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どうしても退職するなら損害賠償を請求する
一身上の都合で辞める時、退職日を決めるのは労働者自身であることはことは自明のことと思うが、意外とトラブルになっている。どうしても辞めるなら損害賠償を請求すると言われて、たじろぎ低賃金で使い潰される労働者がいる。
辞めたら損害賠償を請求するという事業主は多いが通常は脅しに過ぎない。しかし、労働者はビクビクし相談に来る。損害賠償額を決めることは労基法16条で禁止されている。賃金から損害額を控除することも労働者の同意が無ければ労基法24条違反となる。従って、事業主が損害賠償額の支払いを実現するためには訴訟での勝訴判決が必要となる。金と時間をかけて裁判をすることは殆どないと言ってよい。
自己都合退職と言ってもよくよく聴いてみると残業代が支払われないなど雇用契約が守られていないこともある。この場合には労基法15条2項によって直ちに退職する権利が生じる。
●労働者
半年前から退職したいと社長に話しているが代替えを探して来いと言われ退職させてもらえません。辞めるんなら損害賠償だとも言われています。契約は3か月で更新してきました。社長は、代替えを探しているが見付からないので、それまで待てと言っています。
●風太郎
契約期間を定めての雇用契約の場合、民法628条の規定で、その契約期間中に(労働者の過失によって)退職する場合、相手側に損害賠償の権利が生じると定めていますが、労働基準法137条で「(略)
民法第628条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。」と定めているので法的には即日退職できます。しかし、今日の明日は良くないので、この契約が終了する日に更新しないとか、10日か2週間後に退職するとかしたら如何でしょうか。退職届を出してみてください。損害賠償の心配はありません。
損害賠償が裁判になった例がありますが、裁判所はそう簡単に損害賠償を認めるわけではありません。その点について独立行政法人「労働政策研究・研修機構」のQ&A「労働者はどのような場合に使用者に対して損害賠償責任を負うのでしょうか」という記事が参考になります。以下にその記事の一部を転載します。
<労働者の辞職と損害賠償責任>
労働契約に期間の定めがある場合は、労働者は、やむをえない事由がない限り、一方的に辞職する(労働契約を解約する)ことはできないのが原則です(http://www.jil.go.jp/images/new_window.png民法628条)。期間の定めがない契約の場合は、労働者は、2週間前に申入れを行えば辞職することができます(http://www.jil.go.jp/images/new_window.png民法627条1項。なお、http://www.jil.go.jp/images/new_window.png同条2項により、月給制の場合は、月の前半に辞職を申し入れれば、翌月以降にその効果が発生することになります)。
以上からすれば、期間の定めのある契約を結んでいる労働者がやむをえない事由がないのに期間途中で辞職する場合(やむをえない事由があっても、それについて労働者に過失がある場合)、および、期間の定めのない契約を結んでいる労働者が、2週間前の申し入れをすることなく突然辞職した場合には、契約違反による損害賠償責任が発生する可能性があります。
しかし、裁判例上、労働者の責任が認められた事例はほとんどありません。特定の業務を担当させるために期間の定めなく採用した労働者がその4日後から欠勤を続けて辞職してしまったため、その業務に関する契約を取引先から打ち切られたという事案において、労働者に対する損害賠償請求を認めたものがみられるにとどまります(東京地判平4.9.30 ケイズインターナショナル事件 労判616号10頁)。ただし、賠償額は退職後に合意された金額の約3分の1に限定されています。 |
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