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最近読んで面白かった本を紹介したい。
タイトルは「電磁波のすばらしい世界」である。
本の内容
書名: 電磁波のすばらしい世界
原著者: 高田達雄
編著者: 児玉浩憲
発行所: 社団法人 電気学会
発売元: 株式会社 オーム社
価格: 本体1500円 + 税
8章で構成されていて、各章のタイトルは次のようになっている。
第一章 誰かと誰かの携帯電話
第二章 モールス符号は肖像画か
第三章 きっかけはペリーの外圧
第四章 電波を飛ばして無線通信
第五章 襲いかかるマスメディア
第六章 アンテナをどこにむけよう
第七章 興味のつきない電気/磁気
第八章 生命を育む太陽の電磁波
電磁波の面白さを、身近な身の回りの事象や物をとっかかりとして、平易な文章で理論的に解説されている。たとえば第一章の1は、携帯電話のアンテナである。以下、引用。
「
いつの間にか携帯電話からアンテナが消えてしまった。
もしかして、アンテナを不要にするような大発明があったのだろうか。まさか。そんな革命的な発明発見は100年に2〜3回も起こらない。
実は最近の携帯電話では、アンテナが極端に短くなってしまい、電話機の中にすっぽり収まるようになっただけのことだ。では、どうしてアンテナを短くすることができたのだろうか。
」
電磁波をその応用分野という観点から、第一章から第七章まで語られている。第八章は話が一挙に宇宙規模、地球規模の話となり、生物進化、食物連鎖、エネルギー政策まで大きく話が展開する。
出だしが身近な事象から始まるからと言って、本書は決して入門書的なものではなく、むしろ技術的知識を持った人の方が読んで楽しめる内容になっていると思う。
現代の通信技術は、19世紀後半からの多くの偉人たちの功績で積み上げられてきた技術にもとづいている。その偉人たちの知っていそうで知らなかったエピソードや、苦労などの物語が沢山もり込まれていて、きっと読むことで新たな発見があると思う。
感想
電話の発明者のアレクサンダー・グラハム・ベルは実は音声生理学者であったこと、モールス符号の発明者であるサミュエル・モールスはニューヨーク大学で美術の教授を務めていたことなど、本書で知った。Wikiあるのではと言われそうだが、本で読む意味はそれらが断片的な豆知識に終わらず、体系だてて整理できることだろう。
本書を読み改めて気がついたのは、人類の活動のほとんどのエネルギー源は元をたどると太陽の電磁波(太陽光)にいきつく。食物も元をたどると、太陽光にいきつくことだ。説明されてみると、確かに化石燃料は過去に降り注いだ太陽光を光合成した微生物や植物によるものだし、もちろん植物由来のアルコール燃料などは太陽なくしては存在しない。
人類が手にすることのできるエネルギーで太陽のお世話にならない物は無いだろう。原子力発電は違うと言うかもしれない。しかし、建設や、原料の採掘などで化石燃料系のお世話にならざるを得ない。
簡単なことながら、すべての活動は太陽なくしては成り立たないのである。太陽の寿命は、あと50億年位は大丈夫だと聞く。しかし、このままの化石エネルギーを使い続けていく社会では化石系のエネルギーもいずれ枯渇してしまうはずだ。環境負荷の少ない、太陽光の利用方法を開発して実用化していくべきなのだろう。
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