もつれるチーズ

今夜の酒の肴は何にしようかと、朝から考えています。

ひとりの団欒

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ひきこもりがちなおじさんの、それでもまあまあしあわせな日々のつれづれ。パソコンとセットで、デジタルカメラなるものをついに手に入れてしまい、おじさんはすこし持て余しています。
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精はつかなくてもいい

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 マグロが高くなるとか。
 あまり好きじゃないから関係ないと、他人事みたいに聞き流していたのに、早速買ってしまった。べつにこれが食い納めというつもりじゃなく、長芋を買ったので、山かけにしようと決めたから。
 その長芋だが、昔からこんなに安かったのだろうか。なんだかこの手の芋は高いもの、精がつくものと、勝手に思い込んでいたのかもしれない。銀杏の葉の形をしたのは、大和芋というのかな、あれが高いのかもしれない。そういえばこの長芋、さらっとしていて、すりおろすのもずいぶん簡単だった。これじゃ精もつかないと、安いとなるととたんに侮ってしまう。まあ、精はつかなくてもいいのだが。
 レタスも買った。これなどなければないでいっこうに平気で、しばらく買っていなかったということは、ここのところ高かったのだろう。まったく、やりくり上手なおじさんである。レタスは包丁を入れないのがいいというけれど、しっかり刻んで食った。

牡蠣の土手鍋風

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 牡蠣は土手鍋風にしてみた。といっても、土手鍋なるもの、食ったことはない。ずっと前に見た料理番組で、これを土手鍋風と呼んでいたように思うのだが、記憶違いかもしれない。あらかじめ粉を着けてさっと茹でておいた牡蠣を、香ばしく焼いた味噌で絡める。こうすれば牡蠣の身が縮まないということだった。それでも、ずいぶん縮んだような気がする。
 あとは肉じゃが。これは作っているときから、気持ちが安らぐ。

カビだらけの人生

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 面接に着ていこうと、唯一の黒い背広を出した。股のあたりにカビが生えていた。体にもカビが生えているかもしれない。ネクタイもなかなか見つからず、すでに前途多難である。

 月にせいぜい60時間ほどのパートの仕事で、ここまで勿体つけるかと、じれったかった。仕事が煩雑なのだという。馴れるまで大変だといい、出来ますかね、としきりに言う。
 「出来るつもりです。内容は話だけでは分りません。あとはこちらの判断ですね」
 にこやかに言ったつもりではあるが、切口上に聞えたかもしれない。人を見る目があると自負して面接をしているのなら、ぐずぐず言わずに自分で判断しろ、そう言いたいぐらいだけど、まあ頼りない顔をしていたのだろうね。面接は一時間に及んだ。そして最悪の感触。
 帰り道ふっきれた。断られるまでもなく、あそこには行かない。
 考えることは、来週また別のところに面接に行こう、それまでに股座のカビをなんとか消そう、今夜のおかずは何にしようか、そんなところである。
 まあ、たまにはこういうのも悪くない。なにしろ一日に字数にして30字ほどしか喋らない毎日である。半年分ぐらい喋ったような気がする。

 カキフライを作った。ソースも長い間切らしたままだったのだが、ついに買った。小さいのがいいと思っていたのが、特売で大きい方が安かったのだ。これからソースを使う料理が増えそうである。

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 居酒屋というには活気がないから、奮発して割烹とでも呼ぶのがいいだろうか。早い時間は近くの会社の連中が、遅くなれば店主の友達がぽつりぽつりやってくる、どこにでもよくある飲み屋なのだが、十五年ぐらい前の一時期、手伝ったことがある。その頃も長く失業していた。
 担当は洗い物と下ごしらえと、揚げ物。そこだけは客の目に付かない場所で、性に合っていたのだが、それにしては暇すぎた。客が一人だけで、カラオケでも始めようものなら、賑わいにと駆り出される。カラオケは嫌いなのだが、仕方なく歌うこともある。「無法松の一生(アンコ入り)」とか、あとは‥‥、いやとにかく仕方なしにいろいろ歌った。

 そのときも客は一人だった。店主の友達が他ですっかり出来上ってから、閉店間際に来たのである。水割りのセットをし、お通しを出せば、もう注文もなさそうだった。店主が客の隣に座れば、しょうがなくカウンターの中に立ち、話し相手になる気もないから布巾など洗っていたのだが、話の接ぎ穂が見つからない店主が、最近競馬どう? とこちらに話を振ってきたのをきっかけに、その客が「競馬やるやつは、みんな馬鹿だよ」と始めたのだ。
 競馬でも何でもギャンブルなどやるのは馬鹿なことというのなら、ほんとだよね、と笑って相槌を打つぐらいのことは出来たかもしれないのだが、客の言いたいのはそういうことではなかったようだ。儲かる買い方があるのに、馬鹿だから損をしているというのだ。ちなみに自分では賭け事は一切しないとのこと。
 聞いてみれば無邪気な話だった。賭け金を倍倍にしながら一番人気の単勝を買いつづけ、当ったところでやめるのだという。2倍つけばプラスになる、一番人気の馬が一日のうちにこないことはまずない、そう言うのである。聞き飽きた話で、聞き流せばよかったのだが、あまり馬鹿だ馬鹿だと言うものだから、つい相手になってしまった。
 「2倍つかないことも多いけど、それはまあいいよ。もっとつくこともあるしね。一番人気の馬の勝率は四割弱、殆どのレースで一番人気が勝つ日もあれば、12レースまったく勝てないときもある。100日競馬やれば、2,3日はそういう日だね。そのとき負けがいくらになるか」
 出まかせも交えて、数字を並べてみた。
 「千円から始めると」
 「そんなしけた買い方しないよ」
 「じゃあ、一万円からでいいや」
 1、2,4,8‥‥と、指を折りながら、目の前で計算をはじめた。
 「12レース終った時点で、マイナスはざっと四千万、対して、2倍の馬券を取ってやめた日のプラスは一万円‥‥」
 客はいつの間にか黙り込んでこっちの顔を見上げていたのだが、突然、あああ、と奇声を発して、気を失ってしまった。
 悪いことをした。酒でふやけた脳みそをかき回したのだから。しばらくして、その店をやめた。向いていないとつくづく思った。

 その店の揚げ物で注文の多かったのは、カキフライと揚出し豆腐。無邪気な必勝法を思い出しながら、今日は揚出し豆腐を作ってみた。人に食わせるものならば油から引き上げる頃合をいつも迷ったものだが、自分で食うならこんな気楽なものはない。あんも適当。

旋回する日本列島

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 冷蔵庫にめぼしいものがなく、ゆで卵を作り、冷凍の餃子を焼いた。味のほうはあまり期待できない餃子だけど、いい具合に焼き色はついたみたいだ。羽根もついて、餃子らしくはなった。
 雨は小降りになる気配もない。風も強い。すぐ目の前のコンビニまでという気分すら、すっかり消えた。こんなことなら仕事の帰りに、手近なところで豆腐ぐらい買っておくのだったと、あとになって思うのだが、昨日も同じことを思ったと、思い出した。それでも、昨日食ったものは思い出せない。
 午後は職安に行こうと決めていたのだ。その帰りに何かうまいものを見つくろってこようと、そう考えていたのが、ま、いいか、職安は連休明けでも、ということになってしまい、その挙句がこのおかずである。
 それでもきちんと、食事は夕方五時に始まる。ぶつぶつ呟くこともなく、テレビを見ながら飲む。

 北朝鮮が核実験をやるとかやらないとか。
 大型の台風が上陸するとかしないとか。
 それより早く次の仕事を見つけないと‥‥。

 そうこうしているうちに、一日は終ってしまった。食事がすむと、とたんに朦朧としてくる。敷きっぱなしの蒲団に倒れ込むと、赤く塗った日本列島が、頭の中をぐるぐる旋回し始めた。酒が弱くなったようである。



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