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あ〜すっきりした。
昔の話です。(ほとんど枕詞)
労働基準法等の労働保護法規は、
「労働者が人たるに値する最低限の基準」
を定めたものですので、原則として会社の規模や、会社の経営状態、事業主
の資産などに関係なく、全ての事業者、労働者に平等に適用されることに
なっています。
要するに、すごく儲かっている会社にも、反対にすごく経営の苦しい会社にも
同じように法律が適用されるわけです。
我々監督官はこれらの法律を施行する公務員なので、当然会社の経営状態に関係なく厳正に指導をすることになっています。
しかし…しかしながら、我々も法律マシーンというわけではなく、
大儲けしている会社 と、
社長自ら生活に窮しながら、何とか経営を続けている会社
とでは、やっぱり接し方に若干の差がでてくる。
(というか、その意気込みにどうしても差が出てくるのです)
我々も人間なので、
苦しい経営ながら、雇用を確保し、自ら質素な生活をしつつ、
労働者にはできる限りの条件を提供している社長
には好感が持てるし尊敬もする。
反対に、おいしい商売をして莫大な報酬を得ながら労働者への待遇が悪い会社
にはどうしても反感を感じ、必要以上?に「勤労意欲」が沸いてくるのです。
(全ての監督官がそう感じているかどうかはわかりませんが)
前置きはこれくらいで………
今回は、まこやんが珍しく「勤労意欲」を燃やした時のお話。
都会の監督署勤務時代、ある会社に監督に行った時のこと。
その会社は労働者10人くらいを使用し、高級品の太鼓の製造・販売をしていました。
太鼓を作っている工場、そして事務所を見たんですが、いずれも狭くて老朽化している。
安全管理や健康管理も不十分…
「これでは、いかんな〜」と思いつつも、
「零細企業だから、なかなか難しいのかもしれないなあ。」
「あまり儲かってなさそうだし、色々指摘しても中々言う
ことを聞いてくれないかも…」
てな感じで、どのように社長を説得しようかと考えていたのです。
しかし、その思いは賃金台帳を見て吹っ飛んでしまいました。
古ぼけた賃金台帳の筆頭のページには社長の賃金額が乗っていたのですが、
なんと月給○○○万円!(当時の私の年収くらいでしょうか)
続いて社長の妻、社長の弟、社長の弟の妻がいずれも
月給×××万円という7桁給料
その後には、
N子 ○○万円
S江 ○○万円
M夫 ○○万円
E郎 ○○万円
という名字のない、名前だけ記載された親族(社長の娘・甥・姪あたり)の高額賃金明細が続く……………
まこやんは、一族のものすごい給料に唖然!
な・なんじゃこりゃ〜〜!
「儲かっているんですね〜」というまこやんの呟きに、社長は
「まあ、こんなもんですよ」
「うちは一流の物しか作らないし、固定の客がいるからね。」
とすまし顔。
う〜ん。こうなるには色々苦労もあったのだろうけど、それにしても凄い…
そして……
気をとりなおして、「さあ、これからがお仕事」って感じで一般労働者の賃金
を調べてみると………????
これが、えらく安い! 営業担当や事務職員は勿論、「一流の作品」を作っているはずのベテラン工員までも、非常に安〜い賃金に抑えられていました。
おまけに、
残業はつかない、
有給もなし、
欠勤だけはキッチリ控除、
遅刻・早退は即罰金、
パートに至っては最低賃金未満
まこやんは、俄然勤労意欲が沸いてきた。というより殆ど私憤に近い感情が湧いてきました。
「一流のお店なんだから、一流のことをやってもらおうやないか。」
って感じで、すご〜く念入りに、かつ、いやらしいほどしつこく・厳しく調査しまくり、
相当過去に溯って残業手当を支払うよう指示し、
罰金の返還、
有給休暇制度の設置、
健康診断、
危険機械の使用停止命令、
機械の安全装置の設置命令
最低賃金の遡及支払
等々、ありとあらゆる指摘・指導・命令をしました。
当然事業主は渋〜い顔! でもいつもと違って全く気にならない。
「一流の商品を扱ってるんですから、社員にも一流の扱いをして下さい。」
と言い残し、意気揚々自転車で監督署への帰途についたのでした。
あ〜すっきりした!
久しぶりに「いい仕事した」と思ったまこやんでした
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労働基準監督官「まこやんの事件簿」から
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