労働相談奮闘記

労働者の悲痛な叫びを伝えたくて、そして解決に役立てて頂く為に

全体表示

[ リスト ]

【労働契約法の位置づけ】
日本には、不幸なことに募集採用から退職解雇に至る全ステージを律した法律は無かった。不十分な法律ではあるが3月1日から施行された労働契約法が今後充実されればその役割を果たすことになる。

労働契約法は、激しい労使の対立の中で生まれた関係で、労使の意見が対立している部分については削除され僅か19条の法律である。労働契約法は、最高裁の判例で確立している判例法理を法律にしたものと言われている。

であるならば、整理解雇の4要件など労働契約法の中に組み込まれてしかるべきところ、経営側の反発が強く条文化されなかった。その結果、僅か19条しかない法律となってしまった。しかし、今後の裁判に於いて、この法律の果たす役割は大きくなるだろう。

【優先順位】
労働契約、就業規則、労働協約、労働法規、判例法理の関係と書いたが、効力が大きいのは法律である。法律の中でも一番上に位置するのが憲法である。憲法の中でも雇用労働問題に関する条文は沢山ある。関係する憲法条文を最後に掲載するとして、直接労働問題を律しているのは27条2項と28条である。

憲法27条2項では、「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。」として、その結果は労働基準法となっている。また、28条は、言わずと知れた団結権と団体交渉権である。

優先順位は、憲法、法律、労働協約、就業規則、労働契約の順となる。

【基準法を下回る契約は無効】
そして、労基法13条では「この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、この法律で定める基準による。」としている。これにより個々の労働契約も就業規則も労働協約もこの基準法を下回ることはできないのである。

よくある話であるが、ウチの会社では残業代はでないと言われ、同意書まで書かされて働いているケースがあるが、それはその同意書自体無効ということになり、残業代の請求は可能である。

【労働協約は就業規則や個々の契約に優先する】
労働組合法16条では「労働協約に定める労働条件その他の労働者の待遇に関する基準に違反する労働契約の部分は、無効とする。この場合において無効となつた部分は、基準の定めるところによる。労働契約に定がない部分についても、同様とする。」

また、労基法92条には「就業規則は、法令又は当該事業場について適用される労働協約に反してはならない。」同93条には「労働契約と就業規則との関係については、労働契約法(平成19年法律第128号)第12条の定めるところによる。」そして、労働契約法12条には「就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。」

労働協約とは、労働組合と会社の交渉の結果生まれる協定文書である。会社の就業規則は会社が勝手につくるものである。これによって、協約は就業規則や個々の契約に優先するのである。

法律が最優先することになるが、既に書いたように労働者の就職から退職解雇までの全ステージを律する法律がまだない。労働契約法はできたもののたった19条の粗末な法律である。従って、これからも判例法理は依然として重要となっている。


以下に参考のために、労働問題に関わる憲法の条文を載せておく。

〔基本的人権〕
第11条:国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。

:生存権は基本的人権の一つだと思うが、ワーキングプアーの存在は、この法律が守られていないことを意味する。為政者にとって、憲法が邪魔になるのはよく分かる。

〔自由及び権利の保持義務と公共福祉性〕
第12条この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

〔個人の尊重と公共の福祉〕
第13条すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

:ワークライフバランスは掛け声だけであり、個人や家族の幸福を尊重しようとする経営者は少ない。

〔平等原則、貴族制度の否認及び栄典の限界〕
第14条すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

:現実にある男女の賃金差別。均等法で間接差別を禁止したが経営者団体の反対で粗末な法律となってしまった。

〔奴隷的拘束及び苦役の禁止〕
第18条何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。

:奴隷的拘束は労働問題と関係ないだろうと言う人もいるだろうが、労働相談の現場には、これは奴隷的拘束だろうと思われる相談が現実にある。

〔思想及び良心の自由〕
第19条思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。

〔信教の自由〕
第20条信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
2 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
3 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。

:経営者が新興宗教の信者で、宗教上の行為を強制されるケースがある。

〔集会、結社及び表現の自由と通信秘密の保護〕
第21条集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

〔居住、移転、職業選択、外国移住及び国籍離脱の自由〕
第22条何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
2 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。

:辞めさせない。同業他者への就職を妨害するなどの相談は結構多いのである。

〔生存権及び国民生活の社会的進歩向上に努める国の義務〕
第25条すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

〔勤労の権利と義務、勤労条件の基準及び児童酷使の禁止〕
第27条すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。
2 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。
3 児童は、これを酷使してはならない。

〔勤労者の団結権及び団体行動権〕
第28条勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。

「知って得するミニ知識」書庫の記事一覧

閉じる コメント(2)

顔アイコン

法律は時として、誰に対しても平等であるがゆえに、弱者に対しても壁となってしまうこともあります。

が、試みることの繰り返しによって変化していく存在でもあるんだなあと、解雇問題に直面し色んなお役所を巡る羽目になって実感です。

時にたらいまわしも悪いことばかりでないなと思うことがありました、まわされながら、角が過度がとれて、本来主張したかったことは何って考えさせられるから。

結局は、「会社」の中では社長や経営に携わる方の考え方が法律と同じ…。
経営者の考え方次第で、社員は不幸になったり逆に生活を保たれたり
、人生が左右される…。

労働契約法が、使う方使われる方両方にとって、幸せをもたらす存在となりますようにと、その運用方法を見守りつつ、上手に利用していきたいと感じました。

2008/6/26(木) 午後 8:35 chiisaiyoru

顔アイコン

勉強になりました。
転載させてください・・・

2008/6/30(月) 午後 4:03 [ - ]


.
風太郎
風太郎
男性 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

過去の記事一覧

検索 検索

標準グループ

友だち(8)
  • あすく
  • 一党独裁中国の反日デモを軽蔑
  • 広島ユニオン
  • 倭島瑞穂
  • ブルちゃん
  • sei
友だち一覧

スマートフォンで見る

モバイル版Yahoo!ブログにアクセス!

スマートフォン版Yahoo!ブログにアクセス!

よしもとブログランキング

もっと見る

プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事