事業主から会社の退職金規定の額を上回る金額の返金を求められた○ 労働者:会社に30年勤めて定年になり退職金が中退共から振り込まれることになっています。その金額は約295万円と聞いています。ところが、先日社長に呼ばれ会社の退職金規定では勤続30年の退職金は150万円と規定されているそうです。社長から、規定を上回る額約145万円を会社に返金するように言われました。私は、会社が積み立てたものだし、会社の退職金規定がそのようになっていれば仕方が無いと思い「分りました。」とは答えましたが、本当に返さなければならないものなのか知りたくて相談に伺いました。 ● 風太郎: 返金する必要はありません。今、ギクシャクすると退職の手続きなどで意地悪をされたら困るので放っておいても良いんじゃないでしょうか。(風太郎は、返金しなくて良い理由について以下のような説明をした。) この種の相談は結構あります。実際に自宅に請求書が送りつけられてきた例も有り、会社からの返金要求額を返金してから相談に来る事例も有ります。実際に会社へ返金してしまった後で取り戻すことは、なかなか困難が伴います。退職に際して、会社の退職金規定を超える金額について返金するとの念書を差し入れたケースもあります。 中退共の仕組み中小企業の事業主が従業員の退職金制度を維持・運営するのは人件費もかかり運用上のリスクもあり大変なことです。中退共制度は、中小企業の従業員の退職金制度が安全に安定的に維持・運営できるよう国がサポートする仕組みです。昨年の12月現在、中退共を利用している中小企業数は約37万、加入している従業員数は約328万人です。中小企業退職金共済法という法律により独立行政法人勤労者退職金共済機構・中小企業退職金共済事業本部(中退共又は機構という)が運営する退職金制度です。この中退共制度を利用するためには中小企業退職金共済法の定めによらなければなりません。機構は国の資本で運営されています。 同法第10条1項は、退職金の支払先を次のように定めています。 機構は、被共済者が退職したときは、その者(退職が死亡によるものであるときは、その遺族)に退職金を支給する。ただし、当該被共済者に係る掛金の納付があった月数(以下「掛金納付月数」という)が12カ月に満たない時は、この限りでない。
また同条第5項には 被共済者がその責めに帰すべき事由により退職し、かつ、共済契約者(事業主のこと←風太郎のコメント)の申出が有った場合において、厚生労働省で定める基準に従い厚生労働大臣が相当と認めたときは、機構は、厚生労働省令で定めるところにより、退職金の額を減額して支給することができる。
これは懲戒解雇のような場合が想定されますが、そのような場合でも事業主の言分がそのまま通るわけではありません。労働者にとって退職金は老後の生活を支える重要な資金であり強く保護がされているということです。懲戒解雇が認められ退職金が減額された場合でもその差額が事業主に渡ることはありません。 退職金の受取人は退職労働者又はその遺族に限られている分けですがその点について中退共のHPにも質問に対する回答として掲載されていますのでご紹介しておきます。 退職金は会社が受け取ることはできますか?→http://chutaikyo.taisyokukin.go.jp/qa/qa-09/9-1-4.html 懲戒解雇の場合には退職金を減額することができますか?→http://chutaikyo.taisyokukin.go.jp/qa/qa-09/9-1-7.html 中退共からの退職金が会社の退職金規定の額を下回る場合会社の退職金は就業規則の一部である退職金規定に定められています。中退共から支払われる退職金の額が退職金規定の額に達しない場合にはその差額を企業が労働者に支払わなければなりません。このようにしている中小企業も沢山あります。逆に、中退共の退職金が退職金規定を上回る場合には、本来退職金規定を改定しなければなりません。事業主は中退共の諸規定を承知の上で中退共の共済契約者になったわけです。 |
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