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全てが終わった・・・
そして僕の隣には彼女がいる。その彼女を気付かれないように見る。
が、彼女と目が合い彼女は微笑を称えて僕を見る。
それだけで顔に血液が集まって、赤面しているさまが自分でもわかる。
僕と彼女だけの空間が出来ていた・・・
「おい!」
びくっと体が震える僕とフリーダ。背中越しに投げられた言葉。その投げてきた人物を見る。
ハールだった。
「いつまで俺の目の前でいちゃついてるんだ?」
「い・・・いや、その・・・」
しどろもどろになる僕。フリーダは下を向いてもじもじしている。
「コイツ貸してやるから、俺の目のみえねぇところでやってくれ」
そういいながら、自分の愛竜を軽く叩く。
「いいんですか?」
僕が聞いてみる。と、
「いいから行け。」
ぶっきらぼうに言い放つハール。
「有難う、ハール」
お礼を言って僕は黒竜に跨る。そして手綱を右手で握り左手を
「フリーダ、僕と夜空の散歩に行ってくれないかな?」
フリーダに差し出す。フリーダは両手で僕の左手を握って言う。
「はい。喜んでお供させていただきます。」
そしてフリーダも黒竜に乗ったことを確認して、僕は手綱を引く。
グルァァァァア!
一度黒竜が鳴いてから、羽を羽ばたかせる。
「それじゃ、少しお借りしますね」
ハールはめんどくさそうに右手でとっとといけと言わんばかりに手を振る。
そして黒竜は月の輝く夜空に舞い踊る。
それにしても、今思い出しても笑ってしまう。
先ほどのハールとの会話中、左手にはずっとジルが腕組して甘えている光景は・・・
「あ、サザ。あれハールの黒竜じゃない?」
デイン城の大きな窓から夜空を舞う竜を指差す。
「そうだな・・・乗っているのは・・・ペレアスとフリーダかな」
サザはそういい、思う。
『成功したか・・・よかったな、ペレアス。フリーダ』
窓の外を見て考え事をしていたサザにミカヤは言う。
「あれって、デートなのかなぁ?」
「そうじゃないのか?」
「ふ〜ん・・・」
そこまで話して先ほどからミカヤがサザを見ていることに気付く。
「どうかしたのか?ミカヤ?」
「私も空のデートしたいなっ!」
目を輝かせてサザに言う。サザはふ〜むと暫し思案し、言う。
「じゃ、今からやるか?」
「えっ!本当に!!」
思ってもない言葉にミカヤははしゃぐ。
そのはしゃぐミカヤの両脇を掴んで上に上げる。
「ほ〜ら。高いですよ〜。夜空に舞っていますよ〜」
「なっ・・・」
両脇を抱えられ、幼い子にさせる高い高いの格好をさせられているミカヤは顔を真っ赤にして言う。
「サザのバカ〜〜〜〜!!!」
同じデイン城で眺めていた老将。
「お前の娘も、良い男とめぐり合ったぞ。わしが保障してやるわい・・・」
夜空を舞う水色のドレスの娘の父親に語るように老将はつぶやいた・・・
「お〜!竜だ竜!」
なぜか竜にやたら興奮しているエディ。となりにいるレオナルドは少し疑問に言う。
「別にそんなに珍しくないだろ?」
確かに、ジルの率いている竜騎士達もいるため、竜が舞うのはさほど珍しくはないはずなのだが?
それでもキラキラした目のエディ。
「レオ!」
突然名前を呼ばれる。
「なんだいエディ?」
返答したレオナルドにエディは言う。
「お前の弓で、あの竜打ち落とせないかなぁ?」
「・・・エディ・・・君・・・少し黙っててくれないか・・・」
旅人は夜空を見上げて立ち止まって言う。
「よかったじゃねえか。若いヤツラはたくさん恋をしていなきゃな、本当の大人にはなれないのだぜ?」
旅人は顎鬚を擦りながら、また歩き始める。
「ローラおかあさん・・・泣いてるの・・・」
孤児院の一人の女の子がローラのスカートの裾を引っ張って言う。
ローラは急いで流れる涙を袖でふいて、その子に笑顔で言う。
「ローラお母さんは泣いていませんよ〜。」
女の子も笑顔になって言う。
「それじゃあよかったぁ!」
「でも、もうおやすみの時間すぎていますよ〜。ローラお母さんと一緒に寝ましょうか〜」
「うん!!」
女の子の手をとり、ローラは寝室へと進む。
「・・・ブラッド・・・」
「?ローラおかあさん。今何か言ったぁ?」
「え〜?何にも言っていませんよ〜。」
ゆっくりと歩きながら、彼を想う。
そして、目からは雫が一つ零れる・・・
「おう。今日の夜は騒がしいなぁ」
一緒に門番をしていた男が話しかけてくる。
「・・・」
黒い鎧の門番は返事をしない。話しかけた男は言う。
「お前さん。少しはしゃべらねぇと口がくっついちまうぜ?」
「・・・」
軽い冗談にも付き合わない。
「へっ・・・真面目だな、アンタは」
話しかけた男も職務に戻る。黒い鎧の門番は夜空の竜に乗る2人を見て想う。
『・・・悪いな・・・早くいい男を見つけるんだぞ・・・ローラ・・・』
「ねぇハール。ペレアスに黒竜を貸したりするアナタのそういう優しいところ私・・・好きなのよ?」
ハールの左腕に絡まるジルは、下を向きながら言った。
話の終わり当たりは尻すぼみに声が小さくなっていっていたので、聞き取れなかったのかもしれないがジルは言う。
しかし・・・ハールから返答はない。
「ねぇ。聞いてる・・・?」
ハールの体を揺する。やはり反応がない。ジルはハールを見て言う。
「ちょっと。ハール!聞いてる!?」
「・・・ぐぅ・・・」
器用に立ったまま眠っていたハール・・・それを見たジルは、
「ちょっと、アンタ!今寝るなんてどういう神経してんのよ!!」
「ぐぅ・・・ぐぅ・・・」
「さいってーーー!!」
ジルは頭に来てハールの腕を放して、緑竜に乗ろうと歩みを進める。
「俺は、そう言うお前が最高だけどな?」
ハッとしてジルは振り向く。そこには肩を震わせて笑っているハールがいた。ジルは真っ赤な顔になって小声で言う。
「・・・ばか・・・」
羽ばたく黒竜の背中でペレアスはふと思い出す。
「フリーダ。そういえば君からは言われていたけど、僕からは言っていなかったよね?」
僕の腰に手を回しているフリーダに聞く。何のことだか考えてみる。
「ペレアス様、なんのことでしょうか?」
頭に浮ばないフリーダは聞き返す。僕は前を見ながら言う。
「僕が君の事をどう想っているか」
どきんと胸が高鳴ったフリーダ。
「・・・はい・・・」
それでも不安になっているフリーダ。一体どんな言葉が来るのかまだ
確実にはわからないから仕方ないのかもしれない。
「それじゃ。言うよ!」
「はい!」
そう言って僕の後ろで固まっているフリーダの唇を奪う。
「!」
急なことで目を見開くフリーダ。でも、ようやく自体が飲み込めたの
だろう。体の力が抜けてきて、目がとろんとしている。
どれだけの時間が過ぎたのだろうか・・・
ようやく唇を離す。
「・・・」
「・・・」
無言になる僕達。
暫くして、僕の袖をフリーダが引っ張ってきたのに気付く。
「なんだい?」
僕が聞くとフリーダがうつむいていた・・・
『しまった!』
僕の頭に警告が走る。やり過ぎだったのだろうか?
「ペレアス・・・」
その言葉を受けて僕はじっとフリーダを見る。するとフリーダが顔を
赤くして上目使いで言う。
「・・・よく聞こえなかったから・・・もう一回・・・お願い・・・」
・・・僕はフリーダと先ほどより熱い口づけを交わす・・・
ペレアスの”僕と彼女の夜空のワルツ”終
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