川崎エムブレム

心理カウンセラーとカラーセラピストとお好み焼き検定資格を取得しています。

エイミはうそつき?

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「でやっ!」
「はっ!!」
「せい!」
「ちっ!」
「うりゃ!!」

既に陽も落ち真っ暗なクリミア城。
「あれ・・・いつまでやるのかしら」
エリンシアがルキノに話す。
「どちらかが倒れるまでやるんですかねぇ」
はぁ、とため息をつく二人。
エリンシアは遠くの城の中からジョフレを見て言う。
「それにしても、よくあれだけ動けますわね」
ルキノもそちらを見る。
「元気が有り余っているんですかねぇ」
エリンシアはピクンとする。ジョフレの元気があまっている?
「それじゃ、元気じゃなければ・・・いいのですね?」
「そうですね」
それを聞いてエリンシアは立ち上がり、自分の部屋へ戻る、ルキノ
も部屋から出て行き、何処かへ行く。

10分後。
「ルキノ。持って来ましたわね」
「もちろんです」






エリンシアの手にはリカバーの杖。ルキノの手には木刀が・・・

「あら、やっときたわね」
エイミに言われるがままクリミア城にやってきた一行。その城の前で
待っていたのはルキノだった。
「やっときた・・・ということは、事情を知っているんですね?
アイクはここにいるんですね?」
セネリオがルキノの言葉を捕らえて質問をする。
「ええ、いるわ。私に案内して欲しいって、アイクに言われたわ」
そんな会話をしている下の方では、子供達が目を輝かせている。
「あ〜。るきのさまだ」
「すげぇ〜」
「きれいだね〜」
そんな男の子とは違い、女の子はルキノをちらちら見ながら、
「ふ・・・ふん!私だって・・・」
何らかの対抗意識を燃やしているようだった。
アイクの事は知らない子供達でも、クリミアの重臣であるルキノ、
ジョフレはよく知った顔だった。
ふと、ルキノは気付いてセネリオの隣にしゃがみ込む。
「よく来たね〜、エイミちゃん」
「うん!」
そんなやりとりを見ていた子供達は騒ぎ出す。その中の一人の男の子が代表して話しかける。
「るきのさま。えいみちゃんとともだちなの?」
「ええ。そうよ」
ニコリと笑顔で答えるルキノ。子供達は更に騒ぎ始める。
そんなやりとりを見てルキノは立ち上がり、
「それじゃ、行こうか」
一行を促してきびすを返し、城に向けて歩き出す。

きれいな城。始めて見るものばかり。子供達は興奮のるつぼ。
そんな一行を引き連れて、ルキノは目的地へ促す。
そして着いた先での光景に子供達は我が目を疑う。
何度も瞼をこする子。目を大きく輝かせるもの。声を上げて興奮する子。様々だった。
思わずあの女の子が声を出す。
「あれがきのうのにせもの・・・?」
「そうだけど、にせものじゃないよ」
エイミの声すら聞こえないほどそれに見入る子供達。
その光景は・・・。


「でやっ!」
アイクが剣を上段から振り上げる。
「ふっ!」
息を吐き、槍の腹でそれを受け止めるジョフレ。そして剣を弾くと槍を一回転させて両手で持ち、アイクに切っ先を向ける。
「はっ!」
素早い突きがアイク目掛けて放たれる。剣を弾かれたアイクは素早
く体勢を整えると、正面から槍の切っ先を見て、その打点から体を
ずらす。
ジョフレの三段突きの引き手を見逃さずに、その引き手に合わせて近寄るアイク。
「せい!」
アイクが横薙ぎに剣を躍らせる。ジョフレはすかさず槍を立てて、それを防ぐ。防いだ後に、立てた槍の柄の部分を蹴り上げ、その勢いのままアイクを襲う。
「ちっ!」
舌打ちをしてバク転でそれを交わすアイク。
そして、二人に間合いが出来、呼吸を整える両者。


子供達は固まっている。あまりの凄さに。
ルキノはそんな子供達に声を掛ける。
「あの槍持っている人は誰か分かる?」
「・・・じょふれしょうぐん・・・」
「そうね。それじゃ、ジョフレ将軍と闘っているあっちの蒼髪の人は・・・誰か分かる?」
女の子はその光景を見入ったまま、口が動く。
「・・・あいく・・・」
その言葉に回りの子供達は緊張の呪縛から解き放たれたように、騒ぎ出す。
「すげぇ!!ほんものだったんだ!!」
「かっこいい〜〜!!」
「うそ〜〜!!」
「だからにせものじゃないっていったんだよ!?」
エイミが声を出すと、男の子達は静かになる。そして下を向いてもじもじしている。
そして、
「えいみちゃん!うそつきっていってごめんなさい!!」
ひとりの男の子が謝る声が聞こえた。その声に後押しされた男の子達は、
「ごめんね!」
「ほんとうにごめんね!」
あちこちから謝罪の声が聞こえた。それを見てニッコリとエイミ。
「べつにいいよ〜ぅ」
みんなに言う。そんな光景にカリルは目尻を押さえる。
すると、女の子がエイミの前に近寄り、
「ふん。ほんものだってみとめてあげるわ」
悔しさを含んだように言う。エイミはその子の両手を握る。
「だから、べつにいいって〜ぇ」
カリルは上を向いて涙を堪える。暫く上を向いていたカリルは涙が
止まるのを確認してみんなに言う。
「じゃ、みんなでパフェでも食べに帰るとするかねぇ」
その発言に子供達が騒いでいる。顔を喜びに称えて。
「かあちゃん。いいの?」
エイミがカリルに聞いてくる。カリルはニコリと微笑んで
「お前の友達だからね」
ウィンクもしてくる。
「かあちゃん!ありがと〜!」
エイミはお礼を言い、みんなに向かい大きな声で言う。
「じゃ、みんなでウチまで競争だよ〜」
そして、エイミを先頭に子供達は走って行く。
残されたルキノ、セネリオ、カリル。
「それじゃ、私はこれで失礼するわ」
ルキノはそう言うとその場からいなくなる。
残された二人。カリルは先ほどの娘の光景を思い浮かべる。
「それでは」
その時セネリオはその場から立ち去ろうとしていた。
「ちょいとおまち」
カリルの引止めにセネリオは立ち止まり肩越しに聞く。
「なんですか?」
カリルは近づいて、セネリオに
「昨日は・・・悪かったわね・・・」
小声で謝る。
「いえ。別に・・・」
セネリオは特に意に関せずといった感じだった。が、
「・・・僕の方こそ昨日は言い過ぎました」
謝る。それを見たカリルは、フッと笑い、
「それじゃ、仲直りといくかね。」
そんなことを言う。そして、
「じゃ、行こうかい」
セネリオに聞いてくる。
「何処へ行くんですか?」
セネリオの問いにカリルは答える。






「仲直りの印にパフェでも食べに・・・ね」

朝、セネリオが目覚めると、アイクの筆跡でこう書かれた紙切れがあった。

エイミたちの店に来い

いったい何のことだかわからないが、セネリオはあの店へと足を進
める。昨日、あのようなことがあったのだが、セネリオにとっては
特に大したことではなかった。それは、彼のこんな考えがあるからだろう。

『別にあの人達がどう思おうが知らない』

特に急ぐでもなく、ただ言われるがままに歩みを進める。
『この速さだと・・・昼前ぐらいには着きそうですね』
別に何時着いても構わないのだが、暇つぶしにふと考える。
そして、ただ歩く。

「せねりおおにいちゃん、おそいよ〜!!」
別に待ち時間を決めたわけでもないのに、姿を発見されるとエイミに
ぷんぷんとむくれて言われる。
エイミとカリルが店の外で待っていたようだ。
「それで、いったい何ですか?アイクの姿も見えないようですが?」
話になるだろうカリルに訪ねる。
「えぇ?あたしは知らないよ?」
カリルは昨日のことの負い目だろう、セネリオの顔を見ないで話す。
『カリルも知らない・・・だとしたらアイクはどこに?』
そんなカリルの事等気付くそぶりも無く、セネリオは考える。
「ね〜。早く行くよ〜!!」
突然エイミに右腕を引っ張られ、思考を停止させられる。
「ちょ・・・どこに行くんですか?」
慌てるセネリオに二カッと笑ってエイミが答えた。

「みんながいるところ〜!!」


「あ。エイミがきたぞ〜」
そこは子供達がいる公園だった。
先ほどの声で、子供達がエイミの方を振り向く。
エイミは先ほどまで掴んでいたセネリオの腕を更にガシッと掴む。
昨日のことで、少し躊躇しそうな自分に力を分けてくれる様に。
一息ついてみんなに言う。
「みんな、ちょっときてよ〜」
子供達は少し嫌そうな顔をする。
「え〜。どこいくんだよ〜」
「いやだよ〜」
「いまいいところだし〜」
口々に不満が出てくる。そんな不満にくじけそうになるエイミ。思わず顔がうつむいてしまう。
「どこへつれていくんですの?」
エイミにとって、まさかの助け舟が出された。そう、現在のエイミの
天敵とも言える、あの女の子だった。
『そうだ。どこへ行くと言うんです?』
セネリオも心の中でエイミに訪ねる。セネリオの心の疑問が聞こえたわけではないが、エイミが答えた。
「アイクおにいちゃんのかっこいいところ〜!!」

『・・・いや、そうじゃなくて!!』
セネリオがいい加減堪えられずに声に出そうとしたその時、
「あいくおにいちゃん?」
「きのうのあおかみ?」
「あれはにせものじゃん!」
「にせものじゃないもん!!」
偽者発言にエイミが反論する。そこに目をつけた女の子。
「あのにせものがにせものじゃないですって?」
「うん!ちがうもん!!」
女の子は少し考えて、
「かっこいいところをみせるってことは、きのうのあおかみが、
にせものじゃないことをしょーめーするってことなんですの?」
「うん!そう!!」
エイミは大きく頷く。女の子はその答えを聞いて意地悪な質問をする。
「じゃあ、もし、ほんものってしょーめーできなかったらどうするんですの?」
「え・・・?」
エイミはまさかそんな答えが返って来るとは思っていなかったので
、答えに詰まる。
「ほら〜。どうするんですの〜?」
「う〜〜〜ん・・・」
「ほらほら〜」
「・・・」
考え込むエイミ。してやったりの女の子。悪そうな顔をしてエイミ
に迫る。そして女の子はとどめに入る。
「なやむってことはやっぱりにせものなんですわね〜」
「ちがうもん!!」
「じゃあどうするんですの」
「う〜〜」
少し離れたところでカリルも見ているのだが、そこは子供の喧嘩と
割り切って入っていこうとはしなかった。そのかわり、心で声援を送る。
『エイミ・・・頑張って・・・!』
その声援を受けたのか、エイミは顔を上げる。
「そうだ!!」
「な、なんですの!?」
突然のエイミの声に驚く女の子。その女の子を子供達の代表に見立ててエイミは言う。



「もしにせものだったら、うちのぱふぇ、ただでみんなにあげる!!」



「おお〜〜〜!!」
子供達から歓声が上がる。女の子もパフェが頭に浮んだのだろう。顔がほころぶ。
「ぜったいだぞ〜!」
「ほんとうにほんとうだな〜」
口々に騒ぐ子供達を見ながら、セネリオは思う。
『・・・疲れる・・・』
遠くのカリルはこう思う。
『・・・なんだい、その交渉は・・・』
ほころぶ顔からハッと我に返った女の子がエイミを促す。
「そ、それじゃあはやくいきませんこと。そのかっこいいところっ
ていうのをみに。べ・・・べつにぱふぇがたべたいわけじゃありま
せんわよ?」
何故か最後に断りを入れている。
「じゃ、みんな〜行くよ〜!」
お〜、なんて言いながら子供達は盛り上がっているが、まだ行き先がわからない。
セネリオがエイミに耳打ちする。
「それで、何処に行くんですか?」






「くりみあじょうだよ〜〜〜!!」

「そいつは悪いことを言っちゃったねぇ・・・」
カリルはセネリオに言った発言を後悔していた。
アイクは少し落ち込むカリルとラルゴに言う。
「ま、大丈夫さ。アイツは。・・・そんなことより・・・」
と、アイクはエイミの入っていったドアを見つめる。
「先にエイミをどうにかしないとな・・・」
「そう・・・だねぇ・・・」
まだ頭にはセネリオの事が引っかかってはいるのだが、まず、
エイミの事を考えることに頭を切り替えた。
「よし!」
と、突然席を立って、エイミの居る部屋に向かうアイク。
「ちょっと。いったいどうするんだい?」
カリルの疑問にアイクは真顔で答える。
「話せばわかってくれるだろう」

コンコン

「エイミ。俺だ、アイクだ。入るぞ?」
返事は無いが、ドアを開けて入っていく。

バン

ゆっくり開けるという心使いもなく、いつもどおりにドアを開け
放つ。その音にエイミはビクリとする。
アイクのそのあまりな対応にカリルは心配になり、アイクと共に
部屋に入って行く。
アイクはエイミに近づいて話す。まだベッドに顔を埋めたばかりのエイミに向けて。
「エイミ。こっちを向け」
気遣いなんてものはない。普段のアイクだ。
エイミはそのアイクの口調に恐る恐る、アイクの顔を見る。
「よし」
何がいいのかよくわかりはしないが、アイクは満足げに話し出す。
「いいか、エイミ。確かに俺は”蒼炎の勇者”なんて呼ばれている
らしい。俺自身よく知りはしないがな。でもな、俺はそんな勇者で
あるかもしれないが、俺は俺だ。それ以下でもそれ以上でもない
んだ」
アイクは少し力強く話す。
「だから、飯をバリバリ食うのも俺だし、勇者だとか言われるのも俺なんだ」
エイミに優しい顔を向けてアイクが優しく言う。
「わかるな?」
カリルは頭を抱えている。



「そんなこと言われても、わかんないよ〜〜〜!!うぇぇぇぇぇぇん!!!!」



まだ幼いエイミに今のアイクの言葉がわかるわけもない。アイクは
エイミにわかるように噛み砕いて話す必要があるのだが、アイクは
そんなことを知る由もなく・・・。それゆえカリルは頭を抱えていたのだった。
「うえぇぇぇぇぇん!!!!」
泣いているエイミにアイクは声を掛ける。
「泣くな!」

ガツン

カリルに頭をどつかれる。
「あんたねぇ。もうちょっと言い方ってもんがあるだろう!」
「そんなこと言われてもなぁ」
特にどつかれた頭を気にするでもなく、カリルと話している。
「相手は子供なんだよ?わかんないのかい?」
「そんなことはわからん。じゃあどうすればいいんだ?」
カリルはエイミの頭を撫でて泣き止ませようとしている。
「エイミ。どうすればアイクお兄ちゃんを許してあげる?」
「うっ・・・ひっく・・・」
少し泣き声が小さくなる。そして、エイミがアイクを見て言う。
「それじゃあね・・・」

「なんだ。そんなことでいいのか」
アイクはエイミに聞き返す。
「うん・・・できるの・・・?」
アイクはエイミの頭をくしゃくしゃと撫でて言う。
「簡単なことだ」
「ほんとうに〜!!」
エイミの顔は先ほどの泣き顔とはうって変わり、笑顔が咲いていた。
「でも、そんなこと言って大丈夫なのかい?」
カリルが口を挟む。アイクは立ち上がり、それに答える。
「大丈夫だ」
そしてドアに向かって歩いていく。
ドアの前まで行き。エイミの方に振り返り、
「じゃ、明日な」
そう言うとドアから出て、店内に。
「ラルゴ。それじゃあな」
挨拶を交わして出て行こうとするアイクにラルゴは話かける。
「明日はセネリオも連れて来てくれるか?」
「ああ、連れてくるさ」
アイクは店を後にした。
そして、ふとした疑問を思い浮かべる。





「・・・ラルゴ・・・どうやって話を聞いていたんだ?・・・」

「アイクおにいちゃんのばか〜!!うえぇぇぇん!!」
部屋にあるエイミのベッドでうつ伏せに泣くエイミ。
「エイミ。入るよ?」
カチャ
ドアを開けてカリルが入ってくる。
エイミはカリルを見もしないでそのまま泣いている。
「やれやれ。いったいどうしたんだい。エイミ?」
エイミのそばでエイミを優しく撫でながら話しかけるカリル。
でも、エイミはそれでも泣いたまま。
「うえぇぇぇぇん!!」
カリルはそんなエイミに優しく話す。
「エイミ。泣いてるだけじゃわからないよ?ちゃんと母ちゃんに話してみなさい」
「う・・・ひっく・・・ひっく・・・」
少しずつ泣く声が治まってきた。
「かあちゃん・・・あのね・・・」


「と、言うわけなんだとさ」
エイミからの話を聞いたカリルはテーブルのアイクとセネリオに話す。
「なるほどな」
アイクはそんな言葉を出すが、少し考えてカリルに話す。
「事情はわかった。しかし、かと言って俺は何かするべきなのか?」
アイクの答えにカリルも考えながら答えるが、
「う〜ん・・・そうだねぇ・・・」
イマイチ良い考えが浮ばない。と、
「そのエイミの友達にアイクの凄さを見せればいいんじゃないか?」
カウンターから話を聞くともなく聞いていたラルゴが口を挟む。
カリルはラルゴの提案を受け、
「そうだねぇ!そいつはいい考えだねぇ!」
上機嫌な声を出す。そこにアイクが訪ねる。
「・・・で、具体的に何をすればいいんだ?・・・」
「う〜ん・・・そうだねぇ・・・」
再度カリルは思考に走る。が、
「アイクの剣技でも見せてやればいいんじゃないのか?」
再度ラルゴが口を挟む。カリルは顔を明るくして
「そうだねぇ、それがいいねぇ!あんた!今日は冴えてるねぇ!!」
「ははは。俺はいつも冴えているさ」
二人して笑いあう。

「・・・くだらないですね・・・」

このひと言で空気が固まる。カリルがゆっくりとその言葉を発した人物に告げる。
「そいつぁどう意味だい、セネリオ?」
冷めたコーヒーを喉に流し、セネリオは独り言のように告げた。
コーヒーカップの中の揺れ動くコーヒーを眺めながら。
「くだらないものをくだらないと言っただけですが?」
カリルが何か反論しようとしているのはわかっていたが、そのまま続ける。
「たかが子供の喧嘩。くだらなさ過ぎるのにも程があります」
カリルの反論を聞く前に、ラルゴの疑問が飛んできた。
「だから、エイミが偽者とか言った時にあんな答えをしたのか?」
「どうせそんなことだろうと思いましたからね」
淡々と話ているセネリオ。
「あんた!いったい何様のつもりだい!!」
そんなセネリオの態度にカリルが激昂して詰め寄る。
「いいかい!あの子はね!私等の本当の子供じゃないんだよ!そん
な子が!たかが子供の喧嘩とはいえ泣いて帰ってきたんだよ!親な
ら心配になるじゃないかい!!わかんないのかい!?」
「そんなこと僕にはわかりませんね」
それでも涼しい顔で返すセネリオ。

バシィ

カリルがセネリオの頬を叩く。
それでもセネリオの表情は変わらない。心も動かない。
「あんたって子は・・・」
叩いたカリルの言葉。どう意味なのかはわかっていたが、あえてセ
ネリオは考えなかった。セネリオはゆっくりとカリルに聞く。
「気が済みましたか?」
カリルは一筋の涙を流してつぶやく。
「・・・精霊の護符を持つベオクはこんなにも冷たくなっちまうのかねぇ・・・」
カリルはセネリオに背を向けて歩き出し、最後の言葉をその場に置く。
「・・・親のいない子供をかわいそうだと思いやってやれないなんて・・・」

ガシャン

セネリオは手にしていたコーヒーカップをソーサーに力強く叩きつけるように置く。
「親のいない子供がかわいそうだって!?ふざけた事を言わないで下さい!!」
セネリオは立ち上がり、カリルとラルゴに言葉を向ける。
「あなたたちが親なんでしょう!!違うんですか!?」
セネリオの口が止まらない。
「本当の親じゃなくてもあなたたちが居る!!それだけで十分じゃ
ないですか!!それなのに、親が居ないからかわいそう!?どこが
ですか!!あの子は十分幸せじゃないですか!!暖かい食事があっ
て!!望む親が居て!!いじめられてもなぐさめてもらえて!!」
そこまで言うとセネリオはうつむいて静かに告げた。

「・・・あの頃の・・・僕よりも・・・」

「セネリオ」
いままで沈黙していたアイクがセネリオに話す。
「お前、先に帰ってろ」
そのアイクの言葉を聞いてハッとするセネリオ。
「いえ。僕は・・・」
「いいから、先に帰ってろ」
「・・・わかりました・・・」
アイクに言われ、渋々店を後にする。
残されたカリルとラルゴは呆気に取られていた。普段感情を出さない
セネリオが、あれほど感情を露にするとは思わなかったからだ。
呆然としながらカリルが口を開いた。
「今のは・・・なんだったんだい・・・?」
アイクはセネリオが出て行った扉を見つめながら、つぶやく。




「アイツも・・・親が・・・いないのさ・・・」




そんな言葉を聞いて、カリルとラルゴはばつの悪い顔をしていた・・・

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