|
====ナレーター==== 今日の私はいつも通り北風になり、ヒューッと吹いて東京駅へ、新幹線に無賃乗車しました。目指すは大阪です。風の便りで、月600時間働いた労働者が耐えられず労働弁護団の法律事務所を訪ねてきたとの情報があったからです。 600時間という時間は30日毎日休み無く、1日平均20時間働くことです。奴隷状態と言うほかありません。「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」とした憲法第25条1項が完全に無視された状態です。 大阪到着後、直ちに彼女たちの働く現場に急行しました。法律事務所を訪ねてきたのは、レストランの店長、ひとみ26歳と調理長、春香33歳と聞いていました。彼女たちの働く現場はビジネスホテル内のレストランでした。常勤者は彼女たち二人と社長でした。社長には任された仕事は無く、調理場を手伝ったり、接客やキャッシャーを手伝ったりしています。 朝の営業時間は7時から9時で、主として宿泊客が利用しています。接客係りとしてアルバイトが2人いました。昼の営業は11時半から14時半で、周辺のサラリーマンが利用します。接客係りとしてのアルバイトは3人でした。 夕方の営業は5時から始まりそのまま夜の営業へと繋がります。閉店は23時でした。アルバイトは時間帯により人数が異なり19時から21時の時間帯が最多で、5人が働いていました。社長は昼過ぎに出勤し15時頃皆を集めて営業報告を聞き、夕方少し手伝って19時頃には帰宅していました。 店長と調理長は朝6時に出社し、準備を始め、そのまま朝の営業に突入し、午前と午後の営業時間外には食材の下準備、仕入れ業務と食材費の支払い、営業報告書、アルバイトの出勤記録の管理と給与の支払い、アルバイトの手配、アルバイトへの指示、キャッシャーの締め切り業務と経理業務、洗い場の手伝い等、ほとんど休まずに働いていました。 帰宅時間は早くて午前1時、遅いと2時になりました。彼女たちは、この仕事を始めるにあたってはホテルの近所に引っ越してきていました。引越し費用は自腹でした。 ====風の便りを送ってくれた仲間の北風の話し==== その日は、病気通院を理由に社長に仕事を強引に押し付け、二人揃って弁護士事務所に現われました。仲間の北風君は弁護士事務所のテーブルに置かれたシクラメンの花の間にそっと隠れて二人の訴えを聴きました。 もともと二人は別のレストランで一緒に働いていました。春香の知人の紹介である金融業者と会ったのが1年ほど前のことでした。その金融業者は税金対策としてレストランでも始めたいので、協力してくれという話でした。いろいろ打ち合わせをした上で正式に雇われたのが10ヶ月前のことでした。 二人は金融業者の儲ける必要は無いなどのうまい言葉にせられてしまいました。初めの話ではオフィス街で平日だけ10時から19時の営業で軽食レストランという話でした。約束では月給が残業代込みで30万円ということでした。しかし、営業開始までは20万円にしてくれと言われました。全て口約束でした。その後、営業開始しましたが、30万円になる約束は果たされず、黒字になるまで25万円と強引に決められました。 雇われた時、まだ具体的な物件が決まっていませんでした。金融業者はかなりあせっていました。あせっていた理由は税金対策だったのかも知れません。二人は物件探しから始めました。結局、見付かった物件はビジネスホテル内のレストランでした。家賃を支払った上で、売り上げの1割を支払う契約でした。 金融業者は莫大な初期投資をしました。レストランの内装に高価な材料を使い、豪華な調度品を買い入れました。最初の説明ではちょっとした軽食レストランのはずが、勝手に変えられました。営業時間も強引に朝は6時から夜は11時までとなりました。 労働条件を話し合う雰囲気はもうありませんでした。金融業者はその親戚が資金を出したことにして、レストランを別法人にしました。どこかから、金融業者が連れてきた人が社長になりましたが、レストラン業には素人でした。しかも、金融業者が全てを決め、社長には何の決定権もありませんでした。 最近のことですが、こんなことがありました。ひとみと春香が体調を崩し、やむにやまれず、社長を説得して朝の営業時間を7時から8時半までと30分短縮しました。すぐに金融業者から店長のひとみに電話があり、「勝手に変更するな。」と怒鳴られました。たまらず、「辞めさせてください。」と言ったところ「逃げる気か。そうはさせん。」と凄まれました。 ひとみと春香が、会社の立ち上げから全てをやるはめになりました。会社設立などやったことが無いので、コンサルタントを採用するよう頼みましたが聞き入れてもらえませんでした。彼女たちには辞退する機会は無かったとは言えません。しかし、自らアルバイトの面接と採用をしてしまった段階からは、もう後戻りできないと思いました。 彼女たちは営業の条件が変更された段階で、労働条件について話し合うべきだったと反省をしています。月20万円で600時間働くことになりました。それが2,3ヶ月続きました。1時間333円で働いた計算になります。最低賃金制で決められた賃金の半分以下です。その時の勤務記録は何も残っていません。 その後は、彼女たちも自分の体を守る為にいろいろ工夫をしました。仕事にも慣れてきました。交代で休みもとるようにしました。勤務時間も記録するようになりました。それでも1ヶ月450時間前後の労働時間となっています。 金融業者の思惑ははずれ、それほどの売り上げは無く、赤字経営が続いています。給料日には金融業者から借金をして支払いをするという状態が続いています。何の権限も無い、雇われ社長に言ってもどうにもならないので、最近金融業者に労働条件について話し合いを要求しました。 すると、金融業者は「うちの会社は金を貸してはいるが、資本関係はない。そちらの問題だ。しかし、金を貸している以上、言うとおりやってもらう。」と言ってのけました。「そんな会社は誰かに売ってしまえば、それで終わりにできる。つべこべ言わず働け。」とも言いました。 仲間の北風も私も、これは非常に解決の難しい問題だと思いました。労働条件を約束した人物であり、実権をもった人物が形の上では金貸しに過ぎない。金貸しの話は疑ってかかるべきでした。 しかし、雇われ社長とはいえ責任はあるはず、社長に対して損害賠償を求める方向で、弁護士をとおして話し合いを求めることになりました。困難な難しい紛争が始まろうとしています。 ============================================================================================ ●労働相談はどこへ&労使トラブルの六つの解決方法→http://blogs.yahoo.co.jp/huchisokun 憲法を守ろう憲法違反の人権侵害が横行しています。過労死と言う言葉は外国で翻訳せずに通じる言葉となりました。憲法が改定されて、日本が米軍に協力して一緒に世界中で戦争をする国になった時、労働者の人権はどうなるのでしょうか。戦争というものはマスコミなど全てを動員します。自衛隊員が世界のどこかで血を流して戦っているとき、日本の労働者の人権などどうでもよいことになるような気がしてなりません。 更に、憲法が改正され、日本が外国で戦争できるようになれば、軍事費は急速に増大するでしょう。アメリカから人命の提供と戦費の更なる支出を求められます。社会福祉に廻す金は無くなると思います。税金も上がるでしょう。格差はもっともっと拡大するに違いありません。
|
有給休暇、長時間労働
[ リスト ]



