もつれるチーズ

今夜の酒の肴は何にしようかと、朝から考えています。

全体表示

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

イメージ 1

 好きな食べ物は? と聞かれれば、「麩」と答える。つづけて、好きな色は? という問いならば、答えは「黄」である。このあたりは質問者とのなれあいであり、もし面白がって「それじゃ‥‥」などと言い出す第三者がいても、それ以上は用意していない。「もういいよ」と、いっそう無口になったかもしれない。
 つるんで飲み歩いていたのは、遥か昔の話。そのあともたまに集ったりしたものの、もうほとんどが死んでしまった。年上が多かったのだから、仕方のないことではある。思い出しながら、ひとり部屋で麩を食っている。

 それにしても麩は重宝している。すき焼きにも入れる。どちらかといえば、麩を入れるのは関西風なのかもしれない。煮汁をきっちり吸うのだから、あまり濃くないほうが合っているということだろうか。
 肉じゃがの煮汁に麩を入れ、丼にした。始末料理といったかんじだが、なかなかのものである。それと、浅蜊の味噌汁。

 大勢で鍋をやったとき、生麩が入っていて感激したことがある。自分でもやってみようと思いながら、二十年が経つ。気に入ったことは憶えているものの、どんな味だったかは、すでに前世の記憶のようである。手近に求められないということもあるが、高いので覚悟が必要なのである。安い麩と、高い生麩、どこにでもある麩と、取り寄せなければ手に入れられない生麩、つい較べてしまうのだ。それでもこの冬には、ひとりの鍋に入れてみようと思う。

精はつかなくてもいい

イメージ 1

 マグロが高くなるとか。
 あまり好きじゃないから関係ないと、他人事みたいに聞き流していたのに、早速買ってしまった。べつにこれが食い納めというつもりじゃなく、長芋を買ったので、山かけにしようと決めたから。
 その長芋だが、昔からこんなに安かったのだろうか。なんだかこの手の芋は高いもの、精がつくものと、勝手に思い込んでいたのかもしれない。銀杏の葉の形をしたのは、大和芋というのかな、あれが高いのかもしれない。そういえばこの長芋、さらっとしていて、すりおろすのもずいぶん簡単だった。これじゃ精もつかないと、安いとなるととたんに侮ってしまう。まあ、精はつかなくてもいいのだが。
 レタスも買った。これなどなければないでいっこうに平気で、しばらく買っていなかったということは、ここのところ高かったのだろう。まったく、やりくり上手なおじさんである。レタスは包丁を入れないのがいいというけれど、しっかり刻んで食った。

牡蠣の土手鍋風

イメージ 1

 牡蠣は土手鍋風にしてみた。といっても、土手鍋なるもの、食ったことはない。ずっと前に見た料理番組で、これを土手鍋風と呼んでいたように思うのだが、記憶違いかもしれない。あらかじめ粉を着けてさっと茹でておいた牡蠣を、香ばしく焼いた味噌で絡める。こうすれば牡蠣の身が縮まないということだった。それでも、ずいぶん縮んだような気がする。
 あとは肉じゃが。これは作っているときから、気持ちが安らぐ。

カビだらけの人生

イメージ 1

 面接に着ていこうと、唯一の黒い背広を出した。股のあたりにカビが生えていた。体にもカビが生えているかもしれない。ネクタイもなかなか見つからず、すでに前途多難である。

 月にせいぜい60時間ほどのパートの仕事で、ここまで勿体つけるかと、じれったかった。仕事が煩雑なのだという。馴れるまで大変だといい、出来ますかね、としきりに言う。
 「出来るつもりです。内容は話だけでは分りません。あとはこちらの判断ですね」
 にこやかに言ったつもりではあるが、切口上に聞えたかもしれない。人を見る目があると自負して面接をしているのなら、ぐずぐず言わずに自分で判断しろ、そう言いたいぐらいだけど、まあ頼りない顔をしていたのだろうね。面接は一時間に及んだ。そして最悪の感触。
 帰り道ふっきれた。断られるまでもなく、あそこには行かない。
 考えることは、来週また別のところに面接に行こう、それまでに股座のカビをなんとか消そう、今夜のおかずは何にしようか、そんなところである。
 まあ、たまにはこういうのも悪くない。なにしろ一日に字数にして30字ほどしか喋らない毎日である。半年分ぐらい喋ったような気がする。

 カキフライを作った。ソースも長い間切らしたままだったのだが、ついに買った。小さいのがいいと思っていたのが、特売で大きい方が安かったのだ。これからソースを使う料理が増えそうである。

イメージ 1

 居酒屋というには活気がないから、奮発して割烹とでも呼ぶのがいいだろうか。早い時間は近くの会社の連中が、遅くなれば店主の友達がぽつりぽつりやってくる、どこにでもよくある飲み屋なのだが、十五年ぐらい前の一時期、手伝ったことがある。その頃も長く失業していた。
 担当は洗い物と下ごしらえと、揚げ物。そこだけは客の目に付かない場所で、性に合っていたのだが、それにしては暇すぎた。客が一人だけで、カラオケでも始めようものなら、賑わいにと駆り出される。カラオケは嫌いなのだが、仕方なく歌うこともある。「無法松の一生(アンコ入り)」とか、あとは‥‥、いやとにかく仕方なしにいろいろ歌った。

 そのときも客は一人だった。店主の友達が他ですっかり出来上ってから、閉店間際に来たのである。水割りのセットをし、お通しを出せば、もう注文もなさそうだった。店主が客の隣に座れば、しょうがなくカウンターの中に立ち、話し相手になる気もないから布巾など洗っていたのだが、話の接ぎ穂が見つからない店主が、最近競馬どう? とこちらに話を振ってきたのをきっかけに、その客が「競馬やるやつは、みんな馬鹿だよ」と始めたのだ。
 競馬でも何でもギャンブルなどやるのは馬鹿なことというのなら、ほんとだよね、と笑って相槌を打つぐらいのことは出来たかもしれないのだが、客の言いたいのはそういうことではなかったようだ。儲かる買い方があるのに、馬鹿だから損をしているというのだ。ちなみに自分では賭け事は一切しないとのこと。
 聞いてみれば無邪気な話だった。賭け金を倍倍にしながら一番人気の単勝を買いつづけ、当ったところでやめるのだという。2倍つけばプラスになる、一番人気の馬が一日のうちにこないことはまずない、そう言うのである。聞き飽きた話で、聞き流せばよかったのだが、あまり馬鹿だ馬鹿だと言うものだから、つい相手になってしまった。
 「2倍つかないことも多いけど、それはまあいいよ。もっとつくこともあるしね。一番人気の馬の勝率は四割弱、殆どのレースで一番人気が勝つ日もあれば、12レースまったく勝てないときもある。100日競馬やれば、2,3日はそういう日だね。そのとき負けがいくらになるか」
 出まかせも交えて、数字を並べてみた。
 「千円から始めると」
 「そんなしけた買い方しないよ」
 「じゃあ、一万円からでいいや」
 1、2,4,8‥‥と、指を折りながら、目の前で計算をはじめた。
 「12レース終った時点で、マイナスはざっと四千万、対して、2倍の馬券を取ってやめた日のプラスは一万円‥‥」
 客はいつの間にか黙り込んでこっちの顔を見上げていたのだが、突然、あああ、と奇声を発して、気を失ってしまった。
 悪いことをした。酒でふやけた脳みそをかき回したのだから。しばらくして、その店をやめた。向いていないとつくづく思った。

 その店の揚げ物で注文の多かったのは、カキフライと揚出し豆腐。無邪気な必勝法を思い出しながら、今日は揚出し豆腐を作ってみた。人に食わせるものならば油から引き上げる頃合をいつも迷ったものだが、自分で食うならこんな気楽なものはない。あんも適当。


[PR]お得情報

CMで話題のふるさと納税サイトさとふる
毎日お礼品ランキング更新中!
2019年のふるさと納税は≪12/31まで≫

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事