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2013年01月26日
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はじめに
労働局の「あっせん」はどのような制度か
前回の記事「個々の労働者が利用できる労働局の「助言・指導」とはどんな制度」でも書きましたが、労働基準監督署の指導できる事柄の範囲は意外と狭く、賃金不払いと解雇予告手当不払いの申告案件で95%ぐらいになってしまいます。解雇自体が不当だとの指導はできません。イジメや嫌がらせで辞めざるを得なくても指導はできません。賃金を不当に下げられても不当な退職強要でも、セクハラやパワハラでも、強力な指導は望めません。
そのかわり、不当な配転やパワハラなどでは労働局の「助言・指導」ができることは、既に書いたとおりです。監督署が指導できない労働紛争の中で「助言・指導」はパワハラを止めさせて欲しい」とか「不当な解雇を撤回させて欲しい等、今後ともその職場で働き続ける意思が強い場合に利用されることが多いと思われます。
例外はありますが、損害賠償や慰謝料を要求する等、金銭解決の場合に利用されることが多くなっています。「あっせん」で解決しなければ最終的には、裁判や労働審判で争うことになりますが、無料で利用できる労働局の「あっせん」をまず利用して解決しなければ裁判所を利用するケースが多いようです。
「あっせん」を申請すると労働局は仲に公益委員を入れて話合いのテーブルを用意します。話し合いと言ってもあっせん委員の先生が間に入り、相手と顔を合わせることはありません。 「あっせん」は、示談と同じで任意参加です。会社が出席しなければ「あっせん」は成立しません。参加率は60%前後と聞いています。裁判所を利用できるような、証拠の揃った事件であれば、裁判所の利用は会社も時間とお金がかかりますので参加してくる確率が増します。会社側があっせんに応じてあっせんが開始された場合の6割ぐらいが解決しているようです。
賃金不払いなど労基法に罰則規定がある事案は労基署が強力な行政指導をして賃金の是正勧告を行いますので、その方が確実ですから「あっせん」の対象外と考えてください。但し、証拠も少なく労基署を利用したけれど解決しなかったような場合には、残業代相当額を損害賠償に加えて「あっせん」を利用する方法は可能です。もう一つ、育児休業法関連や均等法に関する事案は別の制度が利用できるので「あっせん」の利用はできません。 「あっせん」の解決率は労働審判ほど高くはありません。労働局によってマチマチですが、3割から4割程度と言われています。 最後に「あっせん」の長所短所を書きます。
1.「あっせん」は無料で利用できる。
2.裁判や労働審判ではことの善し悪しが審理されるが「あっせん」ではことの善し悪しは審理されず棚上げされ金銭解決だけが図られる。(裁判や労働審判でも大半が和解や調停で解決することが多いが・・・和解や調停でもことの善し悪しの審理結果が反映されるのは間違いない)
3.裁判所では証拠が無ければ正しい方でも負ける可能性が高いが、「あっせん」では証拠を必要としないし(主張だけでよい)、証拠が無くても双方の歩み寄りによって解決することがある。
4.訴訟や労働審判では相手が欠席しても裁判や審判が進行するが、「あっせん」では相手が出席を拒めばそこで終了し未解決のままとなる。
5.労働審判の解決率は8割程度と言われているが、「あっせん」の解決率は3〜4割と言われている。(労働審判は勝てる見込みで証拠がそろっている事件がほとんどだが「あっせん」では裁判では負けるものでも利用がされているので解決率を比較する意味はない。)
6.労働審判や訴訟では相手側や相手側の弁護士と同席し、傷つけられるような酷い発言を聴くことになり、うつ病などの場合には病気を悪化させる危険がある。「あっせん」は相手側と同席する方法はとらない。ことの善し悪しは審理の対象ではないので比較的和やかに行われ傷つくことは少ない。
7.「あっせん」は申請から解決まで東京労働局では平均して1.5カ月ほど労働審判では70日〜80日と言われています。
8.労働審判の最大のリスクは審判(判決のようなもの)が下っても相手側の異議申立てによって通常訴訟に移行してしまうこと(通常訴訟では平均しても1年かかり、弁護士費用も高額となる)7割ぐらいが和解に相当する調停によって解決し2割ぐらいが判決に相当する審判となり、その内の半分(申立ての1割)が通常訴訟に移行。
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個別労働紛争における「助言・指導」の活用法
意外と狭い労働基準監督署の指導事項
最近の個別の労働紛争は多様化しています。大概の労働者は会社から不当な扱いを受けると労働基準監督者に訴えることを考えます。しかし、労働基準監督署が強力な指導をするのは労働基準法違反に限られます。労働基準監督署が受理した労働者からの申告案件の7割ぐらいが賃金の不払いで占められています。25%ぐらいが解雇予告手当の不払いです。その他に労災隠し等もありますが、労働者が会社とのトラブルで強力な指導が期待できる事件としては残業代不払いなどの賃金不払いと即日買いとされた際に解雇予告手当が支払われなかったときです。
不当解雇は労働基準法違反ではない
解雇するときは30日前までに通告しなさいというのが労働基準法です。不当解雇を取り締まる条項はありません。従って、労働基準法を守らせる仕事をする労働基準監督署に不当な解雇をしないよう指導をすることができないわけです。労働基準監督署で強力な指導ができない案件をあげればキリがありませんが、幾つかあげると不当な雇止め、賃金の引き下げ、社員から契約社員への身分変更、パワハラ、セクハラ、不当な評価、不当な転勤・出向、不当な職種変更、不当な懲戒処分、退職の強要、自己都合退職の強要、退職の拒否、不当な損害賠償請求・・・・
誤解のないようにコメントしますが不当解雇は労働契約法16条違反です。しかし、労働契約法違反は労働基準監督署では指導ができません。労働契約法は裁判官が和解や判決の際参考にする法律という位置付けです。
労働時純法違反以外は労働局の「助言指導」や「あっせん」を活用
平成13年にできた国の「個別労働紛争解決制度」によって労働基準監督署が指導できない事案について労働局の「助言指導」や「あっせん」という制度が利用できることになりました。まず、「助言指導」について説明します。助言指導は、労働基準監督署でも労働局への取次を行っています。
労働局の「助言・指導」とはどんな制度
…勤務し続ける場合には、まずこの制度の利用を考えてみる・・・
この制度を利用して、不当な解雇・雇止め、イジメや嫌がらせ、不当な配転、不当な解雇、各種不利益変更、退職の強要などを止めるよう労働局から事業主へ働きかけてもらうことができます。但し、事業主を初めから悪者にして呼ぶことはできませんので、先ず事情聴取のために呼ぶ制度です。
事情聴取の結果、労働者の訴えの通り事実確認が出来れば、助言や指導が実施されます。労働局は、判決が言い渡せるわけではありません。労働局長名で社長への呼び出しがされますので、権威があり今後不当なことは、やりづらくなる効果が期待できます。しかし、会社が、助言や指導を無視することも多いようです。権威がある者からの呼び出しになるので95%ぐらいは呼び出しには応じているようです。 この制度は「助言・指導」という名前ですが、労働局に事実関係を調査する権限がありませんので、ビシビシ指導してくれる訳ではありません。会社と労働者の間に入って上手に取持ってもらう制度と理解した方が良さそうです。ビシビシと指導する権限が無い以上、労働局の担当官はソフトなやり方で解決の手助けをします。労働審判などでは決定的な対立となり会社に留まることが難しくなりがちですが、ソフトな形での介入が勤務が続けられる形での解決に繋がることがあります。しかし残念ながら解決率は低いと言わざるを得ません。 ソフトなやり方での介入にも関わらず、会社のうけとり方はさまざまで「労働局なんかにタレこみやがって」と逆切れすることも多く、リスクが伴いことは否めません。しかし、今後とも会社に勤務し続けることを望むなら利用してみる価値のある制度です。ユニオン関係者も組合員の心理状態等を考えて団交の前にこの制度の利用を考えては如何でしょうか。
以前の行政は民事不介入が原則でしたが平成13年度にできた個別労働紛争解決制度によってごく限られた範囲でソフトに介入する道が開けました。ソフトな介入の有用性を認めながらも解決率が低いのは問題です。もう少し行政の権限を強化することも必要ではないかと思います。同じ民事的案件である雇用均等法や育児介護休業方関係の紛争では都道府県労働局長による「助言・指導・勧告」が利用できます。勧告まで行っても判例の域を超えることはできないとは思いますが・・・・
次に説明する同じ労働局の「あっせん」は、損害賠償や慰謝料請求などに利用されます。「あっせん」での金銭解決は、決定的な対立関係となりますから、今後も会社に残ることを希望する紛争には不向きです。「助言・指導」を利用して、解決しなければ、金銭解決のための「あっせん」を利用する方法も可能です。「助言・指導」の制度は、無料で利用できます。
賃金不払いなど労働基準法で罰則が設けられているような事案はこの制度の対象外です。その部分は労働基準監督署が対応します。 この制度は、非常にソフトな制度でそれなりに利用価値がありますが、労働局により取扱い方に差があるのが気になるところです。東京労働局は制度の趣旨どおり運用されているので安心でます。何県の労働局はダメと言いたいところですが、たまたま担当した職員がダメな職員だったのかも知れないので、あえて言わないことにします。この制度の利用に関してのクレーム先は、厚生労働省本省大臣官房地方課労働紛争処理業務室です。 労働局のあっせんはどのような制度か ←クリック
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