七月参院選挙 民主惨敗、左派も敗退、変動期の混迷深まる七月一一日投開票の参議院選挙は、マスコミ各社の予想に反して与党民主党が改選五四議席から四四に惨敗し、野党自民党が三八から五一に復調、みんなの党がゼロから一〇に躍進する結果となった。公明党は一一から九に、日本共産党は四から三に、社民党は三から二に後退した。国民新党は三からゼロに、たちあがれ日本、新党改革は一。投票率は五八%で微減。
この結果、国会は、与党が衆議院では過半数だが三分の二未満で、参議院では過半数未満という新しい「ネジレ国会」となる。衆議院で三分の二以上であれば、法案は成立するが、そうはならず、与党にとっては苦しい国会運営を迫られることになった(予算案のみは成立可能)。 民主党の惨敗によって、その責任問題も問われることになるが、党内抗争に無駄に時間を浪費する余裕もないほどに、日本の政治・経済は難問に直面している。民主党内には参院の過半数をこえる連立を模索する動きもあるが、どの野党も当面は拒否しているので、政策ごとの部分的多数派の形成を図るほかに法案成立の見通しは立たない。重要法案が不成立を繰り返せば、衆院解散となるほかない。あるいは、政界再編に火が点くこともありうる。いずれにしても、昨年八月末の総選挙での民主党の圧勝によって生じた〈変動期〉はさらに混迷を深めることになる。 全面的な総括を展開する能力も紙面もないが、いくつかの要点だけを明らかにしたい。 昨年八月末の民主党の圧勝から一〇カ月、今度は惨敗となった。不用意唐突な「消費税一〇%」発言が大きなマイナス要因になったことは明らかだが、その意味は消費税を上げることへの拒否ではなく、その不用意さいい加減さにこそ向けられていたのである。なぜなら、議席を大幅に回復した自民党は消費税に反対しているのではなく、率先して一〇%アップを主張している。単純に「消費増税反対」を主張した共産党は大敗した。沖縄基地問題、政治とカネ問題などでの民主党のふらつきと旧泰然たる資質こそが失望を招いたのである。小沢一郎前幹事長の復権を願ったり、その動向に着目する傾向も残っているが、本当に彼が何か新しさを持っているのなら、タレント議員をふやすのではなく、対米関係でも経済政策でも明確な主張を示すべきであるが、そういうことはできない。 たちあがれ日本などの国粋主義勢力は合わせて三五〇万票で、大きな支持は得られなかったが、警戒する必要がある。 沖縄基地問題は、沖縄で民主党が立候補もできなかったことが鮮明に示しているように、「日米合意」をそのまま強行できるはずはない。沖縄の怒りの行動に連帯する本土での闘いがカギである。衆議院の議員定数削減も浮上する。早急に市民左派による反対運動を展開しなくてはならない。消費税だけでなく、所得税の累進性の強化や法人税での大企業優遇を改めることを柱に税制全体について、 認識を深め対案を出す必要がある。 そのためにも、経済成長を追い求めるのではない、新しい社会や経済のあり方を模索しなくてはならない。人員削減ではなく、労働時間短縮と賃金の平準化による雇用拡大へと転換しなくてはならない。みんなの党は、公務員削減を声高に叫び、失職した公務員は「ハローワークに行け」と言っているが、ハローワークに行っても求職はないのだ。 日本社会の存続すら問題となっている危機的局面において、大もうけしている大企業や大資産家が応分の税金を払うことは当然だという世論を創りださなくてはいけない。 「強欲資本主義」による「無縁社会」の拡がりから、助け合う社会へと転換することが求められている。その柱の一つが、〈生存権所得〉の実現である。新党日本だけでなく、民主党の中にも「ベーシックインカム」を主張する議員もいる(有田芳生氏)。 共産党は、比例区の得票を三年前の四四〇万票から三五六万票に二〇%も減らした。得票率では七・五%から六・一に一・四ポイントも下がった。比例区選出の現職で選挙区に挑んだ東京の小池晃候補も二〇〇〇票減の五五万票で六位落選となった(五位に一〇万票差)。大敗である。常任幹部会は、翌日、「今回の選挙の結果を重く受け止めています」として、「党内外の方々のご意見・ご批判に真摯に耳を傾け、掘り下げた自己検討をおこなう決意です」と表明した。「主張は正しかったが浸透しなかった」といういつもおざなりの反省ではなかったのはよかったが、その具体化が問われる。 「アメリカと大企業に物言う」という主張も、沖縄基地撤去の方針も間違いではない、と私たちも考える。菅直人首相が不用意唐突に「消費税一〇%」と発言したことを「敵失」と見て、「消費税増税」に焦点を絞ったが、「戻すなら初めから取るな」という的外れの反論では、党内を固めることはできても、波及力はない。あるべき消費税の具体的対案を示すことが必要だったのである。この一事にもよく現れているように、主張が内向きであることが最大の根本的弱点となっている。 とくに東京選挙区について言えば、三年前に川田龍平氏に抜かれて落選したが、その川田氏は支持者周辺の非難にもかかわらずみんなの党に転籍し、期待を裏切り、彼の支持者の多くは今度は誰に投票するか迷った。だから、この支持層に訴え、切り込んで小池票に結びつけることが勝利のカギだった。だが、共産党中央にはその感覚すら欠如していた(私自身は「小池晃さんを応援する市民勝手連Q」を創ってまことに微力を尽くしたが、残念ながら発火点にはならなかった)。 「東京は小池、沖縄は山城博治」という、共産党と社民党とのバーター選挙協力が実現していれば二人とも当選していたであろう。こういう大胆な戦術を行使できる柔軟な姿勢が、左翼には求められている。 五〇年前、安保闘争直後の一九六〇年一〇月の衆院総選挙では共産党は三議席だった(議員定数は四六七)。参院は二議席(同二五〇)。現在は九と六で一五だから、三倍だが、当時は社会党が一四五と六七もいた。左翼の激減・後退は歴然である。新左翼党派は問題にもならない衰退である。左派は根本から出直す覚悟と能力が問われている。 唐突ながら、兼田麗子氏の「オウエンは自分の思想の一般化を試みたが、〔大原〕孫三郎は一般化できる思想を求めた」という言葉を思い出した(『福祉実践にかけた先駆者たち』藤原書店)。理想を捨てようとは思わないし、いつの世も高い理念を掲げる者は極小ではあるが、理想と現実をいかにしたら架橋できるのか、新しい姿勢が強く求められている。 「小池晃さんを応援する市民勝手連Q」村岡到氏の選挙総括。私自身は東京都民ではないが、それなりにQにも関わっていた。ただ私の認識とやや違うので、以下その点だけ補足的に指摘しておきたい。 >「主張は正しかったが浸透しなかった」といういつもおざなりの反省ではなかったのはよかったが、その具体化が問われる。・・・少なくとも敗退直後の小池晃氏は、「国民の声を代弁しているのは共産党だけなのに残念です」と発言しており、反省どころか、実質的に有権者を批判している。また、マスコミを随所で批判している。 >「消費税増税」に焦点を絞ったが、「戻すなら初めから取るな」という的外れの反論では、党内を固めることはできても、波及力はない。・・・実際には消費税問題だけでなく、福祉・医療も強調していたと思う。が、それ自体は他の政党も主張しており、インパクトに欠ける。また一部に、普天間問題が焦点にならなかったのが残念、という総括があるが、これもズレていると思う。 >三年前に川田龍平氏に抜かれて落選したが、その川田氏は支持者周辺の非難にもかかわらずみんなの党に転籍し、期待を裏切り、彼の支持者の多くは今度は誰に投票するか迷った。だから、この支持層に訴え、切り込んで小池票に結びつけることが勝利のカギだった。・・・事前の世論調査では、景気対策・雇用対策を重視して投票するという結果が示されており、みんなの党候補者はまさにこの点を必死に強調して躍進した。したがって、旧川田票云々の問題ではない。民主党政権に落胆するも自民党の復活も望まない無党派層の票を、国民の切実な要求を訊くことさえできない社共が集められなかったのが敗因だろう。 >「東京は小池、沖縄は山城博治という、共産党と社民党とのバーター選挙協力が実現していれば二人とも当選していたであろう。・・・(運動圏でいう)「左派平和勢力」間の選挙協力は重要だが、東京選挙区に関しては共産党の小池氏と社民党の森原氏の票をたしても、当選ラインに届かない。但し、無所属の平和勢力票まで取り込めば当選ラインに届く、というのが正確な認識。 >理想を捨てようとは思わないし、いつの世も高い理念を掲げる者は極小ではあるが、理想と現実をいかにしたら架橋できるのか、新しい姿勢が強く求められている。・・・異論はないが、分りにくい表現w。「自己の党勢拡大という主観的理想しかもたない左派政党に、現実的な選挙協力をさせるのは困難だが、良識ある市民が架け橋にならねばならない」、とかねw。
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生活と文化にかかわる政治
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参考になる記事と思い転載しました。
共産党には、真剣に選挙総括をしてほしいと思ってます。
2010/7/20(火) 午後 5:51 [ 風太郎 ]