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小田原曽我梅園の梅 紛争の解決に決まった処方箋はない労働紛争にこれで大丈夫ですという誰にでも当てはまる処方箋はない。ある労働者には適切であった解決法が別の労働者には適当でないことがある。特に労働者が精神疾患に罹患している場合には争うことが難しいことが多い。自殺するかも知れないような労働者に争う方法を教えることは自殺に追い込むことになるかも知れない。労働相談には相談者の健康状態に細心の注意を払う責任がある。ある労働弁護団の弁護士に「酷いうつ病の労働者から労働審判の依頼があった場合どうしますか」と質問したことがある。その弁護士は、「病状にもよるけれど、裁判所は泥仕合の場所だから、健康には悪い。うつ病が酷くなることは避けられないかも知れないので、勧められない。」と言われた。 アドバイスの内容を相手によって変えることは、相手の健康状態だけではないが、そのほかにどういうことがあるかについては機会があれば書くことにして、今日の本題に入ることにする。 しかし、私も泣き寝入りを勧めることはしたくない。負担にならない程度に、経済的に少しでも良かったと思えるように工夫する。 ある日の労働相談から入口から入ってきた20代と思われる女性労働者を見て精神疾患に罹患していると直感した。面談室で「辛そうですね。どうしました。」と声をかけた途端に泣き出して事情を聴くことさえできなかった。しばらく泣きやむのを待つことにした。上司のパワハラが原因のようだった。聞いているうちに状況がわかってきた。相当に酷いパワハラである。セクハラもある。体調が悪くて電話しても「風邪ぐらいで休む馬鹿があるか!」と怒鳴られる。「今日はどうしても会社に足が向かないので医者に行って、ここに来たけれど、今から出勤します。」と言った。 夜眠られず、吐き気もあり心療内科に診てもらったが医者から「なんでもないから頑張りなさい。」と言われショックを受けてここに来たとのことだった。 私は毎日精神疾患に罹患した労働者と何人も話しているので、医学の専門知識はないが悪いか悪くないかぐらいはわかるつもりである。こういうケースが最近多くなった。NHKのクローズアップ現代で、かえって病状を悪化させる心療内科の医者が増えていると報じたのは去年のことだった。残念ながら、このような酷い医者が増えてきているのは実感するところである。NHKで取り上げるのだから一般的傾向なのであろう。 こういう医者に限って、薬をジャンジャン出す。これもNHKの報道だったが、大阪では路上生活者を特定の診療所に連れて行き生活保護を受けさせたうえで不要な薬をジャンジャン処方する貧困ビジネスとしての医療行為が多くあり、市の財政を圧迫しているそうである。 少し横道にそれました。 このようなケースでは、私は「セカンドオピニオンを求めなさい。」ということにしているが、信頼できる病院に限って診察の予約は1カ月待ちなどとなる。健康保険の傷病手当金は「要休養」の診断があった日の3日後の4日目からとなるので困ったことになってしまう。とりあえず、予約が直ぐにできる医者を探し診断書をもらって、本当に直すためには信頼できる医者を探すことになる。 私は、医者が要休養と判断をしなくても「自分の判断で休みなさい。」と言うことにしている。勿論、私は医者ではないから診断はできないし休むことの判断もできない。自分で判断しなさいという意味である。この時も「風邪で熱があれば自分の判断で休むでしょう。ヤブ医者の言うことを信じないで、自分でヤバいと思うなら病状を判断していいんです。」と言った。「別の医者を探しなさい」ともアドバイスした。 家族に支援が受けられるかどうか知る必要があると思って、「ご家族は」と聞いてみた。ご両親は健在のようだった。母親は「そんなところで我慢して働くのは、やめたほうがよい。」と言うが父親は「そんなことを我慢できなくては駄目だ、頑張れ」と辞めることに賛成ではないらしい。どうやら板挟みになっているようだった。 私は、「もう十分頑張ったんだから、辞めるか辞めないかは後で考えることにして、休みなさい。」と言った。 「野生の動物は敵が来れば逃げるからうつ病にはならないけれど、動物園の動物やペットの動物はうつ病になるんだよ。息子の飼ってる猫はうつ病で今治療中なんだ。人間は給料という鎖で縛られて逃げられないからうつ病になる。」と言った。 「もう十分頑張った・・・」と言ったところでまた泣きそうになったが、息子の飼いネコがうつ病と言ったら笑みがみえたのでホッとした。 「まず、逃げましょう。さっさと逃げましょう。辞めるんじゃなくて休むんです。貴女の場合有給が10日あるから、まず有給をとって・・・」と言ったら「うちの会社には有給がないんです。」とかえってきた。「確かに、会社で制度を作っていないかもしれないが、会社に有給の制度が無くても、法律でとれるようになっているから・・・」と ここも判断の難しいところである。健常者であれば有給を取らせることを勧めて当然だが、うつ病患者に有給をとる力が残っているだろうかと判断しなければならない。有給を取らせない会社で、誰も取ったことが無い職場で有給をとるというのは相当な勇気が必要になる。無理かもしれない。 「無理しなくてもいい。有給はとる権利があるけれど、その為に病状が悪化するならあきらめることも必要なことがある。」と言った。 彼女は勤務して7カ月目である。在職中に病院から要休養の診断書が出れば、仮に自己都合退職しても病気を理由にすることで失業給付が給付制限(「待期」という)なしで受けられる。いわゆる正当な理由のある自己都合退職である。(脚注参照)その説明をした。実際問題、素人ではあるが病状から判断して、この会社での職場復帰は難しいだろうと考えたからだ。零細企業で社長が相当にワルである。 ※脚注:診断書が必要となるがハローワークが病気などで正当な理由のある自己都合退職と判断すると(特定理由離職者の2)との位置づけとなり給付制限といって失業給付の受給開始日が3ヶ月間先送りされることはなくなる。しかも、今までは自己都合では12カ月以上の保険期間が必要であったが6カ月でよくなった。12カ月未満の該当者は受給期間は90日で会社都合と同じである。しかし、12カ月を超える該当者は自己都合の受給期間となるので会社都合より短い場合もある。
「実際問題、そこで今後働けると思いますか」と質問してみた。父親に反対されなければ辞めるつもりであることがわかった。 私は、アドバイスはするが、決断は自分でさせることにしている。幾つかの選択肢を与え、考えさせることにしている。 彼女の場合、有給をとり、傷病手当金の支給を受け、辞める方向で考えるがよく家族と話し合うことにし、辞める場合には傷病手当金に続けて失業給付を受けるということを自分で判断した。これからの見通しがはっきりしたためだろう結構明るい顔になって帰っていった。このまま出勤はしないだろう。問題があれば電話が来ることになっているので、今後も相談相手になるつもりである。
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パワハラ、うつ病、PTSD
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