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韓国で1967年に、歌手、尹福姫(ユ・ボッキ)がミニスカートを履いて登場した時、社会に及ぼした波紋は大きかった。若い女性たちの間に、ミニスカート・ブームが吹き荒れた。しかしお年寄りたちは「世も末だ」と嘆きながら舌を打った。女性が街角で太ももを出すなど、想像も出来なかった時代だった。反感が拡散して、とうとうミニスカートは政府により処罰の対象になった。膝上20cm以上になったら、取り締まりされた。資本主義社会の韓国でも、ミニスカートが淫らだという理由で公権力が取り締まった。そうなると、公権力といったら世間で最も恐れられる北朝鮮では、どうだろうか? まず、ミニスカートを履いている女性がいない。履く女性がいないので、政府がミニスカートは絶対だめだという指示を下すはずがない。しかし、もし北朝鮮に本当に勇敢な女性がいてミニスカートを履いたとしたら、どうなるだろうか?絶対に翌日には、ズボンに履き替えるだろう。 党、保衛部、保安処、青年同盟、女性同盟、人民組など、各種の取り締まり統制システムがよく具備された北朝鮮では、その女性が1日に数百回以上、非難を浴びるのは明らかである。韓国でミニスカートが道徳的倫理的に叱咤を受けたのなら、北朝鮮では道徳的倫理的叱咤に加えて、もっと強度な組織的叱咤まで受けることだろう。このような非難に耐えられる女性はいないだろう。しかし法的処罰が付随するとは言えない。まだ、ミニスカートに相当する処罰の規定自体が存在しないからである。もちろん、北朝鮮は法治国家ではなく、党幹部の言葉が即ち法になったりもするが… もしも、あらゆる非難にも関わらず、無条件にミニスカートを履きたいと固執したらどうなるだろうか。それでも監獄には行かないだろう。しかし、すぐに精神病患者扱いをされて、迫害は両親に及ぶだろう。そして両親は彼女を監禁してしまうだろう。しかし、北朝鮮で無条件にミニスカートが駄目だということはない。状況によっては、許可されることもある。 この写真の中の北朝鮮女性軍たちは、行事の準備に忙しい。多分、アリラン行事の演習ではないかと推定される。非常に短いとはいえないが、北朝鮮の基準からしたら、画期的なミニスカートであることは明らかである。 このような公演のようなケースは、例外として許可される。もちろん、金正日の宴会に動員される女性(喜び組み)たちは、ずっと派手に着飾らなければならないだろうが…すると水着はどうだろうか。 北朝鮮では、まだ、皆、ワンピース型の水着を着る。ところで、無条件にこのような水着を着なければならないという規定はない。ただ、北朝鮮の人々は水着というのは、当然、このようなものだと思っている。このような水着は、大抵、ナイロン製である。ナイロンは良く伸びる。問題は、このような水着は子供たちは何とか着られるが、若い女性たちにとってはビキニよりもっと淫らに見えることがあるという点である。全身にぴったりと張り付くので、ブラジャーを着用するのも難しい。ブラジャーを着用しながらナイロン製の水着を着たとしたら、もっと変に見えるだろう。多分、直接、ナイロンで水着を作って着て見たら、よく分かるだろう。その上、ビキニは上に短いスカートを履いても変ではないが、このような水着には普通、付属のスカートはない。 ところで、どうして北朝鮮ではビキニを着ないで、このような水着を着るのだろうか?既に言及したように、北朝鮮の人たちは水着はこのようなものだと考えているのだ。ビキニを買う場所もない。それでは北朝鮮の浜辺ではビキニを見物することができないだろうか。そうではない。私の故郷は海辺である。夏に海水浴をする人々が多い。幼い時から、海辺で遊びながら育ったので、ビキニを着ている女性も、何回か見たことがある。 このような女性たちは、二つの部類に分けられる。一つは日本に親戚を持つ朝総連系の北送海外同胞たち。所謂、「在胞」女性たちである。「在胞」は北朝鮮で自家用車を合法的に持っている階層である。北朝鮮では遊びに行くときに、主に職場単位で行くが、「在胞」は家族単位で乗用車に乗って遊びに行く。多分、日本からビキニを送られたのか、そうでなかったら日本の文化に多く接したからだろうか。こういう女性たちの中に、ビキニを着る女性たちがいた。結局「マイカー乗用車+ビキニ」が、一つのセットのように付いて回るのである。 もう一つの部類は外国人女性たちである。もちろん外国人女性たちは他人の顔色を伺う必要もないし、敢えて外国人に向かって何とか言う北朝鮮人もいない。ところで、ビキニを着たら注目されるのだろうか?私の記憶では、そうでもないようである。ワンピーススタイルに比べるとおへそを出しただけなので、それほど注目を浴びることはない。「そういう人もいる」程度の雰囲気だった。かといって政府当局者たちが海水浴場まで出てきて、取り締まりや統制をすることもない。結局、たまに北朝鮮の浜辺に現われるビキニは、特に問題はないようである。 ところで、他の女性がビキニを見て羨ましく思い、自分も着て見ようとは思わないのだろうか。全くそうではないようである。着たくてもビキニを製造して売る場所がない。自分独りで作って着ようとしても、大人になったら1年に多くても1~2回程度しか水に入らないのに、その1、2回のために、暮らし向きも楽ではないのに、ビキニをわざわざ作る女性もいないだろう。 また、ビキニを作って着たところで、それほど注目を浴びることもないだろう。北朝鮮の女性たちは純情で恥かしがり屋なので、水に入る時も、他人がいない時に周囲の様子を伺いながら入るのである。「私をちょっと見て下さいよ」とばかりに他人の前で水着を着ながら見せびらかす女性は殆どいない。もしいたとしたら、浮気者か、または本人はそうではないと言っても、品行が変な女性扱いをされる。 ビキニよりもっと問題なのは、更衣室がないことである。服を着替える所がないとは、女性が水泳するには本当に不便な国である。北朝鮮には、女性たちのお風呂や水泳の為の便宜施設がほとんどないと言っても過言でない。結局、ミニスカートやビキニというのは、人間が十分に食べて生きられる時に噴出する欲求である。生きて行くのが大変な人々は、そのようなことに気を使う余裕がない。 - 北朝鮮最高の名門大学である金日成大学出身の脱北者のブログに掲載された記事を翻訳しました。彼は現在、韓国で新聞記者として活躍しています。
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