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【プロローグ】 我輩は猫のタマ。ご主人様の帰りを待ちながら、夕闇迫る出窓でうつらうつらしていた。それでなくても春は眠くなる。眠くなれば、隣の泥棒猫のことも、最近逢っていない我が愛猫ミーのことも、みんな忘れてしまう。とても良いこころもちだ。 眠くなると、我が魂は体からスーっと抜け出して、はるか上空から下界を見下ろすことになる。我が魂は自由の身となり、どこにでも飛んで行くことが出来る。過去にも、未来にも行くことが出来る。 下界を眺めた。出掛けているはずの我がご主人が、パソコンに向かってブログを作っている。「風太郎の労働相談奮闘記」だ。窓辺でウトウトしているはずの我輩が、ご主人の横で寝そべっている。あそこにいるのは、まぼろしのご主人と、まぼろしの我輩だ。初めのうちは、そう分かっていた。夢と現実の間を行ったり来たりして、次第に恍惚となり、我が魂は我が肉体を抜け出した。そして、上空をさまよいながら、10年後のわが家を見下ろしていた。 【10年後】 ハッキリと場面が変わった。10年後のわが家だ。年老いた我輩もいる。老け込んだご主人夫妻も、子どもたちも、ご主人の孫たちもいる。孫たちは大きくなったものだ。17才と15才、猫の目から見ても美人だ。今日は、ご主人の75歳の誕生会。みんなニコニコしている。乾杯だ。我輩がご主人に抱っこされている。そして、好物の煮干をもらっている。 おや、どうしたのだろう。警察官が家に入ってきた。ご主人を連れ出そうとしている。孫たちが抗議している。「おじいちゃんは何もしていません。連れて行かないで下さい。」警官が言った。「証拠がある。ブログに『こんな政府は倒さないといけない。』と書いた。」「憲法の勉強会とか言って、好からぬ相談していることも分かっている。ご近所からの密告があったんだよ!」「組織犯罪防止法違反で逮捕状が出てるんだ!」 孫の一人が警棒で殴られた。頭から血が噴出した。我輩は怖くて何もできなかった。警官の手に噛み付けばよかったと思った。 10年前、共謀罪が国会を通過していた。そして、数年前、憲法も改悪されていた。格差はますます開き、貧しい人たちの不満は頂点に達していた。仕事がない貧しい若者は自衛隊員になるしか生きる道が無かった。そして、イランに対テロ戦争に行ったのは貧しい若者だった。 戦死者もでていた。戦死者は靖国神社に神として手厚く葬られたが、戦前のようにはいかなかった。デモが起きていた。戦争反対の運動が広がりをみせていた。支配階級は、このときになって10年前に準備した共謀罪を恣意的に利用し始めたのだ。 そして、ご主人様が連れ出されると、ドアがバタンと閉まった。そこで、ハッとして目が覚めた。ご主人様が帰ってきて、ドアが閉まる音だった。我輩は出窓から飛び降りて、玄関まで迎えに出た。ニコニコしていたのでホッとした。そして、やっと悪夢だったと理解した。
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悪夢
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初めまして。 憲法の勉強会が「犯罪実行を共同の目的とする団体」に当たるわけがないので、あり得ません。また、共謀罪の元になった共謀共同正犯という法理は半世紀にわたって、暴力団に主として適用され、拡大解釈がなされておりません。
2006/6/23(金) 午後 3:25 [ kan*shi*450 ]
コメント有難うございます。ご指摘を受け、改めていろいろ調べています。その結果、「戦前の治安維持法のようになるだろう」と心配する意見の多いことが分かりました。【治安維持法の歴史を見れば、その恐ろしさは改正されるたびに処罰対象が拡大していったことにある。】との主張が一般的です。私も拡大解釈と法律の再改定を恐れています。
2006/6/28(水) 午前 0:05 [ 風太郎 ]
私は集団ストーカー被害に遭っているので、共謀罪が集団ストーカーにも適用されることを望んでいます。しかし、この記事のような悪夢が現実になる危険性も危惧しなければと、目を開かせていただきました。勉強になる記事を有難うございます。
2008/8/22(金) 午後 3:29 [ vuk*1*pino*a ]