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北朝鮮の金正恩3代世襲が固まり、延坪(ヨンピョン)島砲撃事件が起こったことを受けて、日本の朝鮮総連と中国の「朝僑(中国の北朝鮮人)」までが、北朝鮮に冷たく背を向け始めている。永遠の親北朝鮮派とされた彼らの予想外の動揺に、北朝鮮と中国の2国が、今、大きく当惑している。彼らは海外で唯一の北朝鮮人であると同時に、北朝鮮政権とも緊密な関係を結んで来たという点から、北朝鮮崩壊の起爆剤として作用することもあり得るので、大きな関心が集まっている。
最近、中国に住む北朝鮮人である「朝僑」たちの中国帰化問題が、北朝鮮は勿論のこと、中国政府の敏感な外交問題として急浮上している。彼ら朝僑たちは、中国内で居留証に頼りながら、不自由と蔑視を甘受して暮して来た。しかし、祖国である北朝鮮に対する国籍だけは守ろうとして、大変な苦労をして来た北朝鮮人なので、大問題に発展するものと見られる。
1月4日付けの産経新聞は、「北朝鮮の3大世襲体制の試みに対して、日本朝鮮総連(在日本朝鮮人総連合会)内部の組織員たちが反発している」と報道した。続けて、朝鮮総連指導部側が金正恩体制の正当性を宣伝するための資料を準備したが、組織員たちの大掛かりな反発のために、組職全体が動揺していると産経新聞は伝えた。まず、朝鮮総連が世襲政権という概念自体に強い拒否感を持っていると、朝鮮総連の幹部がこのニュースの中で伝えた。これは金正恩の母親である高英姫(コ・ヨンヒ)が朝鮮総連出身という点により、朝鮮総連が金正恩体制を歓迎するだろうという予想を、簡単に覆した結果と説明された。
特に、日本国内の朝鮮総連に対する冷たい視線が、彼らにとって大きな負担として作用している。今回の3代世襲に続く延坪島攻撃事件などが北朝鮮の外交的孤立をもたらしたように、朝鮮総連は「言葉を失う」ほどの孤立に追い込まれているようである。以前からの北朝鮮による日本人拉致事件による批判的な世論の上、最近の日本列島全体の対北朝鮮全面攻勢を主張する雰囲気により、彼らが親北朝鮮的な性向を表現するのは難しいだろうと解釈できる。
日本よりずっと親北朝鮮ムードが強い中国での「朝僑たちの反乱」は、もっと奥の深い理解が必要な問題である。朝僑たちが北朝鮮国籍を捨てて中国国籍を選ぼうとする背景には、より微妙で隠密な内幕が作用しているという推測が可能である。約7千人に達する朝僑たちは、他の朝僑と同様に北朝鮮に故郷を置いているとは言え、中国国籍を持つ一部朝鮮族と違い、中国で外国人と分類される。その立場は非常に独特で、居住関連の行政手続きも難しい。まず、朝鮮戦争以前に生まれた世代たちが多い一方で、中国で生まれてから北朝鮮を公式訪問して国籍を登録したケースまである。
朝僑は中国政府から「居留証」を、北朝鮮政府から「海外公民証」の発給を受けて生活している。結局、自分たちの心は北朝鮮に、生活空間は中国にある。彼らが開放以後、中国で体験して来た心理的な葛藤とアイデンティティーの脅威は、大変なレベルに達する。特に朝僑が主に暮す中国東北3省地域は、脱北者たちの温床でもある。脱北者たちは朝僑たちの保護下に置かれることもあったが、彼らによって北朝鮮と中国に密告されて、強制送還の悲劇に合ったこともある。朝僑たちは北朝鮮が願うなら、周辺の視線は構わずに、祖国の側に付いた人々である。はなはだしくは、北朝鮮を助けるために密告をして褒賞金をもらって、大きな非難を浴びた。
しかし、今、彼らは北朝鮮に冷たく背を向けている。朝僑たちは皆、中国駐在北朝鮮公館を訪問して、国籍放棄申請をしている。殺到する電話の問い合わせにより、中国駐在北朝鮮公館は大忙しである。彼らの離脱を阻止できる法律的、名分的根拠はない。しかし、北朝鮮と中国という2つの社会主義国家の境目で起きた事件という特殊性が作用している。
未だにこの件について口を閉ざしている中国外交部の沈黙が、更に暗く、更に重くなりつつある。立場を表明をするのが難しい中国は、マスコミを通じて、今回、朝僑たちの動揺に韓国政府が関与したのではないかという主張を提起した。しかし、これは問題の本質を誤魔化そうとしているだけである。
中国で朝僑イシューは、このように爆発した。2010年11月18日付けの楊子晩報は、中国江蘇省鎭江市で53年間居住して来た北朝鮮国籍の61歳のキム・ジョンジャさんが、最近、鎭江市の公安政府が発行する中国国籍を取得したと報道した。そして、「中国入籍証書」を持って明るく笑う姿が新聞に掲載された。キムさんは鎭江市では中国人に帰化した最初の外国人だったので、ニュースになったようだと同新聞は意味を付与した。重要なニュースでもないように見られたこの記事が、インターネットを通じて約70件以上の複製ニュースを生産した結果、事態は大きく変わった。これ以降、延辺を中心に東北3省に住む朝僑たちが、心的童謡を起こし始めたのである。
これまで北朝鮮に対する不満だけが高かった朝僑たちは、脱北者たちとも関係が薄い江蘇省に住むキム女史が口にした「これまでホテルへ行く時も、銀行へ行く時も、外国人という理由でとても不便だった」という2、3の発言により、動搖したのかもしれない。最近、北朝鮮は朝僑たちの北朝鮮入国を制限しており、祖国から捨てられたような不満だけが高まった東北地域の朝僑たちは、今がチャンスと考え始めたようである。ついには中国政府が朝僑たちの国籍申請を拒否する動きまで見せたことを受けて、朝僑たちは特有の凝集力まで発揮した。既に彼らの組職内では、中国公安に賄賂をあげて国籍を変えるノーハウが急速に共有されているという噂まで広まっている。
朝僑たちの北朝鮮離脱は、北朝鮮-中国という2国にとって、大問題になる可能性が高い。特に彼らは中国―北朝鮮間を往来しながら貿易をしたり、甚だしくは北朝鮮脱出を助けたりする勢力である。その気になれば、彼らが北朝鮮内部の反金正恩勢力層と結託して、もっと危険な事を企てることもできる。
北朝鮮の権力部と近いとはいえ、海外で自由に暮す朝僑と朝鮮総連。彼らは確かに北朝鮮の危険な「起爆剤」である。単に北朝鮮が嫌いだからではなく、押さえつけられた悲しさと孤独感が、今、彼らから噴出しているのである。そこには、正に「3代世襲」という矛盾が起爆剤として働いた形跡が捕捉される。なぜ、北朝鮮指導部は「金正恩のためなら、砲撃戦もあり得る」という70年代的な単純執権シナリオに執着して、この世の意識がリアルタイムに光の速度で伝わるという簡単な事実を、見逃しているのだろうか?
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