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明見の風土記 堂谷の火祭り

<堂谷の火祭り>
富土の北麓、下吉田駅から東方を眺めると、東南に高座正面に杓子山・東北に御正体山および入山らの山脈で囲まれた盆地が見える。杓子山の麓に富士八湖の一なる明見湖がある。その南北につらなる村が明見村である。
西は桂川、東に明見湖から流れる御座の川の、二流にかこまれた小明見の下宿(シモシュク)から、川をへだて入山の嶺つづきに、「堂谷の山」といふ小丘がある。毎年旧六月六日に、下宿の火の見櫓の下、道祖神様の前へ、松薪や竹茅などを山のように積み上げて、大きな松明をたくさんこしらえ、村の若い衆が大勢で、この大松明を堂谷の山へかつぎト上げ、麓から頂上まで、数十ヶ所に備えつける。
夕暮れになると若い衆は、揃いの浴衣に白手拭いで向こう鉢巻、縄襷(たすき)の甲斐々々しい扮装(いでたち)で、手に手に小松明を振りかざし、堂谷の山へかけのぼって行く。昼間据え付けた大松明へ、一つ一つ火を着けながらのぼる。村から見れぱ、黄昏で黒くなった山へ一筋の火の龍が煙を吐きながら這い上がっていくように見える。
頂上の白王様の碑の前へは、大松明が四本ならべてある。これへ火をつけるとあたりは一面にあ明るくなる。まん中に土俵がこしらえてあってて、若い衆たちは東西にわかれ、かわるがわる飛び出して相撲をとる。数十番の取組があって優勝者は賞品を貰い、酒なども出て大騒ぎをした後で、大松明を四つ一ケ所へあつめて、火烙がパツと高くも燃えあがったとき、一同で鬨(トキ)の声を三唱して、やがて凱旋の支度をなし、小松明をふりかざして、村へ帰って来る。
白王様は悪い虫を退治する神様で、毎年この日に大煙火をたいて.虫除けのお祭りをするのだという。白王様の嶺続きを数丁奥へゆくと、右は入山裏の物すごい山で、左は桂川の流域を見おろす千仭(センジン)の渓谷となる、右の山を権太山と云う。権太山の中腹には、厄病にかかった者や無宿者の死骸を、焼き捨てるところがある。村の子供たちが悪い事をすると、「権太山へやってしまうぞ」と、おどかすとおとなしくなるという、おそろしい所だ。
堂谷山の対向面の、小明見下宿御座の川張縁の岩盤の上に、不動様の小祠がある。この不動様は堂谷の山を見上げて、にらんでいる位置にあり、土地の人は日本武尊を祀ってあると、云いつたえている。

<再び堂谷の火祭り>
焼橋から逃げた賊はどうなったか、青年時代に単身熊襲を征伐せられた、勇猛果敢な貴皇子(日本武尊)に座(オハ)せられる。寒川(桂川の古名)を徒渉(トショウ)する事くらいは食前の茶飯事である。陣の跡で休息して、石橋に狂う獅子の精のような、奮迅のいきおいで渓流をおどり越え、賊輩を襲撃した。
賊は三方を山でつつまれた、明見の盆地へ追いこまれたのが運のつき、皇軍の殺到にたまりかね、堂谷の山へかけのぼったのを、尊の軍は部落の民と協力して、松明をふりかざして追撃し、頂上で殲滅して権太山で焼き払ってしまった。
頂上で虫けらのような悪い賊輩を退治したから、こゝに、祀られる白王様は、悪い虫を退治する神様になられている。そのときの闘争の形が後の世までのこって、いまもなお毎年大炬火をもやして、相撲の行事をつづけて居るのである。それにしても白王様は何様を祀ったのかと、不審におもって尋ねて見ると、「白王」の二字を合せると「皇」の字となり、日本武尊は小碓の皇子様で座(オハ)せられるから、白王様はやはり、尊をお祀りしたもので座せられると、吉田の局長白須氏が解釈してくれた。
<富士古文書・古駅「家基都」(カキツ)>
富士古文書によれば、明見の町はむかし、延暦噴火以前の頃には「家基都」(カキツ)の町と称して、近郷の一の古い駅であったと記してある。「家基都」は「加吉」とも書かれて,発音は「かきつ」であるが、延暦・貞観の富士の大噴火に全滅して、現在は明見の町に、その面影を止めて居るだけである。「古事記」にある尊の御遭難地の「ゆえにここを焼津といふ」とある焼津の所在地が、駿河国志太郡の焼津港で無い事は、周囲の地勢も違い、何らの文献も遺跡も無く、何人も否定している所である。
明見村の古名「家基都」(カキツ・ヤキツ)が焼津と発音が同じによめる事は、動かすべからざる事實の証明であって、付近の地形と云い、環境と云い、火祭りの故事に至るまで、完全に御遭難地の御遺蹟としての、形態を具備しているのである。
但しここで弁護しておきたいのは、福信は悪い奴であるが、その祖先の秦の徐幅はこの地を開拓して、かの国の文化及び技術をつたへ、この村を啓発振興せしめるために非常に功績のあつたことである。部落の人々が尊に協力して、賊の征伐に参加した事は、付近出でる弥生式土器の証明する通り、神代以来古く皇化に浴した民族だからである。土地の人々は「家基都」や「やきつ」と読まれるのを嫌って、「加吉」とあらためたのである。

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