労働相談奮闘記

労働者の悲痛な叫びを伝えたくて、そして解決に役立てて頂く為に

労災

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この記事は「うつ病など精神障害の労災認定基準(その2)」の続きです。(その3)から読むと理解しにくいので(その2)又は「うつ病などの精神障害の労災認定基準(その1)」から読んでください。
この記事は、平成23年12月26日厚生労働省が精神障害による労災の認定基準を作成したと発表しましたので、その内容を知らせるものです。

労災申請にはポイントがあります。ポイントをおさえることで認定に道が開けます。

前回に引き続き「業務による強い心理的負荷が認められること」即ち(要件2)の例示を続けます
例:「退職を強要された」
②精神障害の労災認定(パンフレット)の8ページの頭の20項目目に「退職を強要された」という具体的出来事が載っています。労働相談ではよくある事例です。注目するのはこの場合には平均的な心理負荷の強度が「強」となっていることです。退職の強要を受けると当然にショックを受けますから平均的な心理的負荷が「強」になるのは当然です。

20項目目右欄の【「強」である例】を具体的に読んでみると予想以上にハードルが高いことが書いてあります。まず、「退職の意思のないことを表明しているにもかかわらず、執拗に退職を求められた。」とあります。退職を迫られただけではダメなようです。退職しないとの意思表示が必要です。執拗にという言葉もあります。

ハードルが高すぎるように思います。いったい退職を強要され精神疾患にかかった労働者の何パーセントが強要されたことを証明できるのでしょうか。ショックのあまり退職の意思のないことを意思表示できずに出勤できなくなってしまった労働相談の事例は膨大です。平均的な心理的負荷が「強」だからといっても認定を勝ち取るのは容易ではありません。

このような行為を受けたときにはメールでやり取りするなどの証拠をつくる必要がありそうです。自分を守るために他に方法が無いなどやむを得ない時は正当防衛と考えて録音ということも考えられます。また、退職の強要を止めるよう労働局に「助言指導」を求めるのも退職の意思のないことを証明する手段にはなるでしょう。

「助言・指導」の制度については私のブログ記事個々の労働者が利用できる労働局の「助言指導」とはどんな制度も参考にしてください。 しかし、そのような準備ができる精神力を持っていないからうつ病になるのではないでしょうか。ハードルが高すぎると言わざるを得ません。

同じ欄の続きに「恐怖感を抱かせる方法を用いて退職勧奨された」と記載されています。どのようなやり方が恐怖感を抱かせるやり方かの説明はありません。私見ですが、労働相談の事例では会議室で大勢の上司に取り囲まれ長時間にわたってトイレにも行けないようにして罵倒され退職を迫られたなどの事例は該当するのではないでしょうか。

このようなやり方は密室で行われます。証明をすることは難しいでしょう。相談事例でも労働者の父親が息子の様子がおかしいと思いICレコーダーをONにして息子の鞄に忍ばせておいたら密室で大勢の上司の取り囲まれ頭をゴロゴリやられたり3時間を超える長時間にわたって罵倒され続け自主退職の退職願に署名させられたことが分ったというのがありました。

例:「解雇通告された」
解雇通告は「退職を強要された」の【「強」である例】の説明の三つ目に載っています。私見ですが「解雇通告」を「退職の強要」に含める理由は良くわかりません。説明には「突然解雇の通告を受け、何ら理由が説明されることなく、説明を求めても応じられず、撤回されることも無かった」とあります。解雇には様々な事例があり、この説明はホンの一例にすぎないと考えるべきでしょう。

注意するべきは、既に説明したことですが、「退職の強要」や「解雇通告」が発{{{病前の6カ月間に行われていることです。 }}}この事例では退職勧奨や解雇通告の直後に発病する可能性は高いのではないでしょうか。在職中に病院へ直ぐに言って診断して頂くことをお勧めします。

例:「配置転換があった」「転勤をした」等
②精神障害の労災認定(パンフレット)の8ページの21項目目に「配置転換があった」、22項目目に「転勤をした」というのが載っています。要件2を満たす心理的負荷の強度が「強」となる例として3点の事例が掲載されています。特に三つ目に書かれた転勤が左遷である場には精神的負荷が大きくなるのは当然でしょう。
「パワハラの立証は難しくてもそれに伴う左遷や降格賃金のダウンなどは立証しやすい
配転や転勤は否定し難い事実として立証がしやすいと思われます。

22項目目の「転勤をした」の項では「強」になる例として「転勤先が初めて赴任する外国であって現地の職員と会話が不能、治安状態が不安といった事情から・・・・・・・・・・・・」と書かれています。

私の現役時代に勤務した会社でのことですが、海外赴任した同僚が崩し傷病休職をとった事例がありました。当時、私傷病として扱われましたが、今なら労災となると思いました。

特別な出来事があれば労災認定の可能性が極めて高い
既に当ブログ記事「うつ病などの精神障害の労災認定基準が策定されました。(その1)」で説明したとおり精神障害の労災認定(パンフレット)5ページ目の(別表1)「業務による心理的負荷評価表」最初にある「特別な出来事」に記載されている事柄は労災と認定される可能性の極めて高い出来事です。

「特別な出来事以外」の事柄では心理的負荷の強度を「強」とされなければ要件2を満たしませんが「特別な出来事」では全て「強」と判断されます。勿論、精神障害の労災認定(パンフレット)の2ページの最初にある①と③、即ち要件1と要件3も満たす必要があります。

長時間労働だけで労災認定される
平成23年12月まで使用されていた指針では長時間労働だけで精神障害が労災と認定されるケースは稀で、むしろ長時間労働になった理由の方が重視されていました。`「認定基準」では長時間労働そのものが精神障害の原因として重視され具体的な労働時間が示されています。'''
長時間労働に関しては精神障害の労災認定(パンフレット)の4ページにとても分りやすく説明されていますから参考にしてください。
パンフレットの「業務による心理的負荷評価表」では「特別な出来事」の表に「極度の長時間労働」の欄が該当し、「特別な出来事以外」の表では16項目目の心理的負荷の強度が「強」となる場合が該当します。


出来事が複数ある場合の評価の方法
「認定基準の概要」の複数の出来事欄又は精神障害の労災認定(パンフレット)の3ページには出来事が複数ある場合の評価の方法を定めています。昨年12月までの指針の時代には評価の方法を定めてはいませんでした。

既に発病している精神障害が悪化した場合の評価
昨年12月まで使われていた判断指針では発病前の心理的負荷を検討して認定の可否を判断してきましたので既に発病している場合には労災の対象外となっていました。

新しい認定基準では、発病している場合でも極めて強い心理的負荷がある場合、具体的には「評価表」の「特別な出来事」があり、その後おおむね6カ月以内に精神障害が自然経過を超えて著しく悪化した場合に悪化した部分について労災の対象とすることにしました。これについてはパンフレットの11ページをご覧ください。「特別な出来事」がある場合だけが対象になるのはハードルが高すぎますが一歩前進には違いありません。

以上、認定基準の主要な点を解説しました。詳細はパンフレットなどをご覧ください。

転載元転載元: 労働法規のブログ


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