|
僕が気がついたら、そこはトイレの個室だった。
僕はトイレの個室で気を失っていたのだ。
ドアを開けたら、またあの人型がいるのかもしれない。
もしかしたら、同じように誰もいないかしれない。
何の音も聞こえないのかもしれない。
もしかしたら…
”しかし、ドアを開けないことには何も始まらんな…”
そんなことを考えてしまう。
しかしそれは考えすぎだと言うことはすぐにわかった。
個室のトイレの外が騒がしい音が聞こえているから。
恐る恐る僕はドアを開ける。
個室の外には小をしながら話している子が2人いた。
トイレの床にあった、髪の毛もなかった。
「戻ってきた…?」
自分では独り言のようにつぶやいたつもりだったが、小をしていた2人が振り返って僕を見て
不思議そうな顔をしていたことから考えると、そこそこ大きな声だったのかもしれない。
僕は少し恥ずかしくなり、トイレを出た。
ゲームコーナーにはゲームに興じる子供や、付き添いの大人の姿が見えていた。
そして先ほどとは打って変わってやかましいほどのデパート内。
何故だかわからないがドッと疲れた僕。
”ようわからんけど…帰るか…”
何気に腕時計を見る。
時計は先ほどとは違い、ちゃんと時間を示していた。
時間は18時を回っていた。
”…なんでや?”
デパートに来たのは10時のOPEN直後。
それなのに今の時間は18時過ぎ。
なんだか良く分からないけど、とりあえずは戻ってきたことだけで十分だった。
駐輪場の自転車に乗り、僕は帰路へついた。
これが僕が体験した20年ほど前の出来事です。
気を失うまでのあの光景はなんだったのか?
もしかして夢だったのか?
それはなんだったのかわからない。
でもあの恐怖は忘れられないほど、心に刻まれている。
どこでどうなったのかなんてわからない。
でも僕は思う。
今の世の中以外にも、いろんな世界があるのかもしれない、と。
(ちなみにこの一件以来、GAME OVERの声が誰よりも怖くなりました…)
|