 昭和62年11月の大韓航空機(KAL)爆破事件で有罪判決を受けた元北朝鮮諜報員金賢姫(キム・ヒョンヒ)氏は「李恩恵(リ・ウネ)」という女性から日本人の振る舞い方を学んだと主張している。この李恩恵は行方不明となった田口さんと同一人物と考えられる。 北朝鮮側は、田口さんは1984(昭和59)年に原 敕晁さんと結婚し、1986(昭和61)年の原さんの病死後すぐに自動車事故で死亡したとしているが、これを裏付ける資料等の提供はなされていない。 平成21年3月、金賢姫氏と飯塚家との面会において、金氏より田口さんの安否にかかる重要な参考情報(注)が新たに得られたことから、現在、同情報についての確認作業を進めている。 (注)金氏の発言:「87年1月にマカオから帰ってきて、2月か3月頃、運転手から田口さんがどこか知らないところに連れて行かれたと聞いた。86年に一人暮らしの被害者を結婚させたと聞いたので、田口さんもどこかに行って結婚したのだと思った」 ※「八重子さんが北朝鮮の南浦港に着いたとき、女性通訳に“私には子供が二人いて、どうしても日本に帰らなくてはならないので、返してほしい”と何回も言ってお願いしたそうです。八重ちゃんの思いは最初から最後まで子供のことでいっぱいでしたし、今でも間違い無く“今、彩ちゃんはいくつになって、耕ちゃんはいくつになった”と毎年計算して、どんな大人になったか知りたがっているはずです。すごく会いたがっていると思います」 (拉致被害者・地村富貴恵さんの証言) ■埼玉県警HP http://www.police.pref.saitama.lg.jp/ ■救う会埼玉HP http://sukuukai.gozaru.jp/ ■拉致問題を考える川口の会HP http://kawaguchi.aikotoba.jp/list.htm ◆昭和53(1978)年6月頃 元飲食店店員拉致容疑事案 被害者:田中 実さん(拉致被害時28歳) 欧州に向け出国したあと失踪。 平成14年10月にクアラルンプールで行われた日・朝国交正常化交渉第12回本会談及び平成16年に計3回行われた日・朝実務者協議において我が方から北朝鮮側に情報提供を求めたが、第3回協議において北朝鮮側より北朝鮮に入境したことは確認できなかった旨回答があった。 平成17年4月に田中 実さんが拉致認定されて以降、政府は北朝鮮側に対し即時帰国及び事案に関する真相究明を求めてきているが、これまでに回答はない。 ■兵庫県警HP http://www.police.pref.hyogo.lg.jp/ ■救う会兵庫HP http://www.sukuukai078.net/04.html 《特定失踪者・金田竜光さんについて》 ◆氏名:金田 竜光 (かねだたつみつ) ◆失踪年月日:昭和54(1979)年ごろ ◆生年月日:昭和27(1952)年 ◆性別:男 ◆当時の年齢:26歳 ◆当時の住所:兵庫県神戸市東灘区青木 ◆当時の身分:ラーメン店店員 ◆身長:180cm ◆失踪場所:神戸市東灘区 【失踪状況】 金田さんは韓国籍。 田中 実さん(昭和53年に拉致)と同じ施設で育った。 昭和52年ごろ、田中 実さん拉致実行犯・韓竜大(ハン・ヨンデ)が経営するラーメン店「来大」に就職。昭和53年に田中 実さんを「来大」に紹介し、ともに働く。同年、韓竜大の誘いにより、田中 実さんがオーストリア・ウィーンに出国。 半年ほどして、田中 実さんが差出人になっているオーストリアからの国際郵便を受け取る。その内容は「オーストリアはいいところであり、仕事もあるのでこちらに来ないか」との誘いであった。 田中さんの誘いを受け、打ちあわせと言って東京に向かったが、以後一切連絡がなく、行方不明となる。 連絡がないことを不思議に思った友人が、この間の事情を知る韓竜大に再三説明を求めたが、「知らない」と繰り返す。 その後失踪した2人を知る友人たちの間で「2人は北朝鮮にいる」との噂が広まり、韓竜大に近づく者がいなかった。 「救う会兵庫」は平成14年10月に韓竜大、15年7月にその共犯である曹廷楽(チョ・ジョンガリ)についての告発状を兵庫県警に提出している。 ■兵庫県警HP http://www.police.pref.hyogo.lg.jp/ ■救う会兵庫HP http://www.sukuukai078.net/04.html 《特定失踪者・藤田 進さんについて》 ※国連人権理事会が調査要請を受理した事案 ◆氏名:藤田 進 (ふじたすすむ) ◆失踪年月日:昭和51(1976)年2月7日 ◆生年月日:昭和31(1956)年6月16日 ◆性別:男 ◆当時の年齢:19歳 ◆当時の住所:埼玉県川口市南町 ◆当時の身分:東京学芸大学教育学部1年生 ◆特徴: 1)家ではあまりしゃべらないタイプ 2)ギターがうまかった ◆失踪場所:埼玉県川口市の自宅 【失踪状況】 失踪当日6:30〜7:00頃、以前から言っていた新宿のガードマンのバイトに行くといって服を持って家を出たまま帰らず。 後に新宿にある全ての警備会社に電話で問い合わせたが該当者はいなかった。 脱北者が北朝鮮から持ち出した写真が鑑定の結果、藤田 進さんである可能性が極めて高いことが判明。 平成16年1月28日、埼玉県警に告発状提出。 ■埼玉県警HP http://www.police.pref.saitama.lg.jp/ ■救う会埼玉HP http://sukuukai.gozaru.jp/ ■拉致問題を考える川口の会HP http://kawaguchi.aikotoba.jp/list.htm 【拉致事件、捜査の現状】 北朝鮮による拉致事件を巡り、日本の警察はこれまで実行犯や指示役として北朝鮮の元工作員たち合わせて11人を国際手配しています。 拉致には金正日(キム・ジョンイル)総書記が掌握していた対外情報調査部と呼ばれる工作機関が組織的に関わっていた疑いが強いと見て捜査を続けています。 このうち、福井県の地村保志さん・富貴恵さん夫妻を拉致した実行犯として元工作員の辛光洙(シン・グァンス)容疑者が手配されています。 また、大阪府の原 敕晁さんが拉致された事件では、辛容疑者とともに金吉旭(キム・キルウク)容疑者も共犯者として手配されています。 この他、東京都の久米 裕さん拉致事件では金世鎬(キム・セホ)容疑者が、新潟県の曽我ひとみさん拉致事件にはキム・ミョンスク容疑者がそれぞれ関わったとして手配されています。 北海道出身の渡辺秀子さんの子供2人の拉致事件では、工作員グループのリーダー格で北朝鮮にいると見られる洪寿恵(ホン・スヘ)こと木下陽子容疑者が手配されています。 新潟県の蓮池 薫さん・祐木子さん夫妻の拉致事件ではチェ・スンチョル容疑者が実行犯として手配されている他、金総書記が掌握していた対外報調査部と呼ばれる北朝鮮の工作機関の幹部であるハン・クムニョン容疑者とキム・ナンジン容疑者が拉致の実行を指示したとして手配されています。 ハン容疑者たちは工作機関で「指導員」と呼ばれる立場で、辛光洙容疑者たちもこの組織の一員だったことがわかっており、警察は北朝鮮が組織的に拉致を実行した疑いが強いと見て捜査を続けています。 よど号ハイジャック事件のメンバーたちも1980年代にヨーロッパで相次いだ3人の日本人拉致に関わった疑いで国際手配されています。 このうち、有本恵子さん拉致事件では魚本公博(安部公博)容疑者が、石岡 亨さんと松木 薫さん拉致事件ではよど号メンバーの妻の森 順子・若林佐喜子両容疑者がそれぞれ手配されています。 |
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