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【退職させてくれません】 風太郎のところの相談内容で最近目立ってきたのが、“辞めさせてくれない”という相談だ。こういう相談では、内容を聞いてみると、低賃金、長時間労働、人権無視と言った問題が原因となっている。低賃金で過酷な労働条件で縛りつけ、労基法違反・憲法違反の強制労働になりかねない状態がつくられている。 今日相談に来たのは、病院の看護師だった。それも3人で来た。同じ病院で働いている。1年前から成果主義賃金が導入され、そのために賃金が引き下げられた。知る限り、給与が上がった仲間はいない。成果主義といっても、客観的な成果で評価するわけではなく、上司の主観が全てで、とても納得できないという。 【看護師と風太郎の会話】 ☆看護師 「3人とも半年前から退職願いを出しているけれど、受け取ってもらえません。」「今回はどうしても退職したいと3人で事務長と交渉しました。事務長は『3人も辞められたら、病院がやっていけない。入院している患者さんの事を考えろ』と退職を拒否されました。」 「病院の立場も分からなくは無いけれど、成果主義賃金でベースダウンしたため沢山の看護師が辞め、こういう結果になったんです。しつこく交渉した結果、事務長も『年末まで待ってくれ』と言いましたが、『それも保証は出来ない。採用しても集まらなければ、辞めてもらう分けにはいかない』と言うんです。」 ★風太郎 「なるべく病院側と話し合いで辞めるのがいいとは思うけれど、何回も拒否されているということなら、退職届を出して退職を強行するしかないですね。いままで、譲ってきたんだし、もう譲れないという段階では強行してもいいんじゃないですか。」 「3人一緒にと言うのは、できれば避けたほうがいいと思いますね。3人で相談して、3人ともそれぞれ個人の事情で辞めるわけですから、なるべく病院の経営に影響を与えないように順次辞めるように配慮することも必要ですね。病院が善後策を講じられるように早めに退職届を出したほうが良いですね。」 ☆看護師 「退職願を受け取らなかったら・・」 ★風太郎 「退職願じゃ駄目ですね。退職届にしてください。受け取らなければ、郵便局から配達証明で出してください。」 【急増する“辞めていく看護師”】 この相談があった日、風太郎は家に帰り新聞を広げた。そこには『辞めていく看護師』という記事が載っていた。記事は次のように報道していた。 「九ヶ月間で1500人・・。全国社会保険協会連合会(全社連)が運営する全国の医療施設(49の社会保険病院、3つの厚生年金病院、4つの診療所)で、2004年7月から翌年4月までの間に辞めていった看護師の人数です。例年の倍、全体の1割近い大量退職です。・・(略)・・看護師が最も指摘しているのが給与・手当が低いこと・・〔略)・・全社連は04年7月、成果主義賃金を盛り込んだ新給与制度を打ち出しました。・・・」 と成果主義賃金の導入が、この大量退職の背景にあると指摘していた。そして、健康保険病院労組が次のように主張して運動を展開していることを伝えていた。「患者をものとしてみるような利益優先の目標管理では働き甲斐は生まれない。競争を持ち込む個人目標管理は、チーム医療を破壊する。」と。 【エピローグ】 成果主義賃金はキチッとやれば悪いとは言わない。しかし、日本の成果主義は名ばかりで恣意的に運用され不満が渦巻いている。こんないい加減な賃金体系が労働生産性を上げるわけは無い。目先の利益にはなるだろう。しかし、長い目で見ればやる気を失って生産性は下落する。既に、経団連自体がそれによる損失を年間1兆円と試算しているではないか。(この部分の参考記事→http://blogs.yahoo.co.jp/huchisokun/31482614.html) 米国での成果主義の実際を本で読んだことがある。労働者に対して評価の結果を被評価者である労働者が納得するまで、本当の意味で不満がなくなるまで何時間でも説明をするという。成果主義をキチッとやるには金と時間が膨大に掛かるものらしい。 さらに、成果主義を取り入れる準備段階で、成果主義に馴染まない職種は外さなければならない。工場の生産ラインのような個人の成果より、グループの協力を重要とする職種だ。事実、トヨタの工場の生産ラインでは成果主義はとっていない。成果主義は個人個人を対立させる、対立しても良い職種に限定しなければ、失敗するという結論になる。成果が計れる職種にしても、そのウエイトは僅かかも知れない。そう言う場合には、成果主義賃金部分を十分の1にするなど、納得のいくものに編成する必要がある。 日本の成果主義は、人件費削減の為の便法に過ぎない。真の成果主義は総人件費を減らす為のものではない。むしろ、かえって準備や運用段階で膨大な人件費が掛かる。そう言う前提で、キチッと準備して始めなければ、やる気をなくし生産性の低下を覚悟しなければならない。日本の経営者がそこまで覚悟して成果主義を取り入れることは、まず、無いだろうと考える。だから、成果主義=悪と結論しても良いと思う。 看護師の大量退職も、こうしたいい加減な成果主義の失敗の生きた見本となった。しかし、今度は公務員に成果主義を取り入れていくという。悪い結果が生まれそうな気がしてならない。 ============================================================================================ ●労働相談はどこへ&労使トラブルの六つの解決方法→http://blogs.yahoo.co.jp/huchisokun 憲法を守ろう憲法違反の人権侵害が横行しています。過労死と言う言葉は外国で翻訳せずに通じる言葉となりました。憲法が改定されて、日本が米軍に協力して一緒に世界中で戦争をする国になった時、労働者の人権はどうなるのでしょうか。戦争というものはマスコミなど全てを動員します。自衛隊員が世界のどこかで血を流して戦っているとき、日本の労働者の人権などどうでもよいことになるような気がしてなりません。 更に、憲法が改正され、日本が外国で戦争できるようになれば、軍事費は急速に増大するでしょう。アメリカから人命の提供と戦費の更なる支出を求められます。社会福祉に廻す金は無くなると思います。税金も上がるでしょう。格差はもっともっと拡大するに違いありません。
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成果主義賃金
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成果主義賃金は、きちっとやっても良いとは言えないと思います。当然、公務員の仕事の仕方も、個人目標の達成にのみ目がいき、とんでもない結果になりますよね。
2006/8/18(金) 午前 6:10
ご指摘有難うございます。誤解を受けたかも知れません。言葉足らずでした。ご指摘を受け、私なりに若干修正を加えました。もう一度、読んでみて下さい。有難うございました。
2006/8/18(金) 午前 6:19 [ 風太郎 ]
あ、指摘をしたわけではなく、思ったところを書いただけでして、風太郎さんのご意見に賛同いたしております。
2006/8/24(木) 午後 9:01
先日、うちの組合員から嫁さんの友人が困っているとの相談を受け、内容を聞いてみると、診療所の事務員さんで風太郎さんの記事にあるように、辞めさせてくれず、運営がワンマンで問題があるので、改善要望を出しても全然聞いてくれないそうです。今は心身症になり出社できない状態ですが、自宅に電話がかかり凄いストレスとのこと。その方の住む地域の労組に対応していただいてます。
2006/10/29(日) 午前 10:42