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フクロムシ&コブクロムシ怪獣なんでも研究所
地震、噴火、核ミサイル いつ現れるのか プルガサリ…

書庫『ガメラ4』妄想の小部屋

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Chapter22『土蜘蛛』 
 悟の運転する大學の古い公用車の助手席で、千里はめずらしくだまって奇妙な棒状の鉄器を見つめている。車は奈良桜井市の田園地帯を西へ向かっていた。目的地は葛城山麓にある一言主神社、あの柳星張の祠の本宮である。
 千里は真弓が綾奈から託された古地図は方位や地形から見て葛城山西麓のこの地域であると推測していた。
 
   一言主神社の本殿横には、隠れるように土蜘蛛塚と呼ばれる古い石塔が立っている。それは神武天皇が土蜘蛛を屠り、彼らの怨念が復活しないように頭、胴、足と別々に埋めた跡と伝えられていた。
 葛城の地名は神武天皇が 葛の籠を使って土蜘蛛を捕らえたという伝説に由来する。大和国の土蜘蛛の外見で特徴的なのは、他国の記述と違い、有尾人として描かれていることだ。
 『日本書紀』では、吉野首(よしののおふと)らの始祖を「光りて尾あり」と記し、吉野の国樔(くず)らの始祖を「尾ありて磐石をおしわけてきたれり」と述べ、大和の先住民を、人にして人に非ずとする表現を用いている。
 『古事記』においても、忍坂(現桜井市)の人々を「尾の生えた土雲」と記している点で共通している。
 大和の土蜘蛛とはいったい何者なのか…
 
 真弓は千里とはまったく別のことを思い巡らせていた。季節は定かではないが5,6年前、留学先のマサチューセッツ州ミスカトニック大學にあるヘンリー・アーミテイジ記念図書館でギャオスについて過去の記録文献が残っていないか調べていたときのことだった。
 図書館の膨大な資料の中に1930年初頭、ウィルヘルム・ダイアーという地質学教授が南極の学術調査から帰還したおり記述した報告書の一部を発見した。それには教授が未知の遺跡から持ち帰った異様な文様の刻まれた棒状の遺物の存在が記録されていた。ただそれは鉄器ではなく、地球上では確認されていない謎の金属で作られたものであると記載されていた。しかしその数日後教授は自ら命を絶ち、その遺物を含めた発掘資料は大學の保管庫の中から忽然と消滅し、その南極調査の悲惨な結末だけが今日まで語り継がれていた。
 真弓の脳裏にはその報告書の内容が印象深く残っていて、鉄器を手にしたときにまず思い浮かんだのがその異様な文様の記録であった。そしてなによりも興味を惹かれたのは、遺物といっしょに持ち帰られた、南極で行方不明となった教授の助手リチャード・ダンフォースの日記に書かれた最後の言葉…
「古(いにしえ)のもの」…そして「鳥を見た…」
 
  ほどなく、3人は一言主神社の門前に到着した。
  快晴ではあったが、初冬の空気は冴えきって冷たく頬をかすめる。千里は、車から降りると手に持ったデイパックから古びた地図を丁寧に取り出すと車のボンネットの上に広げた。3人ともトレッキングを楽しみにきたハイカーのような軽装なので、地元の人たちには気にもとまらないだろう。それ以前に神社周辺にはまったく人気がなかった。
「さてと…」
千里は、古地図と登山マップを照合しながら、しばらく考え込んでいた。
「葛城山の登山道から北西に数キロ入った行者谷というところに通称“八束之岩屋”といわれる飛鳥期の遺構が残ってるの。狭い風穴にある祠で、過去に一度うちの大學が調査入ったんだけど崩落の危険があるのと、葛城神社の禁足地ということで詳細な調査ができてないまま今に至ってるんだけど、それがちょうどこの古地図のこのあたりなのよ。この名前の由来は八束脛(やつかはぎ)つまり土蜘蛛からきている。つまり土蜘蛛のアジト、まずはここからね」
  千里は微笑みながら、古地図の中央を指し示したが、真弓と悟には現在の地図との位置関係がまったく理解できず苦笑するしかなかった。 ただ、真弓は千里の話を聞いただけで、姫神島のギャオスの巣窟と、南飛鳥村の柳星張の祠、そして八束之岩屋の3つのイメージが重なってみえた。
 事実 南飛鳥村の社ノ沢とは、直線にするとほんの十数キロしか隔たりがなく、深い関連性を否定できなかった。
 
  3人はデイパックを背負うと無言で境内の奥にある草深い登山道へ足早に進んでいった。風も感じないのに麓の竹林がザワザワと波うっていた。
 
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 
もうやけくそでなんでもありのおもちゃ箱ひっくり返した状態になってます〜
今回のモチーフは「土蜘蛛伝説」とラヴクラフトの「狂気の山脈にて」デッス
「鳥を見た」はご存じ例のお話のオマージュです〜
そろそろ怪獣も登場してもらわないといけませんネ
風雲急を告げる次回にこうご期待

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Chapter21 『蘇った記憶』 
   身体の芯から溶けるような熱気に、貴幸は目覚めた。自分が一体どのような状況にあるのかすぐには理解できない。
 ギャオス迎撃のため百里基地からF-15に搭乗して太平洋上に向かったのは鮮明に記憶が残っているが、その後のことが深い霧に包まれたようでどうしても思い出せない。妻の顔もおぼろげだ。
 なぜか白い仮面を着けた女の残像だけが頭の中で何度も繰り返し再生されている。
 
   自分が寝かされているのはどうやら病室のベットのようではあるが、かなり粗末で不衛生な環境から日本ではなく、戦時下の異国の施設であることが容易に想像できた。
   周りにはかなりな人数の負傷者が折り重なるようにベットに横たわっている。
中にはまったく動かず、すでに事切れていると思われる者も複数見受けられる。しかし医師と思われる人物は見当たらず、白いヒジャブを着けた看護師と思われる女性が数人忙しく負傷者の応急措置をしていた。
   貴幸は、横に無造作に置かれている上着とバックを掴むとよろめきながら病室から逃避を試みた。だれも静止する者はいない。あっけないくらい簡単に屋外に脱出することができた 。
 炎天下の焼け付くような日差しがますます思考力を低下させる。頭が割れるように痛い。いまだ状況が十分に理解できない。ただいずれか中東のイスラム圏の国にいることだけは認識できた。 
 青磁色のモスクが一際異様に視界を遮る。貴幸は大通りを監視している武装兵士の目に付かないよう人混みに紛れてモスクと反対側の狭い路地へ向かうと、朽ちた廃屋の中に崩れるように身を潜めた。
全身が鉛のように重く熱っぽい。体中に打撲の痕跡があるが、なぜこうなったのか、記憶をたどってもやはりF-15出撃のシチュエーションからはまったく繋がらない。
 無造作に掴んできたバックの中には幸いなことに自分のパスポートとアムステルダム行きの航空券があったが、名前はまったくの心当たりのない別人になっている。頭の中では絶え間なく仮面の女のシルエットだけがグルグルと繰り返し巡っていた。
 
   一体どのくらいその場に座り込んでいたのだろう。ふと正気に戻るとすっかり夕暮れ時となっている。とにかく自分の置かれている状況を把握せねば…
   重たい身体を立ち上げようとしたとき、後頭部に冷たい筒状のものが突きつけられるのを感じた。
「ひざをついて手を頭の後ろへ…ゆっくりこちらを向きなさい」
明解な日本語で命令された。若い女の声だった。この身体ではいくら女といえども抵抗できないことは理解できた。
貴幸は言われるままゆっくりと振り返った。
 「百里305飛行隊 高来一尉 …」
   全身黒ずくめ、ヒジャブで顔を覆っているが明らかに日本人であることは容易に認識できた。
声には聞き覚えが有るように思えたがやはり思い出せない。女は片手でゆっくりとベールを取った。
 「私は、比良坂綾奈。どう思い出した?」
30前後だろうか…化粧気のない表情は年齢に比してずいぶん童顔に見える。
「い…いや…ここは一体どこだ? 私はいままでなにをしてたんだ」
「ここはバグダッド…あなたは長い間悪い夢を見ていたのよ」
 
 
   米森と淺黄は東名高速を西へ車を走らせていた。名古屋を過ぎたあたりだろうか。午前5時20分、東の空が白み初めていた。さすがに疲れたのか淺黄は静かに寝息を立てていた。
 米森にはやはりあの南鳥島近海での出来事が脳裏を離れなかった。“はつしま”のクルーを助けてくれたのはやはりガメラだったのか。あの巨大な浮遊岩塊から飛び立ったガメラは一体どこへ飛び去ったのか…徹夜で運転していたが、不思議と疲労は感じなかった。
 
   米森たちが今向かっているのは、あの海中神殿から強引に持ち帰った黒い珠の保管先だった。入院中海上保安庁の係官から、はつしま事件で負傷した唐澤博士に代わって京南大學の日高教授が調査分析を行う旨聞いていたからだ。もちろん真弓に会いたくないといえば嘘になる。その後、連絡をとって奈良の真弓たちに合流する計画でもあった。
 
 午前8時過ぎ、米森と淺黄は京南大學へ到着した。キャンパス内は登学する学生たちの活気で満ちあふれている。米森の母校ではないが、脳裏にほんの一瞬大学時代の記憶が蘇り、懐かしい気持ちに心が和んだ。
地質学研究室近くの駐車スペースに車を停め二人が降りようとした瞬間、まったく予想だにしなかった事態が勃発した。
大きな轟音とともに理学部研究棟の一部が木っ端微塵に爆発し炎上したのだ!
 
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 
いよいよ物語もクライマックスに突入の予感
そろそろガメラにも再登場してもらわないといけませんネ
期待せずにこうご期待
 
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Chapter20 『遠い星の伝説』 
  米森は、病室のベットに座って四角い窓枠で区切られた狭い風景をぼんやりと眺めていた。夕暮れ時の横須賀港の遠望はなんとなくもの悲しく、柄にもなく人恋しい気持ちになってしまう。
かすかに残る真弓の温もりの余韻にひたりながら、断片的に残ったあの太平洋上の悪夢を何度も頭の中で反復しながら自分なりに整理していた。
 そのとき、唐突に枕元に置いてあった携帯電話の着信音が病室に響く。看護師に注意されないよう急いで取り上げた。
「米森さんお久しぶりです」
草薙 浅黄…!? 米国留学の後、メラネシアの民俗学研究員としてニュージーランドにある研究施設に赴任していることは風の便りに聞いてはいたが、連絡を取り合うこともなく10年以上も疎遠になっていた。携帯電話の奥から聞こえてくる声には懐かしいと思う反面、ほんの数日前に話したことがあるように、時の隔たりをまったく感じないのが自分でも不思議だった。
「突然のお電話ごめんなさい。実は今成田にいます。はつしま事件のことはニュースで知りました。ガメラのことも気がかりで帰ってきてしまいました。米森さんがそちらへ入院されていることはJAMSTECでお聞きしました。これから病院へお邪魔してもよろしいでしょうか。大事なお話があるんですが…」
スマホの向こうの声は物静かではあるが若干震えているようにも思えた。
「うん、それじゃこっちから出かけていくよ。8時に品川プリンスのロビーで…大丈夫、もうピンピンしてるから、こんなところで寝てる気分じゃないんだ」
 米森は携帯を置くと、看護師に気づかれないようすばやく私服に着替えた。真弓に連絡しようかとも思ったが、面会のあと再度、関西へ行くと聞いていたのであえて黙っていることにした。
思考力は幾分ぼんやりとしていたが、真弓たちががんばってるのにこんなところでじっと寝てなんかいられないという使命感で身体がストレス無く動くのが自分でも信じられなかった。
 
   米森は人目につかないように通用口から抜け出すと、流しのタクシーを呼び止め横須賀駅に向かった。
 夕暮れ時の駅周辺は退社する会社員と学生たちが重なり合い、いつもと変わらない騒然とした日常が繰り広げられている。
午後8時より幾分早くホテルのロビーに入ったが、浅黄はすでに到着していた。
「お体が十分回復していらしゃらないのに病院までお電話して本当にごめんなさい」
浅黄は深々と頭を下げた。
 13年の時の流れは、当たり前ではあるがまだあどけなかった女子高生を魅力的な大人の女性に変貌させている。
「真弓さんはおげんきですか」
「う うん…」 
米森は言葉につまった。浅黄に合うのは真弓との結婚式以来、離婚したことは浅黄には伝えていなかった。
「今、悟君たちと奈良へ行ってて、淺黄さんに会えないことを残念がっていたよ」
とっさに取り繕った自分に少し嫌悪感を覚える。
「早速ですが…」
淺黄は、ラウンジのソファーに座るまもなく、不思議な物語を話し始めた。
「私はいまニュージーランドのロトルアにある国立民俗学研究所で仕事をしています。真弓さんがギャオスの謎を追っているの同じく、私はガメラの事が少しでも知りたくて、メラネシアの島々に伝わるマナの伝承を研究しています。日本には琉球語のセヂ、マブイをマナとする説があります。いろいろ調べていくうちに太陽からのマナであるフツノミタマを受けてヒヒイロカネをはらむ大地を崇める信仰、そしてその儀礼を司る卜部氏の伝承にたどりつきました」
 
  昔、南太平洋に浮かぶ大きな大陸に4柱の荒ぶる戦神がいた。戦神は兄弟でありながら眷属を従え絶えず争いに明け暮れていた。そのためかつて栄えた大陸には見渡すかぎり骸の山と草ひとつ生えない荒涼とした大地が広がっていた。創造神は怒り、大陸を4つに割り戦神をそれぞれを交わることのない天の果て、水の果て、砂の果て、時の果てに幽閉し、二度とこの世に現れないよう4つの霊珠で封印した。この霊珠が一つになると4つの大地が再び一つとなり、戦神が復活し、また果てしない戦いが始まりがすべての命が滅びへ向かう…
 
  米森と淺黄はしばらく沈黙していた。
 自分が上陸したあの邪悪に満ちた岩塊は封印された大陸の一部だったのでは、何者かの意思で浮遊する大陸…
以前、千里から聞いた守部文書に記された奇怪な天磐舟伝説のことを思い出した。
 
  始神元無極體主(モトフミクライヌシ)が宇宙を、ニ代神は銀河系、三代神は天地、四代神以降が太陽系惑星、地球の軌道を創造した。
 七代神の皇子天之御中主(アメノミナカヌシ)は、天磐舟(アメノイワフネ)に乗り、天元根国(アメノモトネノクニ)天越根国(アメノコシネノクニ)に天孫として降臨し、初代天職(アメノマツリ)天皇となる。 以後、天職天皇は25代続き、世界各地に皇子や皇女が王として君臨することとなる。
 ミヨイ、タミアラという2つの大陸も王のもとで栄えていたが、のちに天変地異により海中に没してしまう。大陸の民は天磐舟で脱出し日本へ渡来した。
  始神を祭った宮は、何万年たっても風化しない謎の金属日緋色金(ヒヒイロカネ)におおわれ、美しく光り輝いていたという……
 
 地球人の祖先は天磐舟に乗って宇宙からやってきた…本来あるべき自分たちの世界から追放された異世界の種族だったのかもしれない。 メビウスの輪のような終わりのない妄想が頭の中を飛び交う。
 火山性ガスの毒素の影響でいまだ混乱が解けない思考の中ではどうにも整理が付かない。
 「そうだ 淺黄さん、急な話で申し訳ないがぼくといっしょに京都の京南大学へ付き合ってくれないか」
 淺黄は、不意に立ち上がった米森の行動に少し驚いた表情を見せたが、
 「分かりました。ご一緒します」
淺黄には米森が大切ななにかを思い出したことが感覚的に理解できた。
 二人はホテルのエントランスで客待ちしているタクシーに足早に乗り込む。外はすっかり夜のとばりに包まれ、冷たい雨が降り始めていた。
 
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 
いやあ〜忘れた頃にやってくる妄想中二病小説です〜
どうも書き進むうちに時系列がおかしくなって先へ行ったり、戻ったり…ダハハ
つじつまが合わなくなったところも多々あり、その度過去に戻って修正してますので、変に感じたところは前振りのところを思い出して読み返してくださいまし〜
 
とうとう竹内文献の一説までいただいてしまいました。フロシキ広げすぎて収拾がつきませぬ〜そろそろクライマックスに近づかなくてはいけないんですがまだまだ先みたいです。ではでは、つまらんなんておっしゃらずこれからもお付き合いのほどよろしくお願いいたしま〜す

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Chapter19「 砂 嵐 」
 同時刻、イラク北部古代アッシリアの古都ニネヴェの遺跡、ネビ・ヤゲルの城門から数キロ離れた草原を一人の男がよろめきながら走っている。息は相当乱れて腕には古い遺物のような箱をかかえている。どうやら何者かの追撃から逃走しているように見えた。
男の後方数百メートル、小高い丘陵の影から1台の黒いSUVが現れ、どんどん男に近づいていく。男は必死で逃れようとするが、車が追いついた瞬間、パンッという乾いた音と同時に男は突っ伏しまったく動かなくなった。
運転席から降りてきた大柄な男はターバンで顔を覆ってはいたが、どうやら東洋人らしい。死体に足早に近づき、抱えている古びた箱を取り上げ中身を確認すると、携帯電話を胸ポケットから取り出した。
「少し手間取りましたが、予定どおり目的の物を入手しました。」
「ご苦労さまでした。これで白霊珠と朱霊珠が我が手に…蒼龍王は不完全な御身を癒やすためひとまず安息の地にお帰りになりました。ただちに日本に戻りなさい。私たちも神宿る地へ向かいましょう」
電話の奥からくごもった無表情な女の声が聞こえてきた。
 高来貴幸は箱の中から大理石のような乳白色の人工物を手にすると無造作に空箱を投げ捨てた。その鈍く光る楕円形の物体の表面には、不気味な獅子形神獣のレリーフが浮き出していた。
  貴幸はあたりを見回し人気のないことを確認すると、助手席のバックにそれを放り込み乱暴に車を発進させた。
  ニネヴェがある都市モスルから首都バグダッドまでは南西へ400km近く、大半が砂漠地帯でイスラム過激派が跋扈する無政府状態が長く続いている。 黒いSUVは闇に紛れて、砂漠の中の荒れたハイウェイを100k近い猛スピードで駆け抜けていった。
 
 数時間後、貴幸の車はバグダッド中心市街と空港を結ぶルート・アイリッシュをゆっくりと走行していた。ここはかつて世界で一番危険な道路と言われていたところである。道路脇にはイラク政府軍武装兵士の姿が目立つ。あたりに細心の注意をはらいながら貴幸は空港へ向かっていた。
 道路周辺は雑然として喧騒はなはだしく、軍用車や乗り合いバス、生活物資を運ぶトラックで著しく渋滞していた。しかし搭乗予定のウィーン行きオーストリア航空機の出発時刻まではまだ数時間の余裕がある。貴幸はヨーロッパ経由で日本へ帰る計画だった。
 空港へはもう数キロ、美都へ定時連絡のため携帯電話を手にした瞬間、鈍い飛行音が聞こえたかと思うと併走していた軍用トラックが木っ端微塵に吹き飛んだ。そのあおりで貴幸のSUVは大きく蛇行し、道路脇に停車していたタクシーに激突横転した。
 薄れる意識の中で、助手席からバックを持ち去ろうとする女の姿が目にはいった。反射的に腕を掴んで阻止しようとしたが、力のでない右手は簡単に振り払われる。混濁していく意識の中でその女が比良坂綾奈であることをおぼろげに認識していた。 
 
  その頃、千里と真弓そして悟の3人は南飛鳥村の守部家の客間にとおされていた。守部龍成に面会するためである。悟が龍成に会うのは5年ぶりだった。
 綾奈が失踪した後、今の自分があるのは龍成の助成あってこそであることは十分理解していた。それにもかかわらず5年間も足が遠のいていたことの後ろめたさで悟は少し緊張している。
  千里は守部文書の件で再々訪れていたが、真弓はあの柳星張事件以来15年ぶりの南飛鳥村だった。だが山間の過疎の村の風情はまるで時間が静止しているようにまったく変化がないように思える。ほのかに森林の香りのする空気も当時のままのように感じられた。 
 3人とももてなしの煎茶から立ち上る湯気を無言でぼんやりと見ていた。
  ほどなく、龍成が客間へ入ってきた。山仕事の途中らしく作業服を着て、片手にヘルメットを下げている。赤黒く日焼けした表情にはかつてのひ弱なイメージはなく、逞しい山男に変貌していた。
  軍手を脱ぎながら
「悟君ほんと久しぶりやなあ」
黒い顔から白い歯がこぼれる。屈託のない笑顔に悟は少し安堵を覚えた。
   そのとき、3人の耳に隣室のかすかに聞こえるTV音声から、調査船はつしま沈没のニュースが唐突に飛び込んできた。
 
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 
アイデアが枯渇して永らくお休みしていた妄想小説です〜 
休んでる間に、いろいろおかしなところに気づいたり、思いつきがあってちょこちょこ書き直してマッス。ひょっとしたら、全然違うお話になってるかも〜
めっちゃ稚拙な文章でお恥ずかしいのですが、またご愛読いただけたら嬉しいデッス
ほんじゃまた次回、いつになるのか分かりませんがどうぞヨロピク〜

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Chapter18「禍津神vs死神」
 重く垂れ込めた曇天を切り裂き、北東方向から白い光跡が海上の巨大な陰に向かって一直線に降下してくる。
 蒼竜王がハドロンビームを発射しようと上体を起こした瞬間、「死神の鎌」は目映い閃光を放ち直上で爆裂した。暗赤色の濃霧がまるで単細胞生物が増殖するように四方に拡散下降し、禍々しい巨体にまとわりつき覆い隠す。そして霧の内部で連続し明滅する不気味な青白い放電現象が確認された。
 数秒も経たないうちに蒼竜王の巨体は完全に動きを停止した。霧の内部からなんの物音も聞こえてこない。
 いったん戦場を離脱しようとしたひむか所属のSH-60Jは、司令部からの命令を受け、現状を確認すべくふたたび現場海域へ低空で進入した。
 ホイットモアのステルス機X48はミサイル発射直後に旋回上昇、逃げ帰るように南東方面へ亜音速で飛び去っていった。
蒼竜王からの攻撃を免れた護衛艦ふたかみは、僚艦いけづきに被弾艦艇の乗組員救助を託し、SH-60Jの回収と現状を把握するため現場海域に直行していた。
 ふたかみのCICでは洋上の蒼竜王をしっかりと補足していた。しかし動きは完全に静止している。
 ネオニュートロン爆発後、数十分が経過していたが、現場のSH-60Jからは、海上に停滞している大きな赤い霧の塊以外目視することはできなかった。付近の海面も赤黒く変色している。
 やがて、霧の塊は少しづつ風と波に中和、拡散され捉えられた巨大生物の状態がおぼろげに視認できる状態に近づいていく。
 上空でホバリングしていたSH-60Jの機長吉村三尉は毒々しい赤い霧が薄れるにしたがって、目前に展開するにわかには信じがたい状況に戦慄を覚えた。
 海上は低気圧の影響からかうねりが大きく、空には今にもスコールが落ちてきそうに暗雲が低く立ちこめている。
 そしてだんだん稀釈されていく赤いベールの奥には、まるで紫水晶が幾重にも重なったような複雑な形状をした巨大な結晶の集合体が海上から露出していた。
 
 高さは海面から数十メートル、多面体の半透明な内部の奥深く、蒼竜王の硬直した表情がわずかに視認できる。
 ネオニュートロンの未知の作用が起こした状況であることは推測できるが、そのメカニズムについては、まったく理解の域を超えている。はたして蒼竜王は絶命しているのか・・・それとも凝結したまま生命活動を維持しているのだろうか。
「目標沈黙。生命反応は確認できない。完全殲滅のため再度攻撃の要有りと認む」
吉村三尉からの報告を受け、ふたかみ艦長田所二佐は迷わずCICに発令した。
「目標補足せよ、仲間の敵討ちだ!ありったけのハープーンを目標に向けぶち込め!」
ふたかみの前部VLSから、5発のハープーンが鈍い発射音とともに放たれる。数秒後、数十キロ先の赤黒く濁った海面から、幾本もの巨大な水柱が立ち上った。
  紫色の結晶体は蒼龍王を内包したまま、すさまじい爆裂音とともに粉々に四散し、海中に沈降していった。
 水煙が徐々に治まると、大きくうねる海面は赤黒く変色しているが、それ以外なんの痕跡も認められない。
「目標完全に消滅」
ふたたび吉村三尉からの報告に、ふたかみのCICに大きな歓声が上がる。
霞ヶ関の司令部でも、歓声に包まれ閣僚や制服組の幹部がお互いに握手する光景が一部始終TVの特番に映し出されている。キャスターたちも高揚した声で歓喜をあらわにしていた。
 
 その様子を、京南大学の考古学研究室の古びたブラウン管TVで観ていた千里たち3人は安堵する反面どうも釈然としない不安な感覚を払拭することができなかった。
正直、あの人智を超えた強大な力を持つ禍津神が、未知の新兵器とはいえ人類の所有する武器であっけなく粉砕された事実をにわかには信じられない。
「とにかく奈良へ行きましょう」
千里の呼びかけに、真弓と悟は無言で立ち上がった。
 
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 
あらら〜なり行きで蒼龍王まで吹っ飛ばしてしまいました・・・ダハハ
さてさてこれからいったいどういった展開になるのか・・・物語は古都奈良の山中へ・・・こうご期待

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