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フクロムシ&コブクロムシ怪獣なんでも研究所
地震、噴火、核ミサイル いつ現れるのか プルガサリ…

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Capter32 『禍の影』
「大丈夫か?いまどこにいるんだ!」
 米森は安堵感と相反する焦燥感から少し興奮気味に携帯電話に向かって叫んだ。
「ごめん心配かけました。今、南飛鳥村の社の沢にいます。千里と悟くんも無事です。これから守部さんのお屋敷へ向かいます」
  真弓の声は少し震えているようにも感じたが、なにより無事が嬉しかった。
「わかった。俺たちもすぐそっちへ向かう」
 米森は淺黄に道案内を頼むと小走りに車に乗りこんだ。

 山間の細い村道を古びた白いバンが疾走する。完全に制限速度オーバーだが取り締まる警官もいない。米森は焦る気持ちを抑え無言でハンドルを握っていた。
  やがて、整然と造林された杉の林を抜け、古びた木造の守部家の門に吸い込まれるように停止した。玄関の脇で作業着姿の龍成が出迎える。あいさつも早々に2人は奥の客間に通された。

 客間では千里、真弓、悟の3人が疲れた表情で、龍成の妹美雪に傷の手当てをしてもらっていた。そこに貴幸の姿はなかった。3人とも腕や脚に無数の擦り傷や切り傷があったが幸いどれも軽傷だった。
米森は黙って真弓に近づくとをいきなり強引に抱きしめる。
一瞬、時間が止まってしまった。
「いやあほんと死ぬかと思ったわ。だれの悪運が強いのかなんとか生きながらえたけどねェ〜」
千里の大きな声に、止まった時間が再び動き始めた。紅潮した真弓の表情が少し緩む。
「イリスはどうなったんですか」
悟が淺黄に訴えるように問いかける。
「イリスは自衛隊の攻撃で傷ついたけど、ガメラに助けられてどこかへ飛び去ったわ。まるでガメラはイリスをかばったみたい…」
「ガメラには綾奈さんの存在が判ったのかもしれないわね」
千里の言葉に悟は黙ってうなずく。
「ねえさん…」悟は唇をかみしめた。

「今朝のニュースで言ってたんだがイラクの遺跡から巨大な白い怪物が現れて米軍とテロリストを襲って壊滅させたらしい。その後、姿を消したそうだ」
龍成の言葉に全員顔を見合わせた。
「ジャイガー…」
「時は満ちたのかもしれない。綾奈さんの指示どおり十束の剣を探さないと。石上神宮へ行きましょう。そこにヒントがあるかも…。井氷鹿を動かす土蜘蛛の怨念を早く鎮めないと」
千里は勢いよく立ち上がったが、その瞬間
「あいたたたたたァ!」
よろめくと床の間に置いてあるブロンズの布袋像に向かって倒れ込んだ。
布袋の持った軍配がポッキリ折れる。
「あらららっ」
龍成があわてて千里を起こそうとすると勢いあまって、千里が掴んだ由緒ありそうな古い掛け軸を引きちぎってしまった。
 客間にいた全員の緊張感がいっきに緩んで屋敷中に大きな笑い声が広がる。
 しかし千里だけはただただ平謝りに龍成に許しを請うしかなかった。

「そうだこれを千里さんに渡すよう日高先生から預かってきた」
 米森がバックから黒い亀甲石を取り出した。石は不気味に明滅している。
 千里もデイパックから同型の白い石を取り出す。
 二つの鎮め石は同調するように光を放つ。
「白霊珠と黒霊珠…とりあえずふたつそろったわね」
 千里が静かにつぶやいた。

 イリスとリガートの戦闘が繰り広げられた丘陵地帯にある湿地のひとつ、背丈ほども生育した葦に隠れて、D-05に引き裂かれたイリスの赤黒い肉塊が無数に散乱している。自衛隊の捜索は破壊されたリガートの回収に費やされてここはまだ手つかずで放置されていた。
 夕刻からの雨がいっそう激しく地面を洗う。四散した肉片のうち、一際大きい塊の表面が突然蠢いたかと思うと、腐臭の漂う粘膜を破って中から一人の女がまるで亡霊のように這い出してきた。井氷鹿の表情は憎悪でいっそう醜くゆがんでいる。女はあたりに誰もいないことを注意深く確認すると、よろめきながら立ち上がり丘陵地帯の雑木の茂みの影に倒れ込むように姿を消した。粘液と雨に塗れた右手には血のように赤い亀甲形の石をしっかりと抱えていた……。

  奈良の事件から数週間が経過し、東京ではあの惨事がまるでシアトリカルなフィクションだったかのように日常の変わらぬ風景が繰り返されている。南の天上には太陽と並んで超新星が冷たい光を放っていたが、それが無害だと知ると民衆の関心はしだいに遠のき日常の風景の一部として自然にとけ込んでいった。
ところが、禍はなんの予兆もなく突然やってきた。
 
 12月下旬金曜の夕刻、週末の喧噪に包まれた池袋東口交差点、人の往来自体がまるで生き物のように不規則に流動している。信号が青に変わり人々が一斉に動き出したそのとき、何気なく上空を見上げた女性が甲高い悲鳴を上げる。通行人全員が一斉にその方向に視線を向けた。
 夕焼け空をかき乱すように、雷鳴と電光を放ってサンシャイン60の上空に巨大な黒い雲が渦巻いていた。黒雲はだんだん大きくなるとその渦の中心から放たれた無数の針状の物体がサンシャイン60の屋上に突き刺さる。巨大なビルの上層部が轟音と共に崩落した。呆然と見上げる人々の目に、崩れたビルの頂上部に立つ巨大な白い怪物のシルエットが浮かび上がった。

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ただいま台風真っ最中〜外は暴風雨が吹き荒れています
そんでもってジャイガーついに東京へ襲来
はてさていかなることに相成りますか こうご期待

  • いやあ 最近ペースが早くて嬉しい限りです。
    完成したばかりのレギオンも登場させたいですね。
    楽しみ楽しみ

    [ ebi*4*super ]

    2015/7/16(木) 午後 11:32

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    どうもです〜
    レギオンはカメオ出演でしょうかねェ〜
    次回はジャイガー大暴れ!ご期待下さい(^^v

    フクロムシ

    2015/7/16(木) 午後 11:40

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