労働相談奮闘記

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女性労働者の権利

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【降格や職種変更、パートへの身分変更などが不利益取り扱いとされる】
今年(2007年)4月から「改正男女雇用機会均等法」が改正され、女性の法律上の権利が拡大しました。改正前は、婚姻、妊娠、出産等を理由とする解雇が禁止されていましたが、改正後は不利益変更も禁止の対象となりました。

改正前の禁止規程は、次のとおりです。見て分るとおり、解雇だけが禁止の対象とされ、その事由も婚姻、妊娠、出産、産休取得に限定されていました。
• 婚姻、妊娠、出産を退職理由とする定めをすることを禁止する。
• 婚姻、妊娠、出産、産休取得を理由とする解雇を禁止する。

改正後は、上に加えて「解雇」だけでなく「不利益変更」も禁止の対象となり、その事由も婚姻、妊娠、出産、産休取得だけでなく、「育児時間を請求した」「軽易な作業への転換を請求した」などの事由を理由とする不利益変更も禁止されることになりました。改正後の事由を列挙すると次のとおりです。
【厚生労働省令で定める事由】
• 妊娠したこと。
• 出産したこと。
• 妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置(母性健康管理措置)を求め、又は当該措置を受けたこと。(「母性健康管理措置」は均等法12条、13条でその権利が定められている)
• 坑内業務の就業制限若しくは危険有害業務の就業制限の規定(労基法64条の2及び64条の3)により業務に就くことができないこと、坑内業務に従事しない旨の申出若しくは就業制限の業務に従事しない旨の申出をしたこと又はこれらの業務に従事しなかったこと。
• 産前休業を請求し、若しくは産前休業をしたこと又は産後の就業制限の規程により就業できず、若しくは産後休業をしたこと。(労基法65条1項2項の産前産後休業の権利行使)
• 軽易な業務への転換を請求し、又は軽易な業務へ転換したこと。(労基法65条3項の権利行使)
• 事業場において変形労働時間制がとられる場合において1週間又は1日について法定労働時間を越える時間について労働しないことを請求したこと、時間外若しくは休日について労働しないことを請求したこと、深夜業をしないことを請求したこと又はこれらの労働をしなかったこと。(労基法66条に基づく権利行使)
• 育児時間の請求をし、又は育児時間を取得したこと。(労基法67条に基づく権利行使)
• 妊娠又は出産に起因する症状により労務の提供ができないこと若しくはできなかったこと又は労働能率が低下したこと。(つわり、妊娠悪阻、切迫流産、出産後の回復不全、などによる)

一方、どういう事柄が不利益変更に当たるかについては、厚生労働省の発行するパンフレットで次のように例示しています。
【妊娠・出産等を理由とする不利益取り扱いの例】
1. 解雇すること。
2. 契約の更新をしないこと。(契約社員の場合)
3. あらかじめ契約更新回数の上限が明示されている場合に、当該回数を引き下げること。(契約社員の場合)
4. 退職の強要又は正社員をパートタイム労働者等の非正規社員にするような契約内容の変更を強要すること。
5. 降格させること。
6. 就業環境を害すること。
7. 不利益な自宅待機を命ずること。
8. 減給をし、又は賞与等において不利益な算定を行うこと。
 【例えば】
 • 賃金については、妊娠・出産等に係る就労しなかった又はできなかった期間(不就労期間)分を超えて不支給とすること。
 • 賞与又は退職金の支給額の算定にあたり、不就労期間や労働能率の低下を考慮の対象とする場合において、同じ期間休業した疾病等や同等程度能率が低下した疾病等と比較して、妊娠・出産等による休業や妊娠・出産等による労働能率の低下について不利に取扱うこと。   など
9. 昇進・昇格の人事考課において不利益な評価を行なうこと。
 【例えば】
 • 実際には労務の不提供や労働能率の低下が生じていないにもかかわらず、女性労働者が、妊娠し、出産し又は労働基準法に基づく産前休業の請求をしたことのみをもって、人事考課において、妊娠していない者よりも不利に取扱うこと。
 • 人事考課において、不就労期間や労働能率の低下を考慮の対象にする場合において、同じ期間休業した疾病等や同等程度能率が低下した疾病等と比較して、妊娠・出産等による休業や妊娠・出産等による労働能率の低下について不利に取扱うこと。   など
10. 不利益な配置の変更を行なうこと。
 【例えば】
 • 妊娠した女性労働者が、その従事する職務において業務を遂行する能力があるにもかかわらず、賃金その他の労働条件、通勤事情等が劣ることとなる配置の変更を行なうこと。
 • 妊娠・出産等に伴いその従事する職務において業務を遂行することが困難であり配置を変更する必要がある場合において、他に当該労働者を従事させることができる適当な職務があるにもかかわらず、特別な理由もなく当該職務と比較して、賃金その他の労働条件、通勤事情等が劣ることとなる配置の変更を行なうこと。
 • 産前産後休業からの復帰に当たって、現職又は現職相当職に就けないこと。   など
11. 派遣労働者として就業する者について、派遣先が当該労働者に係る労働者派遣の役務を拒むこと。
 【例えば】
 • 妊娠した派遣労働者が、派遣契約に定められた役務の提供ができると認められるにもかかわらず、派遣先が派遣元事業主に対し、派遣労働者の交替を求めること。   など
(この規定は、派遣先の事業主にも適用される)

【これらの不利益変更に関する紛争の解決】
改正均等法では、これらの不利益変更にかかわる紛争が生じた際、その解決の方法についても定めています。これらの紛争の最終的な解決の場は、裁判所ということになりますが、裁判所に行く前に、労働局の「調停」制度が利用できることとなっています。均等法の18条には「・・略・・当該紛争の当事者の双方又は一方から調停の申請があった場合において当該紛争の解決のために必要があると認めるときは、・・・略・・・紛争調整委員会に調停を行わせるものとする。」と定められています。裁判は、有料ですが、労働局の調停は無料ですから、まずは調停を利用するほうが得策となります。

この制度の利用は、労働基準監督署ではなく各都道府県労働局の雇用均等室に申請することになります。まだ、この制度は始まったばかりで定着していませんので、風太郎が幾つかの労働局に問合せをしたところ、同じ労働局の「あっせん」の制度より若干ハードルが高いと感じました。

そのハードルの高さは、前掲均等法18条の「・・・申請があった場合において当該紛争の解決のために必要があると認めるときは・・・」の“必要があると認めるとき”の部分にあると思われます。この制度を利用するためには、裁判所を利用する場合ほどでは無いにしても、メールの記録や録音など、ある程度の証拠を準備したほうが確実と思われます。

このハードルの高さについて、厚生労働省のパンフレットでは次のように説明しています。
『労働局長が、「紛争解決のために必要がある」かどうか判断するにあたっては、
 • 労働者と事業主の間に「紛争」があるか
 • 調停対象事項であるか
 • 当該紛争に係る事業主の措置が行われた日等から1年を経過した紛争など、調停を行なうことが適当であると認められないケースではないか
 等について考慮の上決定します。その際には、苦情の自主解決の努力の状況についても考慮することになります。』
風太郎の考えですが、「調停」の申請を調停対象の紛争として受理してもらえない場合、厚生労働省が示す上記基準に基づいて説明を求めるべきと考えます。納得がいかない場合には、本省にクレームするなどの方法で、納得のいく説明を求めるべきと考えます。

【「調停」は「企業に対する報告の徴収、助言、指導、勧告」などを伴った強力な解決方法になりうる。】
風太郎は、労働局の幾つかに「調停は、均等法29条の『企業に対する報告の徴収、助言、指導、勧告』とワンセットで実施される場合があるか」と問い合わせて見ました。その結果、多くの労働局の回答は「そうなることも多いでしょう。」でした。均等法29条は、次のようになっています。
  (報告の徴収並びに助言、指導及び勧告)
第29条 厚生労働大臣は、この法律の施行に監視必要があると認めるときは、事業主に対して、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができる。
2 前項に定める厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより、その一部を都道府県労働局長に委任することができる。

  (公表)
第30条 ・・・(略)・・・その勧告を受けたものがこれに従わなかったときは、その旨を公表することができる。
第33条 第29条1項の規定するによる報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、20万円以下の過料に処する。
風太郎の考えですが、行政がこの強力な権限を行使するのは、かなり慎重になるものと思われます。しかし、この権限を伴った「調停」は、場合によっては裁判所の利用をしのぐ強力なものになるはずです。そのためにも、メールの記録やICレコーダーでの録音などは、準備するに超したことはありません。労働局によっては、そういった事案のみ「調停」として受理するのではないかと疑いましたが、考えすぎでしょうか。とにかく、まだ、始まったばかりの制度であり、取り扱い事案も多くはないようです。都道府県労働局により温度差も感じています。厚生労働省には、使い勝手の良いものにすることを望みます。


なお、均等法の改正により、妊娠・出産などに絡む不利益変更の紛争は「調停」と利用することとなり、「あっせん」は利用できなくなりました。「調停」は「あっせん」よりハードルが高いだけ解決の可能性も高いと感じています。(均等法に関わらない事案では、今までどおり「あっせん」が利用可能です。)

※労働局の「あっせん」は当ブログの記事参照→http://blogs.yahoo.co.jp/huchisokun/48140790.html


●本シリーズ(女性の権利)の3回目『産前産後休業からの復帰は「現職相当職復帰」が原則(女性の権利 その3』→http://blogs.yahoo.co.jp/huchisokun/49864299.html

※:女性の権利の書庫→http://blogs.yahoo.co.jp/huchisokun/folder/1483315.html
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●労働相談はどこへ&労使トラブルの六つの解決方法http://blogs.yahoo.co.jp/huchisokun
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