パートさん達の運命は・・・・・・(続き)
さあ、突撃だ。私達が踏み込むと、いるいる。!!
多くのパートさん達が作業していました。
「労働基準監督署です。調査に来ました。」
といったのですが、何かが少し違う。みんなキョトンとした顔でこちらを見ています。
すぐに社長がやって来て「何事でしょう?」と驚いた様子。
私はとりあえず動かぬ証拠を押さえるべく、従業員からの事情聴取を後回しにして
「タイムカード、賃金台帳を出しなさい。」と社長に命じました。
社長はなおも怪訝そうな顔つきで素直に資料提出に応じました。
さて、これらの資料に目を通してみると・・・・・アレ??
タイムカードには残業時間が打刻されており、賃金台帳にも残業手当がタップリ計上されています。全く改ざんの形跡もありません。要するに長時間労働の実態は認められるものの、残業手当カットの事実はなさそうなのです。
不思議に思いつつ、社長に「賃金明細書の控えはありますか?」と聞くと
「はいどうぞ」と社長。手渡された過去の賃金明細書を見ると・・・・・
残業手当だけが記載されていません。
「これはどういうことですか?」と質問したところ、社長は困ったような顔をして説明を始めました。
「実は、ここで働く従業員は全て近所の主婦ばかりなのです。」
「初めの内は、ちゃんと賃金明細書にも残業手当を記載し、給料袋にも全額を入れて支給していたのですが、半年くらい前、従業員全員が私に
<<折角夜まで働くのだから、主人や、舅・姑に内緒のお金が欲しい。>>
と申し出、協議の末、残業手当だけ別の袋で手渡すことにしたのです。」
「それからというもの、私がなるべく早く帰ってくれといっても、皆競って残業するようになってしまいました。」
「ホンマカイナ・・・・・・?」
ウーンこれはどうしたものかと考えていると、従業員全員が心配そうな目でこちらを見ていました。
やがてその一人が、「社長さんが言っていることは全部事実です。」
「私達が無理を言っているのです。」
「このことは家族に言わないでください。」
と申し出ました。
私達は、ホッとしつつも、「俺達は一体何しに来たんだろう?」というバツの悪さを感じ、
「秘密にしておきますが、ご家族が皆心配しておられますので、早く帰るようにしたほうがいいと思いますよ。」
とだけ言って退散しました。
後日、社長が「こんなことで、悪者になってはたまらない。」と給料を全額、給料袋に入れるようにしたところ、自然に残業も減ったようで、以来、全く苦情も来なくなりました。 めでたし めでたし。(?)
「サービス残業」
「ニセ残業(残業で遅くなったのではなく単なる夜遊び)」
という話はよくあるのですが、こんなことは初めてで、田舎ならではの事件でした。
(まこやんの事件簿2 ヘソクリ残業事件 完)