川崎エムブレム

心理カウンセラーとカラーセラピストとお好み焼き検定資格を取得しています。

エイミの夏休み日記

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一人の男がしつらえられた部屋の暗闇の中、蝋燭に灯された火を頼りに本を繰っている。
本に集中しているその男は気がついたのだろうか?
その火がわずかに揺らめく。
そして、
「あら?こんなに暗いのに読書なんてしてるの?」
その蝋燭の火を揺らめかせた人物が、本を読んでる人物に話しかけた。
本を読んでる人物はその現れた人物に振り向き、
「おお、これはこれは。深遠でも神々しいほどの美しい光を放つ麗しの我が君ではありませんか!?
貴方には似つかわしくもないこのような薄暗い場所に何用なのですかな?
まさか、我輩をお探し頂いたとか?おお、もしそうだと致しましたらこの我輩に余りある光栄に存じますぞ」
「それじゃ…」
姿を現したその人物は踵を変えてその場から立ち去ろうとする。
「来られて直ぐに行かれてしまうとは、余りにもご無体な」
本を読んでた人物が慌てて立ち去ろうとした人物を引きとめようとする。
すると、立ち去ろうとした人物が人差し指を立てて、
「それじゃ、もう少し貴方と話してあげるから、その勿体つけた話し方はやめてもらえるかしら?」
慌てていた人物は顎鬚を擦りながら、
「ふむ…我輩の話し方はいささか受け入れられにくいようですな」
少し落ち込んだように話す。
人差し指を差し出した人物はニコリとしながら言う。
「そうね。少なくともこのクリミア城には誰一人としてその話し方が好きな人物はいないと私は思うわ」
引止めに成功した人物はその手厳しい意見に
「ふむ…」
短く嘆息してその答えとした。
人差し指を差し出していた人物は一枚の紙を取り出して、対面の人物に言う。
「ところで、この紙は一体なんなのかしら、ユリシーズ?」
名を告げられた人物…ユリシーズが答える。



「その紙はある人物の運命を救った、とても大事な紙ですな」

8/31

「なんでまかろふはもうよっぱらってるの!?
まだみせあけていないのに!!」
「ん〜。そんなのそこに酒があるからに決まってるからじゃん〜」
「あらあら、マカロフ様ったら」
「すてらおねえちゃんがしっかりまかろふをかんとくしなきゃだめじゃないの!」
「はいはい。エイミちゃんにはかないませんわ」
「エイミ、もうそこの飲んだ暮れ達を相手しなくていいわよ」
「かあちゃん、わかった」
「おいおい。ちゃんと相手してくれよ〜」
「マカロフ様のお相手なら私がいたしますわ」
「すてらおねえちゃん、ちゃんとまかろふのあいてをしててよ」
「エイミ、そろそろ店を開けてくれないか?こっちの準備ももう大丈夫だから」
「うん。わかった、とおちゃん」


あたしはみせのどあをあけ、あさのくうきをみせにいれる。
それとどうじに、そとでまってるひとたちのかおをみわたして、
あたしはにっこりとわらっていった。







「おまたせしました。いまからおみせをあけます。みなさん、いらっしゃいませ〜」








8/31
きょうはいつもとかわらず、とてもいそがしかったです。











エイミの夏休み日記 終わり

8/30

「…あれ?営業してるの?」
マカロフが店のドアを開けて目の前に見えた光景を不思議に思い、
更にその視線の先にいる人物に話しかける。
「ん?ああ、今日からな」
マカロフの視線の先にいた店主ラルゴがグラスを磨きながら答えた。
その答えを聞いて、
「じゃ、エイミが元に戻ったのかい?」
マカロフがきょろきょろと視線をめぐらせる。
が、マカロフが店の中を全て見渡す前に、
「いや、まだ寝てるさ」
ラルゴが片目でグラスを眺めながら答えた。
その答えにマカロフは疑問を抱いた。
「ん?じゃあ、なんで店の営業を再開してんの?」
「そいつは仕方ないじゃないかい。いつまでも店を閉めとくわけにはいかないだろ?
せっかくのお得意様をこれ以上待たせるわけにはいかないしねぇ」
マカロフの疑問には奥から姿を現したカリルが答えた。
「あれ?姐さんもエイミの元にもういなくていいのかい?」
マカロフがカリルへと質問する。
「そうだねぇ。これからは店を営業して、その合間にエイミに話しかけるようにするさ」
カリルはエイミのいる部屋を見ながら言う。
「へぇ…なるほど…」
マカロフも同じようにエイミの部屋を見やる。

そして…

パン!

とカリルが手を叩き、
「わかったかい?じゃあ、店の営業準備の邪魔だからそこをどいてくれ」
いつものような元気なカリルの声がマカロフに投げられる。
しかし、以前よりどこか今ひとつその声に元気がない事をマカロフとラルゴは気が付いていた。
「へいへい、わかりましたよ」
そんな返事をしてマカロフは頭を掻きながら、
「じゃ、エイミの相手でもしてきますよ」
と言って、エイミの部屋へと向かう。
そのマカロフの背中にカリルが言う。
「変なことするんじゃないよ!」

キィィ…
マカロフはエイミの部屋のドアを開け、その中に入るわけでもなく部屋の外からエイミの寝顔を見た。
誰の目にも、ただ眠っているように見える。それはマカロフも同じだった。
その開いたままのドアから部屋に、店の準備をしている音が聞こえた。

ジュッ、と何かを炒めている音。
カツカツカツ、と店のテーブルを拭く時に響く足音。
キュッキュッ、と食器を磨く音。
カチャカチャカチャ、と食器達が軽く触れ合う音。
コトコトコト、とグラスを用意していく音。

様々な音がエイミの眠る部屋にも響いていた。
「流石。なかなか手際がいいですね〜」
エイミを見ていたマカロフだったが、準備している音を聞いているうちにカリルとラルゴの準備する
光景に視線を奪われていた。






「ちょっと!まかろふそこどいてよ!そこにいるとじゃまで、へやからでられないじゃないの!!」
「ん?ああ、悪い悪い」
と言いながらマカロフがその人物に言われるがまま道を開ける。
その人物は言った。






「とおちゃん、かあちゃん。おはよう!あたしはなんのおてつだいする?」






ガシャン!!



カリルが手にしていたグラスを落とした。
そしてカリルとラルゴはそこに立っている人物を見て、我が目を疑った。
その人物は今までどんな話を聞かせても眠ったままのエイミだったからだ。





「エイミ!!!!」





カリルとラルゴはエイミの元へと駆け出していた。
そしてエイミの体を抱きしめ、涙を流していた。



しかし、当のエイミには何のことだかよく理解はしていないようだった。







店の準備をする音。それは誰が聞いてもただの雑音。
しかし、どんなに楽しい思い出よりも、どんなに美しい思い出よりも、
エイミの中で一番嬉しい思い出は、そんな音の響く店。
そう。優しい思い出の詰まった店の音こそが、一番エイミの心に残っていたのだろう。


他の人には理解できないことでも、エイミにとってはそれが一番の宝物なのかもしれない…

8/29(最後)

「エイミ!」
ラルゴはエイミの部屋を開けながら、娘の名前を呼ぶ。
「アンタ…」
その声にカリルが振り返り、ラルゴを見る。
「カリル、今まですまなかった」
ラルゴの謝罪にカリルは、
「…アンタはいつも…遅いんだよ…」
自分の目元を擦りながら、ラルゴに言う。
目元を擦った理由は…零れようとする雫を拭ったためなのだろう。
ラルゴは未だ寝むり続けるエイミの手を握って、
「エイミ、父ちゃんだぞ!」
今まで力になれなかった分エイミを励まそうとする。
そんなラルゴを見てカリルも、
「エイミ、母ちゃんだよ。わかるかい!?」
ラルゴと同じようにエイミに声を掛ける。
しかし、その呼びかけにエイミは反応を示さなかった。
ラルゴも自分が娘の名前を呼びかけたから、直ぐに起きてくるとは思っていなかったのだろう。
ラルゴは続けて話しかける。
「エイミ、覚えているか?こんなことあったよな…」
エイミが自分達の娘となってからの様々な思い出を言い聞かせた。

楽しかったこと。
面白かったこと。
辛かったこと。
悲しかったこと。

どんな思い出だろうと、ラルゴは思いつく限りの思い出を言い聞かせた。
カリルはラルゴの言う話に相槌を打ち、
更にその思い出の輪郭をくっきりとさせてエイミに情景を浮かびやすいようにした。



一体どれだけの時間をかけたのだろう。



エイミはラルゴとカリルの話し掛けに反応を示すことはなかった…

8/29ラルゴの記憶12

ラルゴは叩かれた頬をそのままに、ステラを見る。
ステラは涙を流しながら、
「私はベグニオンで両親と姉様と大きなお屋敷で暮らしていました…」
言葉を、自分の想いを紡いでいく。
「周りの人からは何不自由なく、日々の生活を送っていたように見えるのでしょうね。
私がたまに街へ出かけた時、そんな陰口を私に聞こえるように叩いている方もいらっしゃいましたわ」
ステラは涙を流したまま、自嘲気味にフッと笑う。
が、その笑いも直ぐに消えうせ、
「でも、それは本当の私の家…ディアメル家をご存知ないからですわ」
ステラの眼の色が変わった。
「外から見れば、何不自由ない暮らしを送っていたように見えたかもしれませんが、
それなりにベグニオンで名前が通っていましたので、
父は毎日仕事でお屋敷にいらっしゃる事はほとんどありませんでした。
そんな生活を暮らしていたためでしょうね。

…私は父の顔をほとんど知りませんでした…」

ラルゴは無言でステラの吐き出される言葉をずっと聴いていた。
「母もそんな父と同じようにいつも外に出かけていき、帰りは夜の遅い時間。
まだ幼い私は母が恋しく、そんな母の帰りを待っていましたわ。
でも母は待っていた私にあまり構うことなく、直ぐにお休みになられていました。
疲れているから仕方ないかもしれませんでしたが…

それでも…私の我侭かもしれませんが…私は母と同じ時間を過ごしたかった」

ステラは自分の言葉で思い出したのだろう、涙が次から溢れてきていた。
「姉様と一緒に遊んだことも…ほとんどありませんわ。
私達姉妹は毎日のように決まった時間にそれぞれの別の習い事やお稽古事ばかりでした。
そんなすれ違いばかりで姉妹としての会話もほとんどありませんでしたわ…」

ステラはそこまで言うと、今まで誰にも見せたことのないような鋭い目つきでラルゴを射すくめる。
「それに比べれば、エイミちゃんといつでも話すことも遊ぶことも出来る、
ラルゴ様やカリル様がうらやましく思えますわ。
それなのに、エイミちゃんが頑張っている時に…カリル様も一緒になって頑張っているのに…
ラルゴ様は一緒になって頑張ってあげないのですか!!」
ステラに凄まれて、ラルゴは口を開く。
「俺は…あの娘の父親を…」
「そんなの今、関係ないじゃないですか!!」
ラルゴの反論をさえぎるようにステラは強い口調で言う。
「これからもエイミちゃんに何かあると、そんなことを口にして逃げるだけなのですか!?」
ラルゴはステラの言葉にハッとする。

…逃げるだけ…
そう。自分はただ逃げているだけだと…

ステラは最後に言う。

「昔はどうであれ、今の父親はラルゴ様…貴方なのですよ」

ステラの言葉を聴き終わり…ラルゴはエイミとカリルのいる部屋へと走りだした。


そんなラルゴを見送り、ステラは涙を拭く。
そして、


「私も…ラルゴ様達のような家族を築きたいですわ…ね、マカロフ様」


ステラは自分の言葉に優しい笑みを零していた…

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