もつれるチーズ

今夜の酒の肴は何にしようかと、朝から考えています。

過去の投稿日別表示

[ リスト | 詳細 ]

全1ページ

[1]

イメージ 1

 土用の丑の日がいつだったのか、気がつかないまま過ぎてしまった。その日にどうこうしようというのは、もともとなかったのだけれど。
 雨でも降って部屋にひきこもっていた日がそうだったのか。それとも、丑の日にはウナギと、世間はあまり言わなくなってしまったのか。
 ウナギの蒲焼はふだんから気軽に食っている。何も思いつかないからウナギでも、ということすらある。蒲焼もずいぶん甘く見られたものである。天然だ国産だ備長炭だと、まだまだ高級の域に踏ん張っているのもあろうけれど、そっちの方向にはあまり目が行かない。いつか機会でもあれば、というところだ。
 ウナギの蒲焼をはじめて食ったのは、おそらく中学生になってからだと思う。いくらか暮しが上向いてきた、そんな中で母親がついに奮発したのである。それ以後も、せいぜい年に一、二度のことだったろう。恨めしい、そして憧れの食べ物だった。もしかしたら仇のようなものだったかもしれない。どうぞ仇に巡りあいたい‥‥。
 小学生の頃はウナギどころか、牛肉も食ったことがなかったと、記憶している。豚肉や鶏肉はたまには食っていたのだろうが、なんといっても、主力は鯨だった。卵すら、特別な日でなければ食えなかった。
 ウナギが付け狙う仇なら、鯨は蒸発した亭主といったところか。飲んだくれで甲斐性なしで勝手な亭主が、四十年後に消息を知れば、別のところで幸せな家庭を築き、すでに隠居して好々爺でいるとか。ちょっと、違うかな。ならば、鯨は蒸発した姉、というのはどうだろう。弟や妹の面倒をよく見ていた健気な姉が、家を飛び出し、聞けば夜の都会でけばけばしい恰好をしている‥‥とか。

 昨日は酒の肴に鰻ざく、今日の昼が丼。鰻丼には、もうひとつの仇である卵をちりばめてみた。ウナギにしろ卵にしろ、仇もすっかり老いさらばえて、恨みも消え、今は身内同然に親しくしている。

全1ページ

[1]


[PR]お得情報

ふるさと納税サイト≪さとふる≫
実質2000円で好きなお礼品を選べる
毎日人気ランキング更新中!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事