プロローグ前回の「地域主権とは何か」シリーズ連載2回目では前国会の継続審議になっていて今国会で審議される予定の法律「地域主権改革一括法(第1次)」について、その危険な面を説明しました。 前々回の記事→「地域主権改革とは何か(その1)」 前回の記事→「地域主権が生活を破壊する(地域主権とは何か【その2】)」 地域主権大綱は何を目論むか菅内閣発足直後の6月22日、「地域主権戦略大綱」というものを閣議決定しています。地域主権戦略大綱は概ね2,3年先を見据えた取り組み方針を明らかにしたものです。従って、この大綱を見れば近未来に何が目論まれているかが分かります。地域主権戦略大綱は九項目に及ぶ改革を謳っています。ここでは、その内の主要な三項目をとりあげます。但し、3項目目の「国の出先機関の地域への移管」は連載の4回目に回します。 義務付け枠付けの見直しと条例制定の拡大継続審議中の「地域主権改革一括法(第一次)」で保育園の設置基準などが地方に任されることは既に述べましたが、今後ニ、三年を見越した改革で、その動きが加速することになります。これは法制面からの地方の自由裁量の拡大と国の関与縮小を目的としています。今後の改革で進むと思われるものを例示すると公立高等学校の生徒の収容定員の基準の廃止、公営住宅の計画的な整備に関する基準の廃止、また、地方の条例に委ねるものとして保護施設の設備及び運営に関わる基準、都市公園の設置基準などがあります。これらの中には沢山のナショナルミニマムとして確立している事柄があり、それが破壊されることを意味します。 義務付け枠付けの廃止は、安倍政権が発足させた地方分権改革推進委員会が2008年12月の第二次勧告に盛り込んだ経緯が有り、同勧告では4076項目に及ぶ規制を外し、地方の自由裁量に任せることを謳っています。従って、「地域主権改革一括法(第二次)」 「同(第三次)」と規制外しは続くものと思われます。 この経緯からも地域主権改革は、自公政権の目指した構造改革の延長線上にあることが分かります。今後は、構造改革を地方に押し付け地方にやらせる役割も有ります。 構造改革は、格差を拡大し、矛盾を拡大し、地域住民の不満を拡大するものと思われますが、自治体に対する不満となる為、国の政権は安泰であると言うことになるのでしょうか。 ひも付き補助金の一括交付金化これは民主党の小沢氏が「ひも付き補助金を一括交付金化すれば、3割は削減できる」と発言し、全国知事会などから「補助金総額が削減された場合は地方行政のサービス水準が落ちてしまう」さらに「民主党政権の補助金改革は地方の創意工夫が発揮できるような自由度の高い仕組みをつくるのが、本来の目的のはずだ」などと批判がでたことが報道されています。平成22年度当初予算では交付金総額が21兆円ですが、その内訳は社会保障関係が14.8兆円、文教・科学振興関係が2.3兆円、公共事業関係が3.1兆円などどなってです。当初は公共事業の部分が一括交付金の対象になるようですが、地域主権戦略会議のメンバーの中では、交付金の総額を対象とすべきとの意見も根強く存在します。 国としては、21兆円をそのまま一括交付金にしても財源にメリットが有りませんので小沢氏が言うように大幅に減額して交付することは明らかです。 社会保障関係費まで一括交付金になった場合には、その使い方は地域に任されるため、将来的には社会保障を削って、開発関係に使う自治体も現れます。 ひも付き補助金の一括交付金化は小泉政権の下で行われた三位一体の改革に相似しています。 小泉政権の時代に一括交付金化に似た政策「三位一体の改革」が行われました。 三位一体の改革は、小泉内閣における聖域なき構造改革の一環として、「地方に出来る事は地方に、民間に出来る事は民間に」という小さな政府論を具現化する政策として推進されたものでした。国庫補助金改革・税源移譲による地方分権と、地方交付税の削減による財政再建を目的に推し進められました。 しかし、国の財政再建が優先され負担を地方に押し付けた結果となり、地方に衝撃を与えました。2004年から3年間で税源移譲が3兆円に過ぎなかったのに地方交付税の減額が5.1兆円、国庫補助金の減額が4.7兆円の合計9.8兆円減額された分けです。 この結果、地方の財政は苦しくなった分けです。 (続く)
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