労働相談奮闘記

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労働相談日誌

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東海林智(毎日新聞) 2009年11月29日 東京朝刊

クローズアップ2009:年末年始の失業対策 派遣村、繰り返すな

 ◇「ワンストップ・サービス」あす試行

 政府の緊急雇用対策本部に設置された「貧困・困窮者支援チーム」(事務局長・湯浅誠内閣府参与)は、年末年始の失業者対策として30日、全国のハローワーク77カ所を拠点に「ワンストップ・サービス」を試行し、相談を受け付ける。「派遣村を繰り返さない」が合言葉だ。失業率は過去最悪レベルで推移、10月の完全失業者数は344万人に上る。「反貧困ネットワーク」事務局長で、昨年の「年越し派遣村」で村長を務めた湯浅氏は「セーフティーネットが機能するよう、国と自治体の協力が重要だ」と訴える。失業者が安心して年を越せる対策は実現するのか。【東海林智】

 政府は10月、緊急支援措置と雇用創造を2本柱に緊急雇用対策本部を設置した。就職活動を支援するジョブサポーターを配置し、高校、大学など新規学卒者の就職支援を実施。厳しい経営が続く中小企業に対しては、生産減少で休業させる従業員に賃金補償する雇用調整助成金の支給要件緩和などで支援している。また働きながら介護の資格を取るプログラムや、農業や環境などグリーン産業で雇用創造を検討している。

 年末対策の目玉は、失業者が住宅確保やつなぎ資金の融資、生活保護など多様な支援策についてハローワークで相談できるワンストップ・サービスだ。

 導入のきっかけは、昨年の年末年始に東京・日比谷公園に開村した「年越し派遣村」だった。村には「派遣切り」された派遣労働者や期間労働者、失業が長期化する野宿者らが、6日間で500人以上集まった。職も住居も失った派遣労働者らに食事と寝場所を支援する中で、融資制度や雇用保険、住宅支援などの支援策が複雑で、対応する窓口もばらばらだったため、多くの人が利用できていないことが分かった。役所の窓口をたらい回しにされ、支援が使えないまま野宿に近い状態になっていた。

 村では、それぞれの事情に合わせて利用できるサービスにつなぐ総合相談が有効に機能し、約8割の村民が生活保護を受給する形で住居を確保した。

 その後、住宅を借りる費用の融資や生活費の融資、生活費給付付きの職業訓練の創設など、生活保護を利用する以前の「第2のセーフティーネット」が整備されたこともあり、こうした支援を有効活用できるよう、1カ所で相談を受け付けるワンストップ・サービスが開設されることになった。派遣村での経験を買われ、湯浅氏が計画・立案に加わった。

 ワンストップ・サービスでは(1)職業相談(2)職業訓練の受講、生活資金の給付(3)住宅入居初期費用の貸し付け(4)求職者が利用できる公営住宅の情報提供(5)住宅手当(6)生活保護(7)生活福祉資金の貸し付け(8)心の健康相談(9)多重債務−−など多彩な相談ができる。通常ハローワークでできる相談以外に、自治体や社会福祉協議会、保健所、弁護士などが対応する項目もある。

 職探しのほか、住宅から生活、心の問題まで、失業者が抱える切実な問題への支援となる。
 ◇求職・融資・住宅、連携目指す

 30日は、東京都区部と多摩地区、全18の政令指定都市、愛知、岐阜、滋賀県の一部の自治体など197市区町村が参加して77カ所のハローワークで実施される。対象はハローワークに登録して求職中の人で、登録していない人は当日登録すれば相談できる。生活保護は原則的に窓口での相談のみで、相談内容は管轄の福祉事務所に連絡され、後日対応する。

 これまでは支援の実施主体がそれぞれ違うため、縦割り行政の中で総合的な対応ができなかった。今回は国と自治体などさまざまな機関が一緒に業務を行うため、スムーズな連携ができるかがポイントになる。

 湯浅氏は「生活困窮者の支援として行うが、あくまで普遍的な住民サービスの向上の一環だ。生活保護の手前で支えるシステムなのだから、総論賛成、各論反対の壁を乗り越え、各機関の協力の中で成功させたい」と話す。試行の結果を検討して実施場所や頻度を決め、12月中に全国規模でサービスを本格実施する予定だ。

 一方、昨年派遣村を支えた労働組合は、連合がワンストップ・サービスに対応した携帯サイトを開設して支援をサポート、全労連は30日と12月1日、「全国一斉労働相談ホットライン」(0120・378・060)を開催して後押しする。
 ◇雇用保険終了39万人、デフレ、円高… 「昨年よりも大変」

 「今年は昨年より大変なことになるのではないか」。昨年、派遣村の実行委員を務めた労組幹部は失業者の増加に危機感を強める。

 厚生労働省の推計によると、6〜12月に失職し、雇用保険の支給も切れる人は約39万人に上るとみられる。過去のデータでは、支給が切れて1〜2カ月以内に再就職できる人は約4割にとどまる。最大約23万人が仕事も給付もない状態になると推計する。

 総務省が発表した10月の完全失業率は5・1%。3カ月連続で改善されたが、リーマン・ブラザーズ破綻(はたん)直後の昨年10月の3・8%より1・3ポイント高い。有効求人倍率も昨年10月より0・36ポイント低い0・44倍だ。

 また政府は今月、3年5カ月ぶりにデフレを認定。27日には外国為替市場で円相場が一時、1ドル=84円台にまで高騰し、14年ぶりの円高水準となった。労働者を下支えする中小企業には二重ショックで、雇用情勢がさらに厳しくなることが懸念される。

 厚労省幹部は「昨年末は大量の派遣切りが大きく影響した。今年は違うと思うが、失業が長期化しているのも事実で、どういう状況になるか予測できない」と話す。厚労省の山井和則政務官は「支援制度の谷間に落ちないよう、ワンストップで対応し、貧困・困窮者対策の歴史的第一歩にしたい」と意気込む。

 東京都内で野宿者を支援するグループによると、各地で炊き出しに並ぶ列は昨年の倍になっている。23日に港区の芝公園で行われた炊き出しには、配食1時間前に250人が列を作った。昨年10月に営業の仕事を解雇になった男性(34)は、6月に雇用保険の給付が切れ、半月前からネットカフェを転々としているという。「正社員にこだわっていたら、あっという間に1年がたって、貯蓄も底をついた。相談ができないかと炊き出しにきた」と話し、ワンストップを紹介するビラを大事そうにしまった。

転載元転載元: 労働相談・労働組合日記

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