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1月半ば、北朝鮮軍部の消息通は北朝鮮に偽りの報告が蔓延していて、金正日が正確な判断を出来ないでいると伝えた。今、北朝鮮軍隊内には幹部たちによる食糧横領が深刻で、兵士らに支給する食糧が不足しているのに、幹部たちは食糧が充分にあると報告しているとのことである。
しかし、韓国の延坪島攻撃直後、北朝鮮が強行した訓練で脱営者が続出する現象を報告したことを受けた金正日が、その原因を調査するようにという指示を12月初めに下した。そして、この件で保衛司令部が全国の軍糧米の倉庫を調査したところ、深刻な食糧横領が発見されたとのことである。これを聞いて怒った金正日は、銃殺刑も躊躇しないという指示を下したという。一方、2月初めに北朝鮮外務省の消息通も、北朝鮮外務省にも偽りの報告が蔓延していると伝えた。最近、ロシア-北朝鮮間に起きた真相攻防戦が、その端的な証拠と言った。
北朝鮮のパク・ウィチュン外務相は、延坪島攻撃直後の去年12月12日から15日までロシアを訪問し、ラブロフ・ロシア外相と会談を行った。この会談で両国は、政治、経済の協力、及び韓半島情勢、北朝鮮の核問題などの国際的イシューについて意見交換をした。しかし、会談結果について双方が異なる発表をしたので、どちらかが嘘をついているのかどうかという「真相ゲーム」の様相を見せた。このような中で、最近、北朝鮮のウラン濃縮プログラム(UEP)に対するUN安保理の議論に関して、ロシア外交政府の発表と官営メディアである中央通信の報道が全く異なっており、論争の的になっている。
1)お互いに違う発表、誰の言葉が真実なのか?
ロシア外務省は12月13日、閣僚級会談直後の言論発表文を通じて、会談の結果を公開した。北朝鮮も次の日の12月14日に外務省報道官が中央通信の記者の質問に答える形で会談の結果を発表した。しかし発表を比較して見ると、大きく2つの部分で明らかな違いが見られた。
a.延坪島砲撃に対する立場の違い
ロシアは延坪島砲撃の当日である11月23日、異例にもラブロフ外相の記者会見を通じて、北朝鮮の延坪島攻撃を公式的に非難した。これを反映したかのように、ロシア側は「人命被害を招いた南韓領土に対する砲撃は、非難を浴びて当然」と北朝鮮の延坪島武力攻撃に対する非難の立場を明確にした。しかし北朝鮮は、「ロシアが最近、朝鮮半島に造成された厳重な情勢に対して、我々(北朝鮮)の立場に十分な理解と共に、南韓の挑発で発生した延坪島砲撃に大きな憂慮を表明した」と、ロシア側とは正反対の発表をした。特に北朝鮮は、あまりも明白な延坪島攻撃に対する自らの責任を韓国に押し付けただけではなく、ロシア側もまるで韓国に責任があると発言したかのように報道した。
*ロシア外務省-「人命の被害をもたらした韓国領土に対する砲撃は、非難を浴びて当然だ」
*北朝鮮外務省報道官-「ロシアが最近、朝鮮半島に造成された厳重な情勢に対して、我々(北朝鮮)の立場に十分な理解と共に、韓国の挑発で発生した延坪島砲撃に大きな憂慮を表明した」
b.濃縮ウランなど北朝鮮の核開発問題に対する違い
第2番目は、濃縮ウランなど北朝鮮の核開発問題に対する部分である。ロシア外務省発表によると、ラブロフ長官は、「寧辺ウラン濃縮施設に対して深い憂慮を表明し、北朝鮮に対してUN安保理決議履行を促求」した。一方、北朝鮮の外務省報道官は、「我々(北朝鮮)の軽水炉建設とその燃料保障のための濃縮ウランの生産に関して、ロシア側は平和的核活動が媒介国の自主的権利という我々の立場に同意した」と発表した。北朝鮮の発表をそのまま受け入れたら、ロシアは北朝鮮の核開発を認めたことになる。また、プーチン総理も12月14日に、「北朝鮮がUN安保理決議1718号と1874号を無条件に履行することを要求する」と北朝鮮の濃縮ウラン施設公開など極端な行動に対して憂慮を表示した。これはロシア外務省の言論発表文を通じて、再確認されている。
*ロシア外務省-「寧辺ウラン濃縮施設に対して深い憂慮を表明しながら、北朝鮮に対してUN安保理決議の履行を促求」
*北朝鮮の外務省報道官-「我々(北朝鮮)の軽水炉建設とその燃料保障のための濃縮ウラン生産に関して、ロシア側は平和的核活動が媒介国の自主的権利という我々の立場に同意した」
2)最近の北朝鮮UEPと関連して、ロシアが安保理議論に賛成したのかという部分
また、最近の北朝鮮UEPの安保理議論に関した論争の焦点は、ロシアが果して安保理議論に賛成したかどうかである。今年1月28日、韓国を訪問したロシアのバラダブキン外務次官はウィ・ソンラク韓半島平和交渉本部長との6カ国協議首席代表会談を通じて、「ロシアが北朝鮮UEPを安保理で議論するのに反対しない」とする立場を明らかにしたと伝えられた。
しかし、北朝鮮の中央通信はロシア外務次官の発言から5日後の2月2日、駐ロシア北朝鮮公館職員とロシア外務省政府者間の面談内容としながら、「ロシア側は朝鮮の平和的核活動権利を認めた。従って、朝鮮の濃縮ウラン生産問題をUN安保理で審議することに反対しないという一部報道は、ロシアの公式立場ではないと確認した」とロシア外務次官の発言と全面的に対峙する内容を報道した。
このように論難が大きくなったので、ロシアは2月4日に外務省論評を通じて、「北朝鮮のUEPに対する情報が事実と確認された場合、これは安保理決議1718号と1874号に対する違反なので、従ってこの試案を安保理で議論するのに反対する根拠はない」と公式的な立場を明らかにした。またイワノフ副総理は2月5日、ミュンヘン国際安保会議で「北朝鮮はNPTに復帰して、IAEAの査察を受けなければならない」と強調した。
-最近の北朝鮮UEPと関連して、ロシアが安保理議論に賛成したのかという部分に対する発言日誌。
*ロシア・バラダブキン外務次官(2011.1.28) - 「ロシアは北朝鮮UEPを安保理で議論することについて反対しない」
*北朝鮮中央通信(2011.2.2) –「ロシア側は朝鮮の平和的核活動権利を認めて、朝鮮の濃縮ウラン生産問題をUN安保理で審議することに反対しないという一部報道は、ロシアの公式の立場ではないと確認した」
*ロシア外務省論評(2011.2.4) -「北朝鮮のUEPに対する情報が事実と確認された場合、これは安保理決議1718号と1874号への違反なので、従ってこの試案を安保理で議論することに反対する根拠がない」
*ロシア・イワノフ副総理(2011.2.5) -「北朝鮮はNPTに復帰してIAEAの査察を受けなければならない」
このような前後の事情を総合して見ると、北朝鮮が会談結果で自らに不利な内容を徹底的に排除して歪曲したという結論に達することができる。
3)会談成果に対する責任追及が恐ろしくて、歪曲の可能性が濃厚
しかし、なぜ北朝鮮が歪曲された内容を発表したのかに対する疑惑を解決することができない。北朝鮮外交問題に精通したある脱北者は、その原因が北朝鮮社会内にはびこった「偽りの報告」に起因した可能性を提起した。去年の下半期、北朝鮮の韓国海軍チョナン号攻撃に対するUN安保理議論が提起されたのは、ロシアによる「北朝鮮の肩を持ち」により、北朝鮮が非常に元気付けられた時期である。
彼は、北朝鮮が都合よく計画されたパク・ウィチュン外務相のロシア訪問を契機に、ロシアを明確な北朝鮮の後援勢力として確保して置こうと思ったはずだと推定した。また、UEP問題の安保理議論に関しても、バラダフキン次官の発言に驚いた北朝鮮外務省がモスクワ大使館に緊急訓令を下して、事実の確認をしたはずだと推測した。ところで、ロシア側の支持を得るどころか、却って非難と憂慮に直面したのである。
状況がこのようになったので、パク・ウィチュン外務相や駐ロシア北朝鮮大使館としては、会談結果に非常に期待を掛けていた金正日に、ありのままの報告をするのが非常に難しかったはずである。従って、北朝鮮には金正日の好みに合わせて偽りの報告して、この内容が外務省を通じて発表されたのである。
4)偽り、誇張報告が日常化された北朝鮮の社会
実際、北朝鮮社会では上部からの問責を避けようとして、「偽り、誇張報告」が日常化しているという例を捜すのは難しくない。実例として、2009年2月に金正日が咸興市にある興南(フンナム)肥料工場を視察した時のエピソードは有名である。幹部たちが6月までに60万トンの肥料を生産できると報告したが、金正日が直接工場労働者に会って確認する過程で、幹部たちの報告が嘘りだという事が分かってしまった。この件で金正日が大変怒り、「偽りの報告は国を滅ぼす売国行為」と批判したというのである。
このような形態は、国際関係でも例外ではない。北朝鮮が外国との会談結果を必要に応じて恣意的に歪曲して来たことは、広く知られた事実である。2002年10月にアメリカ・ケリー国務次官が北朝鮮を訪問した時、北朝鮮はウラン濃縮を是認した。この問題によって、いわゆる第2次北朝鮮核危機が起こり、以降、北朝鮮はこれを否認するなど、何回も変更をした。結局、去年ハッカー博士が北朝鮮を訪問した時、濃縮ウラン施設を公開して、事実と確認された。
理由がどうであれ、北朝鮮が国家間の公式的な会談結果を全て歪曲するのは、自らの国際的な信頼を失墜させる行為に違いない。このような現実を「人の幕」に囲まれた金正日だけが、知らないのではないだろうか。
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