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「時代状況 横浜日記」(277) 2019年7月12日 梅本浩志
<恐ろしいかな、令和新時代奉祝全テレビ報道の翼賛カルテル>(その5)

 日本でテレビ放送がその忖度的な体質もあって、カルテル化させられた令和新時代到来騒ぎの真っ最中ともいえる2019年4月3日に、ニュース・ウィーク誌インターネット版に『ロボットとセックスする新時代の大問題』と題する論文が掲載されている(注・ニュース・ウィーク本誌には2019年4月2日号に掲載したと書かれている)。
 寄稿したのはアメリカ・ミネソタ大学の法学部のフランシス・シェン准教授である。文中「セックスポット」と筆者が書いているのは、これまでは人間的な営みであった「セックス」と、極めて高度な人間を相手とする性的快楽セックスを提供するAI「ロボット」とを合成した新語である。どうやらアメリカでは一般社会で通用する新語として市民権を得ているようである。この一文には「『セックスボット』と性交渉する日は間近」だとショッキングなサブタイトルがつけられている。
 まず同寄稿文の要旨をかいつまんで以下に書いておく。
(1)いまや多くの企業が、親密な交流や性的快楽の提供を目的とするロボットを開発中。いくつかは既に商品化されている。そのセックスボットはセックストイやセックスドールと違って近未来において人間のセックスパートナーの主流になる可能性がある。
(2)セックスボットが提供するのは、もはやセックスにとどまらない。いずれ自己学習機能アルゴリズムを活用して、人間と感情的な関わりを持つようになるだろう。セックスボットは将来的に感覚まで備えるようになるだろう。
(3)セックスボットは安全性の面でも懸念が潜む。セキュリティの面でも心配だ。セックスボットは相手の好みを学習し、膨大な量の性的情報を保存・処理することになるだろう。こうしたデータを保護する枠組みはあるのか。ロボットがハッキングされたり、性犯罪者の監視装置として当局に利用される恐れはないのか。
(4)セックスボットの導入が個人と社会に与える影響については、確かなことはまだ分らない。普及が進まないかぎり実証研究は難しい。
(5)そう遠くない昔、同性への恋愛感情は恥とされた。テクノロジーと親密な関係を結ぶ「デジセクシャル」の人々はいま、かっての同性愛者と似た状況にある。いずれ彼らがマシンとの愛を堂々と口にする日がくるのか。答えは誰にも分らないが、セックスボットが普通に売られる日は近い。その時に備えることが大切だ。

     手軽な、だがわびしい性欲処理ロボットの時代へ

 いまや人類はもっとも人間的な営みであるはずの性行為の相手を、同じ人間の異性ではなく(注・いま論旨の複雑化を避けるために同性愛等については論述しないこととする)AIロボットにする時代に差しかかりつつあるというのである。
 セックス・ロボットたちはお相手の好みなどについてすべて知りつくしていて、満足させるから、人間はもう相手に気を使って目的を達する必要もなく、まして気兼ねなど全くしなくてすむ。セックスボットは雰囲気まで作ってくれ、いついかなる時にも最大限の性的サービスをしてくれるから便利なことこの上ないという次第なのだ。
 言葉を中心とするコミュニケーションは必要とせず、セックスボットから気のきいた言葉をかけ、雰囲気を形成し、対応してくれるのだから、言葉や雰囲気作りによる意思疎通の必要性はなくなってしまうのだ。だから、いまや言語等によるコミュニケーション能力を失ってしまいつつある現代の若者たちや職場で職場人間にされてしまっている人間たちには、セックスボットは便利この上ない時代になりつつあるようである。
 こうして特にスマホによって人間同士のコミュニケーション能力を失ってしまった現代においては、言葉も必要とせず、雰囲気作りとか相手への思いやりとかいった性交渉にとって必要不可欠な状況や条件を整えることなく、性的欲望を果たすことができるようになったというわけだ。相手に言い寄る必要もなければ、セックスに誘う言葉をかける必要もなくなる、そんな時代に入りつつあるというのである。
 男どもはまるで自動搾乳機で乳を搾り取られる牛たちと同様に精液を女性AIロボットに搾液されて満足するそんな時代に入りつつあるのだという。チャップリンに生き返ってもらって新しい『モダンタイムス』を作ってもらわなければならない、そんな時代に入りつつあるようだ。
 本来、性行為は人間にとって最高の喜びをもたらすエロスの世界を形成する社会的、文化的、芸術的な営みだったはずであり、その究極の姿としてユートピアの時代を実現しようとしてきたはずのものである。それが全く逆の姿になってしまった。セックスボットに誘われ、営む錯覚の搾液の空間と時間を消費する非人間的な時間と空間の世界に変わり果ててしまうのである。自己疎外の究極の世界である。

     自己疎外の究極の姿

 人類は太古の昔、人間のあるべき完全な存在として神を作り、絶対的に服従してきた。ドイツ人哲学者フォイエルバッハの指摘したとおりである。そしてそのような神の世界を守ろうとし、神の規律に忠実たらんとして神の名において戦争までしてきた。科学的な真理を否定したりねじ曲げようとして、背くものたちを悪魔だの魔女として抹殺してきた。ガリレオの例でも明らかなように宗教裁判にかけられて科学的真実を否定させられたり、権力主義的にねじ曲げられて、真理の追及を妨げるなどした。神による自己疎外だった。救国のヒロインだったジャンヌ・ダルクも魔女とされて火刑台で処刑された。
 貨幣の発明も自己疎外の典型的現象だった。生活を豊かなものにしようとして人類は貨幣を作り出し、交易を盛んにし、経済を発達させてきた。ところがカネ=貨幣はやがて資本に変質して、資本は自己増殖の本能と本性を身につけ、増殖を続けなければ生命力を失うこととなり、その目的と性質のために人間を支配するようになった。
 貨幣の奴隷となり手先となった一部の人間は、南北アメリカ大陸やアフリカ大陸を侵略して原住民を殺戮し、奴隷として、金銀を略奪した。さらに産業革命と結びついて近代的大規模産業に投資する資本を大量供給する資本家を生み出し、資本家たちは神としての資本の司祭となってしまい、働く人間たちを可能なかぎりの低賃金で酷使して支配し、ブルグ(大通り)街に居住するブルジョワたちを生み出して社会を支配するに至った。
 ブルジョワたちはあっというまに社会を支配する階級となり、貧しい都会の一隅に住んで、低賃金でこき使われる賃金労働者に対して経済面だけでなく政治面でも支配権を握り、労働者たちをプロレタリアと化して、低賃金で雇用して人間社会を分裂させるに至った。やがて労働者の反抗と抵抗を抑圧するために労働者たちの組合運動を抑圧し、階級として結束していた労働者たちを分裂させて、比較的高禄を食む管理職や専門職を優遇して人間社会を分裂させて支配するようになった。
 そんな資本はやがて国家権力と結びついて、いまや神の座に登り詰めた資本は思うがままの支配を貫徹し、時には資本の利益を守るために戦争をはじめて、徴兵されたプロレタリアが惨めにも戦死をして命まで奪われる時代になった。一般市民も酷い被害を被ることとなった。その基本的構造はいまもなお継続しているどころかより歪なものとなって、世界は破局の目前にあるとさえいえる時代となっている。カネ=資本による自己疎外である。

     たどり着いた最終世界

 そしていま人類は新たに電子という神を作った。電子の持つ様々な特性を利用して、情報革命を推し進め、ネット社会を形成し、その一方でAIという新たな神を作り出し、コミュニケーション能力を奪い去られつつある若者たちを中心にいま人類はスマホやパソコンを使い、情報交流のネットワークであるインターネットによって組織され管理されるようになって、そんな情報機器とりわけAIに頼り切りつつあり、AIなくしてはなにもできない人間社会へと急激に変貌しつつあるのである。
 こうした状況下で一部独裁権力者たちとその配下にある執行官僚どもや上層労働者どもは、こうした新たな状況を巧みに自己宣伝のメディアとして最大限使っている。思いついたことをわずかな言葉で、それも極めて短く、簡単な用語で、理由等は説明することなく、発信して、結論だけを伝え、知的訓練を受けていない人間にでもそのまま伝えられるメッセージを発信し、批判や反対を許さず、支持者を中心とする一部の人間から喝采を受けて、大衆の支持を受けたとして、やりたい放題のことをし、世界を混乱させ、いまや戦争直前の瀬戸際にまで世界を追いつめている。
 かつてヒトラーが真空管の電子作用を利用した機械のラジオを最大限に活用して、非道な独裁専制社会を作り上げ、日本軍部も「今未明西太平洋において戦争状態に入れり」と甲高い声で無謀極まる太平洋戦争開戦を伝達し、ラジオと新聞を統制下に置き、日本人を悲惨な敗戦に向かわせた戦前の日本軍のやり口はまさに新たなる神としての電子を支配する道具として劇場型の権力主義的政治支配を貫徹する走りであった。
 間もなくレーダーを開発し、テレビを大量生産し、コンピュータやパソコンを作り出し、スマホ依存の世界を生み出し、インターネットを全世界に張り巡らし、電波を遠く宇宙にまで飛ばせて遠隔宇宙空間においても無人で機器を思うがままに操作できるようになった。電子はいま神となったのである。 (つづく)

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