長時間労働:家族からの悲痛な訴え
「KAROSHIは英語の辞書や他言語の辞書にも掲載されている。日本語の過労死がそのまま使われるのはこれが日本特異の現象であるとの認識を示す。先進国であるはずの日本の封建的な奴隷制度とあまり変わらない労働状況を象徴する言葉として認知されるようになる。」 長時間労働やサービス残業に関する家族(妻や父母)からの訴え(相談)が増えている。家族からの訴えにはパワハラに関するものも多いが、長時間の時間外労働や休日労働に関するものも多い。悲痛な訴えが増えている。 「時間外労働や休日労働が月間150時間を超えるが、法違反ではないのか。」 「このままでは家庭が破壊される。」「休日も休まず働かされてる。主人は倒れるかも知れない。」 「夫が殺される。何とかできないか。」 「労基署は何をしているんですか。」 「150時間も只働きさせることがまかり通るんですか。」 といった内容である。パワハラと長時間労働と残業代不払いの3重苦と言ったものさえある。 私は、「状況をもう少し詳しく知りたいからご主人と直接話はできませんか。」と持ちかけるが、決まって返ってくる応えは「主人には争うつもりが有りません。」である。「ご主人の気持ちも良くわかるけれど、当事者が動かなければ・・・」というと「結局泣き寝入りしか仕方が無いと言うことでしょうか」「こんな理不尽なことがまかり通って良いんでしょうか」と言われてしまう。 仕方なく「少なくとも、もしもの時の為にご主人に記録を付けるようお願いしなさい。奥様も、ご主人の帰宅時間などの記録を付けなさい。」「できれば『営業日誌』や『業務日誌』に時間を散りばめるようなものがBetter」「もし、辞めることになっても証拠が有れば2年間遡って請求が可能」「有ってはいけないけれど、もしもの時に労災の証拠にもなります。」などとアドバイスする。 労働者からの直接の相談も多いが、「匿名にして欲しい」と言われることが多い。名前を明らかにして会社名も明らかにするのは辞めることが決まった労働者の場合に限られると言ってよい。 残業代を払わないで労働をさせるのは労基法24条違反の犯罪で罰則も有る。「残業代を払ってください。」「150時間もの残業はできません。」と言えない社会、それが発達した先進国であり、民主国家・日本の現実である。
しかし、労働者からは「そんなことをしたら確実に首になる。」と言われる。「居辛くなり、結局辞めなければならない。」「有給休暇もとれる雰囲気ではない」「休日出勤を拒否したら罵倒されます。」「うちの会社は北朝鮮と同じです。」などの応えが返ってくる。 法律は守らせる力がなければ絵に描いた餅になる。そして、多くの労働者はその力を持ち合わせていない。黙々と只働きを続けている。 150時間もの只働きにクレームすることさえできないのが実情である。最近、労働相談が減少してきている。問題が無くなったのであれば嬉しいことだが、そうではないらしい。 過酷な労働条件に文句を言えない。不利益変更を受け入れるしか仕方が無いとの諦めムードが蔓延し始めている。雇用情勢の深刻化が諦めムードを助長している。 労働者は失業を恐れ何もできない。牙をそがれた状態と言ってよい。150時間もの時間外労働は仮に賃金が支払われていても異常である。ましてや只働きは奴隷労働とどこが違うのだろうか。奴隷労働を当然の如く要求する事業主、それにひれ伏す労働者。異常である。 日本の労働時間の規制はどうなっているか絵に描いた餅を説明しても仕方が無いのかも知れないが、時間外労働の規制について簡単に説明することにする。労働時間の基本は労基法32条で決まっている。使用者は、一日は8時間、一週間は40時間以上労働者を働かしてはいけないとなっている。例外として労基法36条に基づく協定(36協定)を労働者の過半数代表者(過半数を組織する組合が有る場合には組合)と締結した場合には、その協定の範囲内で時間外労働や休日労働を命じることができることになっている。 しかし、36協定など無しで残業をさせている事業主はゴマンといる。36協定を提出するにあたって、「お前が労働者代表だ」と言い含められてハンコを押させられているケースも多い。 法律上は労働者代表が認めれば青天井で残業ができるわけではない。36条の2項で「厚生労働大臣が労働時間の延長の限度基準を定める」としている。会社の息のかかった労働者代表は会社の言うなりに決める可能性があるのでそれを防止する措置と思われる。 事業主が労働者の過半数代表者と締結する36協定では次の二つの時間外の制限時間を協定しなければならないことになっている。 ○1日を超え3か月以内の期間(1ヶ月間で協定する場合が多いと思われるが1カ月の場合には45時間以内でなければならない) ○1年間(360時間以内) これだけで有れば、労働者代表が認めても1カ月45時間の時間外労働が限度になるが、抜け道がチャンと用意されている。労働者代表と「特別条項付き協定」を締結する方法である。厚労省のパンフレットには次のように説明されている。 :臨時的に限度時間を超えて時間外労働を行わなければならない特別の事情が予想される場合に特別条項付き協定を結べば、限度時間を超える時間を延長時間とすることができます。 特別条項付き協定を締結すれば、1カ月45時間の制限を60時間にも80時間にもできるのである。特別条項付き3協定での制限時間は設けていない。但し、特別条項付き協定ができるのは1年のうち6カ月間までとなっている。勿論、労働者の過半数代表者が50時間まで認めるとなれば50時間までの残業命令しかできない。1年のうち3か月まで認めるとすれば残りの9カ月は45時間までしか認められない。 労働者の過半数代表者になることは極めて有効な残業規制となる従って、労働者の過半数代表者に立候補して36協定の締結権を取得する方法は極めて有効となる。(労働者の過半数で組織する労働組合が有る場合にはその労働組合が過半数代表者となる。)50年も前の話になって恐縮だが、私は労働組合の末端組織である分会の委員長に立候補して過半数代表者になった。そして、皆に諮って36協定の締結を拒否したことが有る。20歳の時であった。当時は「36協定破棄闘争」といって、良く利用された闘争手段である。 支店長は労基署に提出する書面を示し当然の如く「ここにハンコを押せ」ときた。私は「みんなの意向だから、残業代を払うなら押す。」と断った。結局3日間30名の組合員が夕方6時で職場を離脱した。残業を拒否したのである。過半数代表者が認めない限り会社は残業の業務命令ができない。 その結果、会社は困り果て残業代が払われるようになった。リアクションも有った。私の昇給査定は同期で最低となってしまった。地方本部の団体交渉で私の昇給査定が取り上げられたが解決には至らなかった。 組合は36協定の有効期間を1カ月と決めた為、支店長は1カ月に1回、36協定の締結を求めてくることになった。1カ月に1回頭を下げるようになったのである。 最近の事例:過半数代表者に立候補して残業代の交渉をした事例先日、元気のいい女性労働者数名が残業代のことで相談に来た。聞いてみると、30名程度の企業で仕事上でも中心的メンバーであることがわかった。私は、労働者の過半数代表者に立候補して36協定の締結権を握ることを提案した。その後、報告が有り、「労働者代表になりました。これから残業代を払うよう交渉を始めるところです。」と嬉しそうな声で電話が有った。これは珍しいケースである。しかし、仕事上での中心的メンバーが数名結束しただけで、労働組合が無くても事実上の団体交渉が成立した事例となった。【参考資料】 ○労基法32条
使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。 ○労働時間の限度に関する基準(厚労省パンフレット)→http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/040324-4.pdf
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労災、過労死・過労自殺
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風太郎様
ご無沙汰しております。
記事を転載させて頂きます。
本年もどうぞよろしくお願い致します。
2012/1/9(月) 午後 7:59
転載に感謝します。
2012/1/10(火) 午前 7:51 [ 風太郎 ]