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産経新聞では、1月9日と10日の両日、「空白の海洋戦略」と題して、斉藤勉・論説委員がわが国海洋戦略の立ち遅れを論じている。四面海に囲まれた日本が、海に思いを致さなくなって久しい。そこから数々の問題が生じている。要約してコメントする。
「最近、日本を取巻く海の事件は引きも切らない。北朝鮮による拉致や麻薬や武器密輸、中国による東シナ海における一方的な石油掘削、日本の動脈たるシーレーン・マラッカ海峡での海賊事件の頻発、北方領土におけるロシア国境警備隊の日本漁船銃撃などである。 日本の国土は、38万平方キロで世界59番目だが、国連海洋法が200海里を自国領経済水域に定めたことから、日本の海域面積は447万平方キロで世界6位となった。ところが、この広大な海を守る人員は、海上保安庁1万2千人、海上自衛隊4万5千人に過ぎない。 船員の問題も危機状況で、日本人船員は2600人しかいない。日本の商船隊は、現在約2000隻だが、税金対策のため日本船籍は僅か95隻で、世界の海を行く日本向け重要戦略物資を積んだ船舶の約95%までが、日の丸を掲げていない。 そんな状態のタンカーが、シーレーン上で海賊やテロリストに襲撃されたらどうなるか。海上自衛隊の防衛対象は、日の丸を掲げた日本籍船舶だけなので、現場へ急行しても犯人側と交戦はおろか、乗組員の救出も出来ない事態が起こりうる。 日本には、海洋問題を総合的に管轄する政府機関も、海洋担当大臣もいない。国会でようやく“海洋基本法”が成立する見通しになったが、現状は“ないない尽くし”である。中国はすでに“海洋使用管理法”を制定している。 最近、太平洋への中国の進出が著しい。昨年4月、中国の温家宝首相は、外交関係のある太平洋の島嶼諸国を訪問し、総額30億元(430億円)もの優遇貸付を約束した。この外遊には、400人近い財界人が同行し、様々な商談が成立している。 それには、中国中央テレビの英語国際放送を、地上波で24時間これら諸国で放送することや、中国航空会社のこれら諸国への乗り入れ、政府機関の建物、中央銀行、国立競技場や屋内プール、大統領官邸などの建設、スポーツ選手の強化計画の支援まで含まれている。 太平洋における中国の拡大のネライは何か。それは現在の太平洋が米国を守る濠だからである。米国と対等となるには、この強大な濠を埋めなくてはならない。中国はまた、台湾と外交関係をもつパラオ共和国、マーシャル諸島などの取り込みも狙っている。 日本は昨年、沖縄に14島嶼国を招いて、“日本・太平洋諸島フォーラム首脳会議”を開き、総額450億円の支援を約束した。これは先の中国の30億元を意識したものだが、太平洋での日本の存在感は、今のところ極めて薄い。」 日本のシーレーンを支える2000隻の商船のほとんどが、税金対策のために日本船籍がなく、海上自衛隊や海上保安庁の保護を受けることができないとは、国家として無策に過ぎないか。国籍を失った商船に、日本人船員が働く意欲を失うのも当然である。 太平洋が、民主主義諸国の安定した海であることは、日本の安全保障に必須の条件である。中国の色に染め上げられる太平洋に、強固な日米同盟が成立するはずがない。政治は何をしてきたのか。新しい海洋戦略の必要性を痛感する。
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