大切
私を必要とする人がいたら
あなたの必要な人になろう
見えないからといって非難したり
想いが届かないと悲観することは無い
私はおもい以上にそばにいる
空気の一粒になってあなたに入る
生きるちからの一助となろう
私を必要とする人がいたら
私にも必要で大切な人たち
掛け替えのない私の絵具
ここでしか聴けない音叉
こころの奥に沁みていく言葉
阜可 忠
平成三十年五月八日
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マラソン
見物人は帰宅して
場内の熱気が抜けた頃
四月十四日はまだ暗いうちから
冷えた空気を吸い込んで走り出す
折からの雨が冷静に背中を押す
近く遠く目指す所ぼんやりと
見えては消える花の苑
いざ いざと心して
阜可 忠
平成二十八年四月十四日
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霧雨糸
霧雨に薔薇の赤芽がすらり
あちらのひかりにひかれ
こちらの声に惹かれ
小さな弧を描いたり
豊かにイメージをなぞる
霧雨糸を操るのはどなた
通り過ぎて行った幼い少女
帽子の下の髪をひからせて
阜可 忠
平成二十八年四月十三日
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大それた心
読まれることのない詩集
ページをめくれば湿った音がする
本箱の隅で息絶え絶えの呻き
窒息して死生の淵をさまよう
埃を祓い息を吹きかける
生き生きとよみがえる年月
君は知る 屍の白さに
大それた心の在ることを
阜可 忠
平成二十八年四月十二日
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時系列
記憶を手繰り寄せれば
深い想いばかり寄ってきて
断片のみ不規則に並ぶ
収拾のつかない時系列
見え隠れする絶望の時
克服の方法が見つからないまま
時系列の先端に僕はぶら下がる
阜可 忠
平成二十八年四月十一日
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