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僕は仕事柄、ちいさな友人が多い。
『ねぇねぇ、えせタヌ(本当はあだ名)。これなおせる??」
彼らの前でしばしば、僕はおもちゃのお医者さんになる。
持ち込まれる『患者さん』は多種多様。
歯車の外れたゼンマイ仕掛けのトトロの人形(トトロがてくてく歩く)
糸の切れたけん玉。
時にはラジコンカーなんてものもある。
そして、今日も一人の小さな友人が患者さんを連れてきた。
彼女はある会社の重役さんのご令嬢で、とっかえひっかえ新しいおもちゃを持ってくるので有名な子。
「あいつっち、壊れて無くてもおもちゃがゴミ箱行きになるんだよ。」という話を、数日前に違う子供から聞いたばかり。
そんな子が捨てようとしないもの。
『むむむ、最近入手困難なDSとか持ってこられたらどうしよう』
そんな僕のあせりが僕の中にあったのだけれど、手の中にあったのは彼女の持ってきたのはただの竹とんぼ。よく見ると、心棒の部分が折れていた。
「これなら直せるよ」
と僕が言うと、
「ホント?!これね、パパと作ったの。」
彼女はそう教えてくれて、すごくいい笑顔を見せてくれた。
あまり一緒に居られないお父さんが珍しく公民館の工作教室みたいなものに一緒に参加しようといって作ったものらしい。
作業中、その子がすごく嬉しそうにそのときの事を話をしてくれるのを聞いて、不覚にも泣きそうになった。
物の価値は値段や機能じゃなくて、それと共にある「おもいで」。
少なくとも彼女にとってはきっとそうなんだろう。
僕は、なんだかそれがうれしかった。
僕が心棒を切り出して形を整えてやると、彼女は一生懸命その心棒にやすりをかけた。
最後に竹とんぼの修理が完了したときのうれしそうな顔が、僕もうれしくしてくれた。
ねぇ、世界中の「おとーさん」と「おかーさん」。
大切にしたいって思えるもの、お子さんに与えてあげられていますか?
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