労働相談奮闘記

労働者の悲痛な叫びを伝えたくて、そして解決に役立てて頂く為に

シゴキ

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風太郎の前に座った男性は、年のころは30代の後半と思われた。彼は不安そうだった。何か分からないが異様な感じだった。うつ病に違いないと感じた。風太郎は「時間は十分とりますから、何でも話してください。」と言った。

話を聞く内に、まだ若いのに辛い人生を歩んできたことを知った。6年前の2002年までは彼の人生も順調であった。その年に彼は突如としてリストラされた。それが原因で、離婚し今はひとり暮らしである。

2002年といえば、多くの大企業がリストラを断行した年である。2001年3月から2002年2月の1年間に、500人以上の大企業労働者の13.7%に当たる135万人が削減された。

この大リストラを契機として日本経済は回復を始めたのである。労働者を犠牲にして回復したといっても過言ではない。彼もまた時代の荒波に飲み込まれたひとりである。中堅の不動産企業の正社員を首になった彼は、転々と不動産関係の職場で契約社員を続けてきた。

彼は、やっと重い口を開いた。「今は、不動産の特にワンルームマンションの販売の仕事をしています。電話販売の仕事なので、1日中電話しています。それも、立ちっぱなしの電話です。10人の営業マンがいて4人分の机と椅子はあります。残りの6人は、立ち食い蕎麦屋のテーブルに似た台の上に電話機が6台あり、1日中立ちっぱなしで電話しなければなりません。」

「お客が取れると座って電話する方へ移動します。そうすると誰かがはじき出されて立って電話することになります。肘をついて電話をしますから、腱鞘炎になってしまいました。労基署に行ったけれど労災にはできないと断られました。」

「無差別の電話セールスはきつい仕事です。時には、一服したくなります。課長が電話の様子を見ていて、電話をしていないと蹴りが入ります。何度も蹴られました。蹴りだけではなく、殴られたこともあります。

「就業規則では、勤務時間は9時からですが8時から仕事しろと言われ、8時を過ぎてから出社すると、遅刻と言われました。遅刻は課員10名に寿司を御馳走するのがこの会社の伝統になっています。先日、遅刻した時には、18000円の出費をしました。」

「酷い話だね。」と更に話すよううながした。

「手取りは20万円ぐらいですが、宣伝費をその内から3万円とか5万円とか引かれます。」

「宣伝物は会社の経費で作るんじゃないんですか」と風太郎。

「自分のばら撒くチラシは自分の金で作るんです。まず、チラシを撒いて撒いた地域の家に電話セールスするんです。課長から今月のお前の売り上げは低いから5万円分のチラシを撒け」と指示されます。」

「凄い会社だね」と風太郎。

「まだあるんです。休みが取れないんです。もう3週間休んでいません。借り上げ社宅に入っていて、家賃の半分は会社が出してくれますが、風邪で休むと課長が連れに来ます。会社が合鍵を持っているから防ぎようがありません。残業代も出ないし、休日出勤も手当てなしです。」

「人権侵害だね」と風太郎。

漱石の猫に確かこんなくだりがあったと思う。手元に本がないので不正確だが「奥山のサルは、鎖で繋がれている。教師は鎖では繋がれていないが、月給で繋がれている。」と。私の目の前の男性は月給と借り上げ社宅で繋がれているということになる。

家賃を半分出すというのは、良いようで、こんなに低賃金では、労働者が逃げ出せないように縛り付ける役目にしかならない。

彼は、さらに続けた。「今日は、罵倒され張り倒されたので、もう帰らないつもりで逃げてきました。家にも戻りません。課長が連れに来るでしょうから」

「どうするつもりですか」と風太郎。

「如何したら良いか分からないんです。貯金は20万円ぐらいはあるから、ネットカフェにでも泊まって次の仕事を探そうかと思ってます。ここに来たのは、何か良いアイデアがあるかも知れないと・・・」

「病院へは行っているんですか」と風太郎。

「何故ですか」

「長年この仕事をしていると、体調が悪いぐらいすぐ分かりますよ。それだけの仕打ちを受けて、普通でいられるわけがありません。」と風太郎。

「体調は悪いけれど、病院へは行っていません。行きたいけれど休めないから行けませんでした。幸い健康保険には、入っています。これから行こうと思います。そして、退職願を出すつもりです。」

「貴方の体調なら間違いなく休みなさいという診断書が出るでしょう。だから、退職届を出す必要はありません。出したら損します。いままでやりたい放題やられてきたんだから、退職するにしても権利は全部使ってからです。有給休暇が2年分で21日ありますから、配達証明郵便で有給休暇届けを出しましょう。それから、診断書を出してその先は病欠にしてください。病欠になると賃金は出ませんが、その代わり健康保険から傷病手当金が出ますから、それで生活しましょう。」傷病手当金と聞いて彼は目を丸くした。知らなかったのだ。

「寝ていなければならない病気ではないから、休んでる間に就職活動をしたら良いですよ。残業代や休日出勤手当てが支払われていないことが証明できますか」

「家に帰れば、電話営業記録があります。何時何分誰に電話してどういう話だったという記録です。短時間だけ家に帰り、必要なものを持って逃げ出すつもりです。」

「それは良かった。それが有れば、失業給付は会社都合と同等な扱いになります。辞めてから、残業代も請求できますね」

風太郎は、この労働者の闘いを今も支援している。

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●労働相談はどこへ&労使トラブルの六つの解決方法http://blogs.yahoo.co.jp/huchisokun
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https://blogs.yahoo.co.jp/IMG/ybi/1/88/7b/huchisokun/folder/1448013/img_1448013_36313164_1?2006-07-17

憲法を守ろう

憲法違反の人権侵害が横行しています。過労死と言う言葉は外国で翻訳せずに通じる言葉となりました。憲法が改定されて、日本が米軍に協力して一緒に世界中で戦争をする国になった時、労働者の人権はどうなるのでしょうか。

戦争というものはマスコミなど全てを動員します。自衛隊員が世界のどこかで血を流して戦っているとき、日本の労働者の人権などどうでもよいことになるような気がしてなりません。

更に、憲法が改正され、日本が外国で戦争できるようになれば、軍事費は急速に増大するでしょう。アメリカから人命の提供と戦費の更なる支出を求められます。社会福祉に廻す金は無くなると思います。税金も上がるでしょう。格差はもっともっと拡大するに違いありません。

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風太郎
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