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風太郎の前に現れた男性は、中国人だった。30代半ばと思われる。ある中堅の上場企業で貿易事務の仕事をしている。正社員である。会社は、製造業で中国に工場を持ち、この男性のような中国語と日本語が堪能な優秀な社員が必要だったと思われる。 妻はスーパーでアルバイトをし、子供が二人いる。父親も同居し入退院を繰り返している。家計は、この男性の双肩にかかっている。 彼が、この企業で働き始めたのは1年前からだった。やっと見つけた正社員だった。しかし、2カ月ほど前から社長と人事部長に呼ばれ、「辞めてくれ」と言われている。はじめのうちは、1週間に一度のペースで呼ばれ同じことを言われたが、最近は2,3日に1度のペースで社長室に呼ばれている。退職の強要である。 理由を聞いたところ、「日本人とのコミュニケーションが上手くないから使えない」ということだった。「解雇ですか」と聞いたら「解雇ではない、辞めてもらいたいのだ」と言われたという。会社は、解雇したら損害賠償や慰謝料を覚悟しなければならない。実に、卑劣なやり方である。当然、この理由では裁判所は解雇を不当とするだろう。 彼は、悔しそうに、風太郎の前で涙をぬぐった。「私が辞めたら家族が食べていけません。日本は、法律を守る立派な国だから守ってくれますよね。」と縋るように言う。まだ、妻や父には言っていないとのことだ。なぜ言わないのかと聞いてみた。心配をかけるからとのことだった。 この1週間、眠ることができずに頭痛が酷くなって、耐え切れずに風太郎のところにきた。風太郎は、心療内科の受診を勧め、「診断書を提出して休みなさい」と提案した。明日の社長からの呼び出しに対しては、「労働局が間に入ることになったから」と言って断りなさいとアドバイスした。「まずは、休戦して体調を回復させなさい。」と付け加えた。 風太郎は、労働局の“助言指導”を利用するとともに、ユニオンを利用することを提案した。労働局が間に入れば、会社の圧力も弱まるだろうと思ったからだ。労働局は1回しか利用できないので、その後はユニオンによる団体交渉が効果的だ。労働局へ助言指導を求める書面を作成してあげた。 風太郎は、中国人の労働者の労使紛争を何度も扱っているが、共通点がある。決まって、権利意識が強いということだ。悪いということではない。寧ろ、立派だと思う。日本人の権利意識の弱さは、救いようがないとも感じている。やはり、あの広い多民族国家の中で、滅ぼしたり滅ぼしたりの歴史が人間を強くしたのだろうかと思った。 もうひとつ思ったことがある。大学院を出てもこんな目に遭うんだと思ったことだ。“酷い世の中になってしまった”の感がある。 ============================================================================================ Keep9ブログ→http://www.our.sakura.ne.jp/9jo/ 憲法を守ろう憲法違反の人権侵害が横行しています。過労死と言う言葉は外国で翻訳せずに通じる言葉となりました。憲法が改定されて、日本が米軍に協力して一緒に世界中で戦争をする国になった時、労働者の人権はどうなるのでしょうか。
戦争というものはマスコミなど全てを動員します。自衛隊員が世界のどこかで血を流して戦っているとき、日本の労働者の人権などどうでもよいことになるような気がしてなりません。 更に、憲法が改正され、日本が外国で戦争できるようになれば、軍事費は急速に増大するでしょう。アメリカから人命の提供と戦費の更なる支出を求められます。社会福祉に廻す金は無くなると思います。税金も上がるでしょう。格差はもっともっと拡大するに違いありません。 ※当ブログでの個人情報の取り扱いについては右をクリック→http://blogs.yahoo.co.jp/huchisokun/17434077.html 休暇が増えても労働義務が免除されるだけで、労働義務のある日が少なくなるわけではありませんので時間単価UPにはなりません。
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退職強要、執拗な退職勧奨
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