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一身上の都合・ 本当の理由はパワハラが原因で出勤できない状態
「体調を崩し一身上の都合で退職を申出たが認めてもらえない。」という相談は結構ある。そして、例えば「実家の仕事を継ぐために実家に戻りたいが・・・」などと本当に一身上の都合であれば辞める方法についてアドバイスをするのであるが・・・・・
しかし、よくよく話を聴いてみると
と泣きながら訴えられることがある。
こんな時は、辞めるのではなく休ませることを優先する。診断書を出させて休ませる。
しかし、ケースバイケースでもある。精神疾患の状況が酷く直ちに辞めるしかないこともある。従って、次のように言わせるのは労働者に争う気力が残されている場合になる。
困ったことに評判の良い心療内はの予約は1カ月も先になることがある。有給が有れば有給をとらせる。会社が、診断書を待ってくれればよいが、会社が診断書を早く出せと言うのであれば、早く診てくれる医師に診断書を書いてもらうしかない。良い医師である場合もある。何よりも病気回復が最優先なのでセカンドオピニオンは求めるべきことをはアドバイスする。
有給以外で休めば給料の出ない会社が多い。当然、生活に支障をきたすが、健康保険組合から給料に代わって傷病手当金がでることを説明すると
と言われることが多い。標準報酬日額(給料を30で除した金額に近い)の67%が診断書がでた後で休みに入って4日目から公休日を含めた毎日分支給される。最初の三日間は有給があったら取ればよい。健康保険に入ってから1年以上経過していれば仮に辞めても治るまで傷病手当金は出続ける。(但し、1年半が限度、健保加入期間が1年に満たない場合は退職日までしか支給されない)
日本のセーフティーネットは生活保護に象徴されるように水際規制がされるケースが多い中で、傷病手当金はかなり事務的に需給ができる。
病気による欠勤期間とそれに引き続く傷病休職の期間はそれぞれの就業規則で定められている。残念ながら、結果的には辞めることになるケースが多い。その場合の失業給付は特定理由離職者の2(1)「体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者」に該当し、雇用期間が6カ月(加えて11日以上勤務の月が6回以上)あれば3か月の待期無しで給付は受けられる。(平成26年3月までの措置、受給期間は会社都合とは異なる)勿論、就職活動ができないほど酷ければ支給されないし、傷病手当金とは併給できない。従って、傷病手当金が終了した時に失業給付に切り替えるよう案内している。(ハローワークに受給期間延長の手続きが必要なことがある)
とか嵐のように電話が来るという場合もある。明らかに人権侵害だ。こんな場合には労働局を紹介することがある。「このような人権侵害は止めさせてください」と労働局に相談すると「助言・指導」を利用するよう勧められるはずである。労働局と話を付けてから次のように言えば大概大人しくなる。
東京労働局の場合には、人権侵害やパワハラを辞めさせて欲しいという内容の訴えであれば簡単な手続きで利用できる。
労働相談
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パワハラ、うつ病、PTSD
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うつ病になって休職すると企業も損失を被り、傷病手当金と言う形で健康保険財政を圧迫し、そして訴訟リスクを抱えることになる。 都道府県労働局の総合労働相談コーナーに寄せられるパワハラの相談は増加の一途をたどっているが、パワハラに特化した法律は無く従って法的にも行政的にもパワハラについての定義は無かったと言ってよい。 NHKなどでも報道されているが1月30日、厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ」が円卓会議への報告を発表した。 この「ワーキンググループの円卓会議への報告」を読んで感じた特徴は次のとおりである。 ○パワハラは労使双方とっても国にとっても大きなマイナスであると断定している。 ○パワハラと教育指導との境目にはグレーゾーンは残るものの一定の線引きをしていること ○主として企業にパワハラへの対策を求めていること ☆トップが対策に取り組む意思を示すことを求めている。(トップのメッセージ) ☆企業内での取り組み(教育、相談箇所の設置等)強化を求めている。(他企業での先進的な取り組みを参考にすること) ☆社内に周知することを求めている。 ☆相談したことへの不利益な取り扱いを禁止することを求めている。 ○国に対してもこれへの取り組みを強化することを求めている。 ○この報告を受けて円卓会議として3月をめどにこの問題の予防・解決に向けた提言を取りまとめる。
今まででも、各都道府県労働局は労働者から職場でのパワハラを受けているので会社を指導してほしいとの訴えがあれば企業の代表者を呼び出し事情聴取し事実が確認できれば助言や指導を行ってきた。来年度は企業を集め国の方針を伝えるなど指導の強化が望まれる。 報告書を読んでの若干の不満は、このパワハラが企業のリストラに利用されていることについて、賃金引き下げなどの労働条件の不利益変更と不可分に結合していることに触れていないことである。
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労災認定が過去最多を2年連続更新労働相談に来る労働者のかなりの割合が精神疾患に罹患していると感じていたが、今朝の新聞をみてやはりそうだったのかと感じた次第です。しかも、病気の性格から労災の認定申請をしようと言う気力さえない患者が多いことを考えると、悲惨な状況があります。一家の大黒柱である男性がうつ病などに罹患すると、今の日本では、途端に生活に困窮することになります。だから、早めに休むこともせず、病気を悪化させることになっていると思われます。 以下、毎日新聞の記事を紹介します。
http://mainichi.jp/select/today/news/20110615k0000m040057000c.html 労災補償状況:「心の病」過去最多 支給決定308件 2011年6月14日 20時45分 更新:6月14日 20時56分 厚生労働省は14日、10年度の脳・心臓疾患や精神疾患に絡む労災補償状況を発表した。仕事のストレスや過労でうつ病になるケースなど「心の病」に絡む労災の申請は1181件(前年度比45件増)、補償が認められた支給決定は308件(同74件増)で、ともに過去最多となった。 支給決定案件の主な内容は、嫌がらせやセクハラなど対人関係のトラブル65件▽重い病気やけが、悲惨な事故の体験48件▽仕事の失敗や過度の責任の発生44件−−など。過労自殺に絡む申請は171件、支給決定は65件だった。 一方、仕事のストレスから脳や心臓の疾患で倒れるケースでの労災申請は802件(同35件増)で、4年ぶりに増加した。支給決定は285件(同2件減)。このうち過労死に絡む申請は270件、支給決定は113件だった。【井上英介】 |
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小田原曽我梅園の梅 紛争の解決に決まった処方箋はない労働紛争にこれで大丈夫ですという誰にでも当てはまる処方箋はない。ある労働者には適切であった解決法が別の労働者には適当でないことがある。特に労働者が精神疾患に罹患している場合には争うことが難しいことが多い。自殺するかも知れないような労働者に争う方法を教えることは自殺に追い込むことになるかも知れない。労働相談には相談者の健康状態に細心の注意を払う責任がある。ある労働弁護団の弁護士に「酷いうつ病の労働者から労働審判の依頼があった場合どうしますか」と質問したことがある。その弁護士は、「病状にもよるけれど、裁判所は泥仕合の場所だから、健康には悪い。うつ病が酷くなることは避けられないかも知れないので、勧められない。」と言われた。 アドバイスの内容を相手によって変えることは、相手の健康状態だけではないが、そのほかにどういうことがあるかについては機会があれば書くことにして、今日の本題に入ることにする。 しかし、私も泣き寝入りを勧めることはしたくない。負担にならない程度に、経済的に少しでも良かったと思えるように工夫する。 ある日の労働相談から入口から入ってきた20代と思われる女性労働者を見て精神疾患に罹患していると直感した。面談室で「辛そうですね。どうしました。」と声をかけた途端に泣き出して事情を聴くことさえできなかった。しばらく泣きやむのを待つことにした。上司のパワハラが原因のようだった。聞いているうちに状況がわかってきた。相当に酷いパワハラである。セクハラもある。体調が悪くて電話しても「風邪ぐらいで休む馬鹿があるか!」と怒鳴られる。「今日はどうしても会社に足が向かないので医者に行って、ここに来たけれど、今から出勤します。」と言った。 夜眠られず、吐き気もあり心療内科に診てもらったが医者から「なんでもないから頑張りなさい。」と言われショックを受けてここに来たとのことだった。 私は毎日精神疾患に罹患した労働者と何人も話しているので、医学の専門知識はないが悪いか悪くないかぐらいはわかるつもりである。こういうケースが最近多くなった。NHKのクローズアップ現代で、かえって病状を悪化させる心療内科の医者が増えていると報じたのは去年のことだった。残念ながら、このような酷い医者が増えてきているのは実感するところである。NHKで取り上げるのだから一般的傾向なのであろう。 こういう医者に限って、薬をジャンジャン出す。これもNHKの報道だったが、大阪では路上生活者を特定の診療所に連れて行き生活保護を受けさせたうえで不要な薬をジャンジャン処方する貧困ビジネスとしての医療行為が多くあり、市の財政を圧迫しているそうである。 少し横道にそれました。 このようなケースでは、私は「セカンドオピニオンを求めなさい。」ということにしているが、信頼できる病院に限って診察の予約は1カ月待ちなどとなる。健康保険の傷病手当金は「要休養」の診断があった日の3日後の4日目からとなるので困ったことになってしまう。とりあえず、予約が直ぐにできる医者を探し診断書をもらって、本当に直すためには信頼できる医者を探すことになる。 私は、医者が要休養と判断をしなくても「自分の判断で休みなさい。」と言うことにしている。勿論、私は医者ではないから診断はできないし休むことの判断もできない。自分で判断しなさいという意味である。この時も「風邪で熱があれば自分の判断で休むでしょう。ヤブ医者の言うことを信じないで、自分でヤバいと思うなら病状を判断していいんです。」と言った。「別の医者を探しなさい」ともアドバイスした。 家族に支援が受けられるかどうか知る必要があると思って、「ご家族は」と聞いてみた。ご両親は健在のようだった。母親は「そんなところで我慢して働くのは、やめたほうがよい。」と言うが父親は「そんなことを我慢できなくては駄目だ、頑張れ」と辞めることに賛成ではないらしい。どうやら板挟みになっているようだった。 私は、「もう十分頑張ったんだから、辞めるか辞めないかは後で考えることにして、休みなさい。」と言った。 「野生の動物は敵が来れば逃げるからうつ病にはならないけれど、動物園の動物やペットの動物はうつ病になるんだよ。息子の飼ってる猫はうつ病で今治療中なんだ。人間は給料という鎖で縛られて逃げられないからうつ病になる。」と言った。 「もう十分頑張った・・・」と言ったところでまた泣きそうになったが、息子の飼いネコがうつ病と言ったら笑みがみえたのでホッとした。 「まず、逃げましょう。さっさと逃げましょう。辞めるんじゃなくて休むんです。貴女の場合有給が10日あるから、まず有給をとって・・・」と言ったら「うちの会社には有給がないんです。」とかえってきた。「確かに、会社で制度を作っていないかもしれないが、会社に有給の制度が無くても、法律でとれるようになっているから・・・」と ここも判断の難しいところである。健常者であれば有給を取らせることを勧めて当然だが、うつ病患者に有給をとる力が残っているだろうかと判断しなければならない。有給を取らせない会社で、誰も取ったことが無い職場で有給をとるというのは相当な勇気が必要になる。無理かもしれない。 「無理しなくてもいい。有給はとる権利があるけれど、その為に病状が悪化するならあきらめることも必要なことがある。」と言った。 彼女は勤務して7カ月目である。在職中に病院から要休養の診断書が出れば、仮に自己都合退職しても病気を理由にすることで失業給付が給付制限(「待期」という)なしで受けられる。いわゆる正当な理由のある自己都合退職である。(脚注参照)その説明をした。実際問題、素人ではあるが病状から判断して、この会社での職場復帰は難しいだろうと考えたからだ。零細企業で社長が相当にワルである。 ※脚注:診断書が必要となるがハローワークが病気などで正当な理由のある自己都合退職と判断すると(特定理由離職者の2)との位置づけとなり給付制限といって失業給付の受給開始日が3ヶ月間先送りされることはなくなる。しかも、今までは自己都合では12カ月以上の保険期間が必要であったが6カ月でよくなった。12カ月未満の該当者は受給期間は90日で会社都合と同じである。しかし、12カ月を超える該当者は自己都合の受給期間となるので会社都合より短い場合もある。
「実際問題、そこで今後働けると思いますか」と質問してみた。父親に反対されなければ辞めるつもりであることがわかった。 私は、アドバイスはするが、決断は自分でさせることにしている。幾つかの選択肢を与え、考えさせることにしている。 彼女の場合、有給をとり、傷病手当金の支給を受け、辞める方向で考えるがよく家族と話し合うことにし、辞める場合には傷病手当金に続けて失業給付を受けるということを自分で判断した。これからの見通しがはっきりしたためだろう結構明るい顔になって帰っていった。このまま出勤はしないだろう。問題があれば電話が来ることになっているので、今後も相談相手になるつもりである。
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