もつれるチーズ

今夜の酒の肴は何にしようかと、朝から考えています。

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親切なスーパー

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 近いけれど、そのスーパーにはあまり行かない。よそよりいくらか高めのようである。魚なんかも清潔だけど、なぜか旨そうに見えない。まあそのへんは、ひねくれたおじさんとの相性の問題だろうが。唯一気に入ってるのは、いつもすいているということ。
 そのときも売場に客はぱらぱらとしかいなかった。いくつか籠に入れてレジに向うと、四つあるレジのうち1番だけが開いていて、その店員は誰かと話し込んでいた。つい並ぶのをためらっていると、しばらくして気付いたようだった。
 「あ、失礼しました」
 話していた相手も店員だった。そういえば同じ服装である。彼女はすぐに2番レジに立った。
 「お待たせいたしました。どうぞ」と1番レジの店員が言えば、2番レジの店員も振り向いて、「よろしければ、こちらへどうぞ」と、にっこり笑うのだった。
 選べと言われてもなあ。そのまま1番レジに進むしかなかった。買った品は袋に詰めてくれた。「有難うございました。またお越しください」と、ふたり揃って丁重に頭を下げられた。ふたりがかりの行き届いたサービスを受けた気分だった。

 それ以来行ってなかった。二ヶ月ぶりである。店内に足を踏み入れたとたん、「只今より夕市を始めます」とアナウンスがあった。「先着50名さま限り、レタスが一個50円‥‥」
 次々とワゴンが運ばれてくる。さあ買えと言わんばかりである。レタスを買い、ハムを買い、ココアまで買ってしまった。
 さすがに店内は混んでいて、レジも4台とも開いていた。どこにも2,3人の列は出来ていて、買物袋に詰めてくれることもなかった。

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 向島から浅草を経て上野へ。すっかり歩きなれた道である。かっては途方に暮れて歩いたこともある。それを思い出してか、なんだかまたも途方に暮れた気分になった。帰る住いはある、もう重い鞄も肩に食い込んではいない、それなのに心が覚束ない。こんなときに口ずさむのはこの歌。「ふしあわせという名の猫がいる いつもわたしのそばにぴったり寄り添っている‥‥」気分がぴったりなので、結構うまく歌えているような気になる。
 御徒町まで足を伸ばし、ずっと焦がれていた生たらこを、ついに手に入れた。そうなるとすこしは気分が変る。同じ店で靴も買った。近くにいた頃は、下駄を買うのもいつもこの店だった。
 帰途、口ずさむ曲が変る。「いじけていないで手に手をとって望みに胸を元気に張って‥‥」

 さて、生たらこ。包丁がうまく入っていなかったようで、見た目がちょっとおかしくなった。包丁が悪いのか、手が震えたのか。大事に作り、大事に食った。

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 一年以上も前のこと、スーパーの買物袋を提げての帰り道、交番の前に差しかかったところで、「ちょっと」と呼び止められた。どきっとしたけれど、声をかけたのは自転車に乗ったおばさんだった。おまわりさんは無表情に立っていた。
 「このへんに、おいしい肉まんの店があるって聞いたのだけど、知ってる?」
 四、五軒引き返したところに肉まん屋があるのは知っていた。有名らしいと、誰かに聞いたような記憶が、おぼろげながらある。いつも店の前に客がひとりふたりいて、それなりに流行っているのだろう。
 「少し行ったところに、肉まん売ってる店があるけど、そこのことかな」
 指さして説明しているのに、おばさんは示す方向には目もくれず、こっちの顔を眺めているのだ。親しげな表情はいいとしても、そのままの口調で、こんなことを言うのである。
 「食べたの? 食べたこと、あるの?」
 軽く咎めている響きさえある。いい加減に薦めないでよ、みたいな。誰が薦めるものか。いっぺんに不機嫌になってしまった。おまわりさんに拳銃を借りて、自転車のタイヤをぶち抜きたいぐらいの気持だった。
 「ない」
 おまわりさんは相変らず無表情に立っていた。

 ひょっとするとあれは売込みだったのかと、そんな想像もして、それ以来店の前を通りがかるたび中を覗いた。あのおばさんの姿を店の中に見つけようとしたのだが、いつの間にか顔も忘れた。こんなかんじの顔だったと、思い出そうとすれば、そんなかんじの顔のおばさんは、いたるところにいた。

 その肉まん屋は、間口の割には大きな店なのか、職人は何人もいるようだった。三人、四人と路地に出て、通りを眺めながら煙草を吸っているのをよく見かける。そうすると六、七人はいるのかと思うのだが、この計算はまるで当てにならない。
 「青木さやかの青すじ肉まん」なんて手書きのポスターが貼ってあったりして、今のところ食ってみようという気にはならない。それに高いのである。肉まん一個が、チョコパイの徳用袋よりまだ高いのだ。
 それでも、有名な店なのだそうだ。職人も大勢いて、店の前も常に客がいて賑わっているのである。きっと、今まで食っていた肉まんはなんだったの! と言うぐらい旨いのだろう。いずれ機会があれば‥‥。

そりゃ欲しい

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 金目鯛の鍋用詰合せを買った
 が半分以上残した。べつに食
 欲がないわけではなくただ惜
 しんだだけ。明日も同じ鍋で
 いい。文句はないもののせっ
 かく奮発してもこうセコイと
 ?

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 料理を作るのはいいけど後片付けが嫌だという声をよく聞く。料理を作るたいていの人が判で押したようにそう言うのだ。どうしてなんだろう。後片付けがこまごまと料理を作ることに較べて大変だとはとても思えないのだけれど。
 などとわざとらしく問いかけてみても答えはごくあっさりしたものかもしれない。食ったあと動くのが面倒だから。

 というわけで器はあまり使わないようにした。買物は風呂帰りに肉屋だけですませたものだから豚バラ肉とネギの炒めものに焼き豚とポテトサラダ。このあと皿をそのまま使って冷凍のチャーハン。環境にもいいだろう。

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