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戦いは終わった。
結果は自分の生まれ育った王宮アリティアからの敗走。
マルスは今日という一日を忘れることは無いだろう。
平和が続いていた毎日を壊した一日を…
安否のわからない、父、母、姉。
王宮で暮らしていたみんな。
そして、唯一目の前で別れを見送ることとなってしまった、
ゴードンのことを…
マルスは己の力の無さを悔いていた。
『ボクがみんなを守れるほど強ければ、こんなことになんか』
目の前でパチパチと音を立てて爆ぜる焚き火を見つめながら。
「マルス様。お食事をお持ちしました」
マルスが振り返ると、背後にはジェイガンがマルスの食事を持って立っていた。
食事…と言っても、突然の襲撃によりそれほどの食べ物も無く、マルスが手渡された食事といえば、
皿にスープがあるだけ。
そのスープを、
「いらない…」
マルスは拒否した。
ジェイガンはマルスの意思を尊重し、
「わかりました」
そのスープをマルスから受け取り、マルスを一人にしておこう…とその場を去ろうとした。
「ジェイガン…」
「はっ…」
マルスの声に、ジェイガンは立ち止まる。
マルスは背後のジェイガンを見ないで、焚き火を見ながら話す。
「ボクは…どうすればいい…」
ジェイガンもマルスを背にして話す。
「マルス様はどうされたいのですかな?」
マルスは、
「ボクは…アリティアを取り返したい!」
強い瞳で焚き火を見据えながら言う。
ジェイガンは空に浮かぶ星を見て、
「でしたら…強くなりなされ…今よりも…誰よりも…」
優しい口調で告げた。
「ああ!ボクは今より強くなる!そして、みんなを…アリティアを取り戻すんだ!」
マルスは力強く、自分に言い聞かせるように宣言した。
マルスは背後を振り返り、背中を向けているジェイガンに言う。
「ゴードンは…やはり…」
ジェイガンは振り返りもせず、
「はい…」
一言だけ答えた。
その答えで二人の会話は成立していた。
ゴードンの死…を。
マルスは焚き火に向きかえり、誓う。
『ゴードン…君に助けられたこの命で…君の仇を必ず…討つ!!』
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