労働相談奮闘記

労働者の悲痛な叫びを伝えたくて、そして解決に役立てて頂く為に

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名ばかり社長

ある社長の奥様からこんな電話が会った。可愛そうな雇われ社長の話である。

「主人が1年前に社長にされました。100人ほどいたIT関連の企業で主人は残業代も貰わずに何年も働いてきました。2年前から多くの社員に退職勧奨があり、半数の50人ほどが辞めました。主人は、幸い首を免れて残りました。

昨年の暮れ、オーナーから社長になってくれと言われ、社長になりました。社長にする時には好条件が示されましたが、その約束は守られません。社員の時の給料のままです。「条件が違う」と言うと、「売上げを上げてからの話だろう。」とか「結果を出してからだろう。」とか言われてしまいます。

社長を引き受ける話には、躊躇しましたが「男の人生をかけてみろ!」とか「社長を引き受けないなら会社をつぶす。」とまで言われ引き受けざるを得ませんでした。

オーナーは、金融業を別にやっていて、会社に来るのは時々です。主人は、今、経費削減と資金繰りで一生懸命です。その後、首切りも何人もやりました。残業代不払いで労基署にも呼ばれました。最近は、業績も悪く、社員の給料も遅配しています。

今月は、やっといのことで銀行から融資が受けられたんですが、オーナーから借りていた金を返すほうに回され、幹部社員の給与と主人の報酬は出ませんでした。主人は、責任感も強く、自分の給料は後に回しても社員の給料を払うつもりです。妻の私としては、大変困っています。ずっと貯金を切り崩してやってきましたが、とうとう今月は家賃の引き落としができません。

このような難問に風太郎も答えに窮した。しかし、これが社長と言えるだろうか。単なる従業員ではないのだろうか。役員にして労働者としての保護や権利を剥奪し潰れるまで使い尽くす。人間のやることではない。

「ご主人と直接話が出来れば、一緒に解決策を考えます。」とだけ答えた。

不況は、今、始まったばかりである。酷い血も涙も無いオーナーのもとでどうなるのだろうと心配だった。

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