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第2楽章は、ラルゴ・エ・ドルチェ。ニ長調。 いかにも、穏やかで美しい楽章。ここでは、チェンバロは和声を支える役割に徹し、その上でフルートがのびやかな旋律を奏でていきます。 第3楽章は、プレスト−アレグロ。ロ短調。 この曲唯一の快速な楽章で、2つの部分に分かれ、まず前半のプレスト部分は、フルート、チェンバロ上声部、下声部の順で提示される主題に基づく3声のフーガとなっています。 後半のアレグロは、前半のフーガが半終止すると、一転気分が変わり、ジーグ(舞曲の一種)による軽快な曲調となります。 現在、私の手元には3種のこの曲のCDがありますが、ヘンスラー音源のバッハ大全集中の演奏は、1990年代終わり近くの録音にもかかわらず、モダン・フルートはともかく、オブリガートパートがチェンバロではなくピアノによる演奏という点でやや違和感があり、一般的とは言えないので、他の2種で紹介したいと思います。 1枚目は、オーレル・ニコレのフルートとクリスティアーヌ・ジャコッテのチェンバロによる演奏。(1984年録音、DENON) ニコレは、20世紀におけるフルートの演奏で、一時代を築き、専門家からも一般の聴衆からも尊敬されたフルートの巨匠です。 ニコレはモダン楽器を使用していますが、その清澄な音色と自在でありながら品格のある表現はやはり格別です。 ニコレには、バッハ演奏の巨匠リヒターとの60年代旧録音があり、そちらは今も定盤とされていますが、より自在さを増しながら、一層深くバッハの音楽にせまったこの新録音も魅力的です。 次は、わが国の誇る名フラウト・トラヴェルシスト、有田正広とチェンバロの有田千代子による演奏。(1989年録音、DENON) これは、有田の最初のバッハ/フルート・ソナタ全集で、のち2度目の全集録音(こちらは真作5曲のみ)を2000年にしているが、現在では疑作とされるに至ったが魅力的な佳曲も含むもの(*)という意味では貴重な録音。 ここで有田は3種のフラウト・トラヴェルソを使い分け、BWV1030は1750年製の楽器を使用している。有田のフルートは、まだ楽器としてのシステムが不完全だった古い時代の楽器を使っているとは思えない冴えた技巧と、古楽器特有のまろやかさに有田らしい温かみを加えた演奏をしていて心地よい1枚です。 * ちなみに、バッハ作曲のフルート曲は、バッハ作品目録(BWV)では当初オブリガート・チェンバロ付きのソナタ4曲(BWV1020,1030-1032)、通奏低音付きのソナタ3曲(BWV1033-1035)、無伴奏パルティータ1曲(BWV1013)の計8曲とされていた。しかし、新バッハ全集が出版された際、校訂者からBWV1020, 1031,1033の3曲が疑作とされ、バッハの真作は5曲とされた。 ということで、今回は、J.S.バッハのフルート・ソナタロ短調をとりあげてみました。
ではまた。 |
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