更新期間終了後も働いていれば、更新したものと看做される。契約社員のAさんからの電話相談があったのは11月初めだった。9月末で契約期間は終了していたが何も言われずに10月いっぱい働いた。契約は1年更新であり4年目に入ったことになる。11月1日に上司に呼ばれ、「実は更新できない。申し訳ないが今週いっぱいで終りになる。」と言われたと言うことであった。Aさんは母子家庭の母親で、突然、そんなことを言われても困ると反論したが、「会社で決めたことなので譲ることはできない。」と言って取り合ってくれない。実はAさんは去年も更新について何の話も無く事実上更新してきた経緯がある。 風太郎はAさんに「民法の629条の規定で昨年と同一の雇用条件で契約は更新したことになる。」と主張してみなさいとアドバイスした。Aさんが、そのように主張した結果、上司は、途端に怒りだし、「忙しいんだから遅れることだってあるだろう。」と怒鳴ったそうである。最後に、「顧問弁護士に相談する。」と言われたとのことであった。 その後、何事も無く1週間が過ぎ、上司が社長から怒られたとの噂が広がってきた。同時に上司から不当な扱いを受けるようになった。シフトは1週間ごとに決められ週末に翌週のシフトが発表されるが、働く日数と労働時間を減らされた。そして、業務上の相談をしても無視する、口をきかないなどのパワハラが始まった。 「民法629条」
(雇用の更新の推定等) 雇用の期間が満了した後労働者が引き続きその労働に従事する場合において、使用者がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の雇用と同一の条件で更に雇用をしたものと推定する。この場合において、各当事者は、第六百二十七条の規定により解約の申入れをすることができる。 【雇い止めの予告に関する通達】
なお、平成20年1月23日の労働基準局長の通達では有期雇用の雇用期間が1年を超えた場合及び雇用期間が3回以上更新された場合に於いて更新をしない場合には30日前までに雇い止めの予告をしなければならないと規定しています。 11月の15日に再びAさんから相談の電話があった。会社に行くのが辛くて仕方が無い。以前勤務した職場でもパワハラで体調を崩し、うつ病と診断された経緯が有り、心配だから病院に行ったが、主治医の見解は、相当深刻な状態だから働き続けるのは良くないということで診断書を頂いたとのことであった。 風太郎も「医者の指示には従った方が良い。」とは思ったが、当面の生活ができるように辞める方法をアドバイスすることにした。 会社への連絡内容としては、診断書のコピーは必ず取った上で診断書と有給休暇を送付すること。有給休暇に続けて病欠を申請すること。傷病手当金の申請をする意向であること等。 医者から診断書が出たと言うことは、会社との人間関係を断ちなさいという意味だから、メールでその辺の事情も書いて人事宛て丁重にお願いしなさいと説明した。 会社が協力的でなければ、労働局に間に入ってもらう制度(「助言・指導」)の活用も有ると説明したが、会社はすんなりと要求(有給を使うこと、傷病手当金の手続きをすること)を受け入れたとのことであった。 メールには、会社からの退職勧奨については受け入れるつもりであるが、その為の退職条件について話しあいたい。ついては、その話し合いは、中立の立場で公益委員が仲立ちをしてくれる労働局の「あっせん」を利用したい旨、書き送信して頂いた。 会社が退職勧奨をしていることを認めれば「特定受給資格者」(世間では会社都合という)になるし、認めなくても在職中の診断書があるので病気を理由に辞めれば「正当な理由のある自己都合」として実質的には会社都合と同等となることを説明しておいた。(45歳未満の場合自己都合も会社都合も勤続が5年未満の場合支給日数は90日) 傷病手当金の手続きまでは会社が応じることになり、現在、退職条件について話し合うための「あっせん」の手続き中である。 ◯ 特定受給資格者と特定理由離職者↓ https://www.hellowork.go.jp/insurance/insurance_range.html#jukyuu ・特定受給資格者の2(10)を参照 ・特定理由離職者の2(1)を参照 ◯ 失業給付受給日数↓
https://www.hellowork.go.jp/insurance/insurance_benefitdays.html ・病気などを理由(診断書が必要)とした退職は正当な理由のある自己都合となり3か月の待期期間は無く、雇用保険期間が6カ月以上1年未満の場合上表の給付日数が適用され、1年以上の場合には下表の給付日数となる。(45歳未満で雇用保険期間が5年未満では両表とも90日で同じになります。) |
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